カタログモデルの正式発表は4月、そして納車は6月からの予定と、いよいよその全貌を表す日産 新型フェアレディZ。しかし「いずれわかる」とわかっていてもやっぱり気になるのがその価格だろう。
今回は今わかっているスペックの紹介を皮切りに、田村宏志CPSの話を元にその価格を予想、さらに田村CPS直撃インタビュー、そして、民間人初のNEW Z試乗を果たした(!)ピストン西沢氏、「Z遣いの柳田」こと柳田春人氏、そして「日本一速い男」星野一義氏のコラムも掲載!
いよいよ6月販売開始新型Z! でもその前にもっと知りたい!! いまわかる情報全部出し!!! 価格予想も!
新型Zのすべてを徹底的に解き明かしていく!!
●日産 新型フェアレディZ予想価格
・標準グレード(6MT、9AT)…510万~520万円
・Version S(6MT)…580万~590万円
・Version T(9AT)…580万~590万円
・Version ST(6MT、9AT)…630万~640万円
※本稿は2022年2月のものです
文/ピストン西沢、柳田春人、星野一義、ベストカー編集部、写真/ベストカー編集部、撮影/奥隅圭之
初出:『ベストカー』2022年3月10日号
■カタログモデルの正式発表は4月、そして納車は6月からの予定
『ダンスパートナー』。開発リーダーの田村宏志CPS(チーフ・プロダクト・スペシャリスト)が、Zを説明する際、しばしば口にする言葉である。
新型フェアレディZ
淑女=レディという名を冠するスポーツカー。まさにドライバーとシンクロナイズして優雅に、時に熱く、情熱的に舞い踊るフェアレディ。
そんな思いをエクステリアに、さらにハンドリング性能に、動力性能に込めた思いが『ダンスパートナー』という表現なのだ。
改めて国内仕様の、イナズマイエローのドレスをまとったフェアレディZを、スポットライトに照らされたダンスフロアに見た。
凛と佇むその姿は優雅なバレリーナのようにも見えるし、あふれる情熱を表現するバイラオーラにも見える。
「ダンスパートナーなのだから、息の合った、ドライバーの思いに応える、響き合うレスポンスが求められる」
田村CPSは新型フェアレディZを作り上げるにあたり、その思いをすべてに最優先させたという。
2017年にこのクルマの企画書を手書きで書いた時から思いはいっさいブレていないとも……。その思いが結集したのが、今、目の前にあるこのクルマなのである。
初代S30型のイメージを感じさせながらも、けっして昔はよかったと回顧するのではなく、最新のテクノロジーを背景としたデザイン技法を盛り込み、「レトロモダン」を実現した。
新型フェアレディZをダンスパートナーとして迎え入れるため、ドライバーたちは己を磨き上げて6月を待て!!
■「誰もがちょっと頑張れば買えるかな? と思える価格でなければ」500万円台前半からZは買える??
2月7日よりすでにWEBでの予約受付が開始されている新型フェアレディZ。まずは240台限定の「Proto Spec」だけが先行して予約受付を開始した。
価格は696万6300円と公表されている。さて、このお値段は「高い」のか?
田村宏志CPSによると「プロトスペックは新型フェアレディZのイメージを最も色濃く表現したモデルで、最初にお見せするモデルとして装備も充実させました」と言い、「これが新型Zの一番高価なモデルです」と言う。
つまり、カタログモデルとして継続的に販売されることになる最上級グレードの「バージョンST」はプロトスペックよりも安くなる、というわけだ。
ちなみに現在予約受付中のプロトスペックは、BOSEオーディオシステムやカーナビシステムを標準装備したうえでの価格である。
「誰もがちょっと頑張れば買えるかな? と思える価格でなければ意味がないでしょ!?」と田村CPSは言い、まだ最終的な価格は決定していないとしながらも、「ボトムグレードは500万円台前半から」と断言する。
「パワートレーンの新開発分で100万円程度は勘弁して」と田村CPSは言い、ボトムは500万円台前半からと明言。標準グレードは510万~520万円か?
ツインターボでインタークーラーや、MTのトルク容量アップ対応分、軽量化のためにケースをマグで新設計した9速AT新開発分で「プラス100万円くらいはカンベンしてよ」と言うから、おそらく標準グレードは510万~520万円程度か?
もちろん、エンジンスペックや足回りなどは全グレード基本的に差異はない。
従来型同様バージョンSは6MT専用、バージョンTは9AT専用となるが、他グレードではMT、ATが選択可能。最上級のバージョンSTが630万円前後だろう。
■液晶メーターは3タイプの表示
インテリアは液晶表示となったメーターパネルが現代的な新しさを感じさせる。
その一方で、インパネ上部センターにドライバー側を向いた3連メーターが装着される。これは初代S30型から続くZ伝統のスタイルで古典と前衛を融合させたインパネだ。
この3連メーターは左からバッテリー電圧計、タービン回転計、ブースト計。タービン回転計とはあまりなじみがないが、田村CPSは「高回転で回るタービンのことも意識してほしい」と言う。
液晶表示となったことでメーターはグラフィックを自在に作れる気がするが、「これが大変で、スポーツモードを作るのに数億円単位のコストです」とのこと。Zでは3パターンのグラフィカルが用意される。
これまで公開されているセンターに大きくタコメーターを表示するのは「スポーツ」で、デフォルトは「ノーマル」パターンが表示される。さらに「エンハンス」と呼ばれるグラフィカルがある。
「スポーツ」グラフィカルはレーシングドライバーの松田次生選手に意見を求めたもので、田村CPSの要望に応え、松田選手が手書きで描いたイメージを具現化。
レッドゾーンの7000回転が頂点を示し、ちょうど指針がそこに達するタイミングでタコメーター上部のシフトインジゲーターが左右から点灯し、頂点を示す指針と同時にインジゲーターがフル点灯する。ワクワクするエンジン回転の高まりと加速感を演出する。
こうした新しさと同時に、スポーツカーらしい見やすいメーターでモダンレトロを感じさせるインテリアだ。
■田村宏志CPSに直撃! その熱き想いを聞いた!!!
フェアレディZの開発リーダーの田村宏志CPSと、開発に密接にかかわったGTドライバー松田次生選手
さらに新型フェアレディZを解剖する。田村宏志CPSに可能な限り答えていただいた。
* * *
形式名がZ34のままということでBIGマイチェンではないか、と言う人もいますが、全体で約80%が新設計。エクステリアは一新しています。さらに、パワートレーンはエンジン、トランスミッションともに従来型とはまったく違います。
特にエンジンは3.7L NAから3Lツインターボに変更。このエンジン、スカイライン400Rに搭載するものと基本は同じですが、400Rにはない6速MTを組み合わせていて、当然制御系は一から新設計。ターボのリサーキュレーションバルブに加え、触媒を低負荷タイプにしてシャープなレスポンスを追求。
さらにMTでは軽量フライホイールを採用。このフライホイールは低回転時と高回転時でマスを可変できる構造で、スムーズさとピックアップレスポンスを両立しています。
ATも400Rの7速に対し新開発の9速です。北米向けタイタンに9ATを搭載していて、これをベースにしていますが、重量増加を少しでも抑えるためにケースをマグネシウムで新設計。つまりパワートレーンはすべて新設計。3ペダルMTを設定することは、2017年に手書きで最初の企画書を書いた時から『必須』と考えてました。
価格は前述のように500万円台前半から設定。標準グレードは、今お見せしているVersion STとは異なり、18インチタイヤを装着し、ブレーキは対向ピストンキャリパーではなく、片持ちキャリパー。テールスポイラーもなしです。
エクステリアではヘッドライト。上下にリング状の光源を配置していますが、これはS30型のランプカバー装着車が、ランプオン時にカバーに反射してできる光をイメージしたもの。
ランプユニット下部にあるLEDをプリズムで導いてコンパクトなスペースで作ることができました。上部リングはウインカー点滅時はオレンジに光ります。
まだまだお話したいことはたくさんありますが、4月の正式発表をお待ちください。
●日産 新型フェアレディZ主要諸元
・全長×全幅×全高:4380×1845×1315mm
・ホイールベース:2550mm
・エンジン:V型6気筒DOHCツインターボ
・総排気量:2997cc
・最高出力:405ps/6400rpm
・最大トルク:48.4kgm/1600-5600rpm
・トランスミッション:6MT、9AT
・フロントサスペンション:ダブルウイッシュボーン
・リアサスペンション:マルチリンク
・タイヤサイズ:F 255/40R19/R 275/35R19
■ピストン西沢・柳田春人・星野一義 3氏による「NEW Z」スペシャルコラム
●大胆にして繊細!! スポーツができる高級GT(TEXT/ピストン西沢)
ピストン西沢が新型Zで初ドリ!!
はっきり言おう、新型フェアレディZはGTカーだぁ!! 極上レベルの乗り心地、静粛性など高級感あふれる。
9速ATのアタリの柔らかさなんて感動もんよぉ。シフトダウン、キックダウン時に従来型はウァオ~ンと唸るけど、新型はダテに9個ギアがついているわけじゃないんだよね、非常にジェントル。おまけにインテリアも高級感満点。
じゃあ、新型Zは退屈なだけの高級GTか? んなこたぁない。GTカーの資質を大事にしつつ高い次元で走りを両立している。
3L、V6ツインターボエンジンは、ピックアップ、吹け上がりともいい!! 9ATの出来もいい!! ターボの回転数を落とさないように走るために、タービンの回転計までついている。こんな市販車見たこたぁない。これも走りに徹底している証拠だね。
そして新型Zの9ATモデルで、ドリフトをカマしたけど、コントロール性のよさは特筆レベルで超ご機嫌。ギリギリまで攻め込める安心感。
ブッシュ、アームなど小手先の対処ではなく、ボディ剛性を上げてしっかり作りこんでいるんだ。
フロントの回頭性が素晴らしいのだが、245から255にワイド化したことも好影響を及ぼしているだろうね。
エンジンだけで100kg増、そのほかボディ補強など含めると車重は1700kg近くいっているはずだが、重さを感じさせないのも凄いね。
スポーツ性とGTの両立といえばBMWのMモデルだが、新型ZはM4に対抗できる資質を持っているぞ~。
新型Zでサーキットに行って、サーキット走ってまた帰る。充分可能だと思うぜ!!
●新型フェアレディZに期待の声(TEXT/柳田春人)
新型フェアレディZが登場するのは素直にうれしい。作ってくれてありがとう!! 新型Zの最大の注目ポイントは、3L、V6DOHCツインターボ(VR30DDTT)とそのトランスミッションだ。
405ps/48.4kgmのスペックはスカイライン400Rと同じだが、トランスミッションは400Rにはない6MTと、マグネシウムケースの9AT(400Rは7AT)だからワクワクする。
東京オートサロン2022では、イエロー、ブルー、オレンジの3色が展示されていたが、私の一押しはガンメタ。美しさが際立つ秀作だ。
パーツに関しては型式はZ34で同じだけど、足回り系が手を入れれば使えるかもという程度で、ほとんどは新規で開発する必要があるだろう。エアロ、楽しみなROMチューンなど発売の暁には期待してほしい。
約700万円のプロトスペックが抽選販売されるけど、あれは本来のZではないよ。Zはコスパが命。でも、カタログモデルは500万円台前半からだから心配は無用!!
2022年シーズンのスーパーGT、GT500を戦う新型フェアレディZの傍らに立つ柳田春人氏と星野一義氏
●新型Zのここに手を入れたい!!(TEXT/星野一義)
新型フェアレディZに対して物凄く燃えている!! こんな気持ちになったのは久しぶりだね。
新型Zはスカイライン400Rの3L、V6DOHCツインターボを搭載しているので、ウチで開発した519ps/79.2kgmにスペックアップできるIMPULハイパワーコントロールユニットは当然新型Zにも投入する。欲を言えば、2~3馬力でもアップさせたいと思っている。
そしてその大パワーを受け止めるアシはオーリンズだ。チューニングZがいろいろ登場してくるだろうけど、とにかく走りでナンバーワンになりたい!!
一方デザインのキモとなるエアロパーツについては、チンスポやサイドステップを装着してこじんまりまとめるのではお客さんも納得しないだろうから、インパルらしさを盛り込んで大胆に攻めたデザインでいきたい。
それを買いやすい価格で発売するというのもポイントだね。新型Zの発売とほぼ同時に発表して驚かせたい!! 乞うご期待!!
■結論…よくぞ新型を生み出してくれた! ありがとう!!!!
新型フェアレディZ、2月7日よりプロトスペックの予約受付が開始した。カタログモデルの正式発表は4月の予定。そして納車は6月からという計画だ。
なによりも、スポーツカーに厳しい今の時代、ワクワクするニューモデルを生み出してくれたことに感謝だ!! 新型フェアレディZの今後にも期待し、続報をお伝えしていきたい!!
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みんなのコメント
しかし!スポーツカーとはそういうもの!
どのメーカーにも、つまらんエコカーばかりじゃなくてスポーツカーの開発を諦めないで欲しいですね。