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アウディRS eトロンGT「アウディが仕立てたハイパフォーマンスBEVとは」【試乗】

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アウディRS eトロンGT「アウディが仕立てたハイパフォーマンスBEVとは」【試乗】

圧倒的なパフォーマンスを持つRSモデルを数多くをラインナップするアウディ。その中でもBEV(ピュアEV)唯一のRSとなるRS eトロン GT。アウディ電動化フラッグシップモデルの実力を改めて検証する。(Motor Magazine 2023年1月号より)

アウディのピュアEVで初となるRSモデル
かつて用いられたクワトロ社の名称が、新たに『アウディスポーツ』に変わると発表されたのは2016年末。モータースポーツ活動やその参戦車両を含む高性能モデルの開発と生産、さらにライフスタイル製品のプロデュースなども手がけるアウディの子会社という立ち位置に変わりはないものの、そうしたネーミングの変更は当初、より即物的でわかりやすくなったと受け取れたものだ。

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一方で「クワトロ」というネーミングはアウディの4WDシステムを指すものでもあったことから、「この名称変更はこの先2WDのモデルも手掛けることを予兆しているのではないのか?」と思っていたらそのとおりとなった。

アウディスポーツが手掛けるモデルの中で唯一のミッドシップレイアウトを持ち、またこのブランドのイメージリーダー的存在でもある『R8』には「RWS」と名付けられた後輪駆動モデルが設定され、最新の『RS3』に至ってはエンジン横置きで搭載するFFレイアウトベースであるモデルにもかかわらずいわゆる「ドリフトモード」を加えたり、逆にクルージング時には後輪へのエンジントルクをカットし、前輪駆動化を図ったりと、4WDを得意とするブランドでありながらも最近ではクルマのキャラクターとシチュエーションによって、あえて2輪FF駆動のモードも積極的に活用するようになっている点が興味深い。

かくして、車名変更という英断はこのところの時代の要請に応えるひとつの出来事とも受け取れるが、同じように、こちらもひとつの時代の要請では? と思えたのが、ついにピュアEVにもRSモ
デルが設定されたことだ。

ここに紹介する『RS eトロンGT』が、まさにそうした記念すべき1台である。

「ハイパフォーマンスなピュアEV」としての差別化は悩ましい
2026年以降に投入する新型車はすべてピュアEVとし、2033年を最終期限にエンジン車を段階的に終了して行くと、フォルクスワーゲングループの中にあっても電動化に向けて急先鋒のアウディだが、そこで注目されていたのがハイパフォーマンスな走りを担い、これまでは搭載エンジンにも特別にチューニングが施されたRSの記号が与えられたモデルたち。

ピュアEVとして初めて「RS」の名称が与えられたこのモデルは、そうした疑問に対する初めての解となる存在である。

これまでのRSモデルがいずれもそうであったように、RS eトロンGTにもeトロン GT クワトロというベースモデルが存在する。もっとも、既存モデルの場合と異なるのはその心臓部にベースモデルとの明確な構造上の違いが見出せないことで、出力値にこそ差が設けられてはいるものの前後のアクスルを駆動するのはいずれも「永久磁石同期式」と分類される回転子に永久磁石を用いたモーター。

そこではエンジンのようにシリンダーやターボチャージャー数が異なるといった違いもなく、クランクシャフトのベアリング数やピストンの素材が異なるといったいかにもマニアが喜びそうな仕様の違いも見られない。

部品点数が少なく構造的にも単純である分、それに纏わるヒストリー性にも欠けることになってしまうのは、とくにハイパフォーマンスを売りとするピュアEVモデルの場合、辛いところでもある。そうしたハードルを乗り越えて生を受けたのが、RS eトロンGTというモデルでもあるわけだ。

目も眩むような加速力と高いコーナリング性能を持つ
もっともいざ走り始めると、それがすこぶる高度で優秀なドライビングダイナミクスの持ち主であることは否定のしようがない。

最大2.5秒間の使用が可能な「ブーストモード」作動時には475kW(646ps)という途方もない最高出力を発揮し、0→100km/h加速タイムが3.3秒というまさにスーパーカーレベルの目も眩むような加速力を発し、コーナーも圧倒的な低重心感覚を保ちながら2.3トン近い重量が信じられないほどに容易くクリアしてしまうのは、富士スピードウェイのフルコースを走行して体験済みである。

ピュアEVでしかも見たとおりの流麗な“「空力ボディ」でせっかく際立つ静粛性を実現させたのに、走りにエモーショナルな感覚をプラスする目的で電子音を加えなければならないという点に、やはりEVならではの苦労も垣間見える。

それでも高い静粛性とともに、快適この上ないクルージングシーンを具現させる3チャンバー式エアサスペンションがもたらすフットワークも圧巻だ。さほどストローク感がない点には低全高のスポーツモデルらしいテイストも伴ったものの、試乗車が標準の20インチに対して、大径な21インチをオプション装着していながら、際立つフラット感を実現していたのは驚きでもあった。

このモデルのようにハイパフォーマンスな走りを実現させつつ航続距離を伸ばすための「力技」として大容量バッテリーを搭載したモデルをこの国で快適に使うためには、大出力充電器のインフラがまだまだ不十分な点は否めない。

折しもアウディジャパンではポルシェと手を組み、両ブランドのディーラーネットワークまたは都市部に展開する90kW/150kW級出力の急速充電器ネットワークをスタートさせた。RS eトロン GTはこの先、日本でピュアEVのRSRSが本当に市民権を得ることができるか否かの、端緒を開くモデルとも言えそうな存在だ。(文:河村康彦/写真:佐藤正巳、アウディAG)

■アウディRS eトロンGT主要諸元
●全長×全幅×全高:4990×1965×1395mm
●ホイールベース:2900mm
●車両重量:2320kg
●モーター:永久磁石同期式電動機
●システムモーター最高出力:475kW(6460ps)
●システムモーター最大トルク:830Nm
●バッテリー総電力量:93.4kWh
●WLTCモード航続距離:534km
●駆動方式:4WD
●タイヤサイズ:前245/45R20、後285/40R20
●車両価格(税込):1862万円

[ アルバム : アウディRS eトロンGT はオリジナルサイトでご覧ください ]

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