現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > グリルが巨大なオラオラ顔がまだまだ人気? グリルレスはカッコ悪い? 売れないジンクスがあるのか?

ここから本文です

グリルが巨大なオラオラ顔がまだまだ人気? グリルレスはカッコ悪い? 売れないジンクスがあるのか?

掲載 更新 34
グリルが巨大なオラオラ顔がまだまだ人気? グリルレスはカッコ悪い? 売れないジンクスがあるのか?

 世はオラオラグリル全盛だが、その一方で、このところグリルレスのクルマが増えている。それらは、テスラモデル3に代表されるように、すべてEVだ。EVはフロントから空気を取り入れてラジエターを冷やす必要がない。バッテリーを冷やす必要はあるが、エンジンほどの熱は発しないし、搭載位置が床下なので、大きなフロントグリル(空気取り入れ口)は無意味。空気抵抗でしかない。

 しかしEVでも、グリル風の装飾を残すクルマは非常に多い。日産アリアやbz4X、メルセデスEQシリーズ、BMW iX……数えればキリがない。

グリルが巨大なオラオラ顔がまだまだ人気? グリルレスはカッコ悪い? 売れないジンクスがあるのか?

 いま全世界で一番売れているEVはテスラモデル3で、前述のようにグリルレスだが、モデル3はデザインの魅力で売れているわけでなく、革新的なインターフェイスや独自の充電ネットワーク、そしてなによりコストパフォーマンスの高さが要因だ。どちらかというとデザインは平凡で、逆にグリルレスであることが最大の特徴になっている。

 とにかく、テスラモデル3を除いて、世はオラオラグリル全盛であり、EVですらグリルの呪縛にハマったままだ。いったいなぜなのか? 

 そこで、歴代国産車のグリルレスに分類されるクルマたちの写真を見ていこう。エンジンがフロントにないリアエンジン車やミドシップ車、ボンネットの低いリトラクタブルヘッドライト採用車は除いた。

文/清水草一
写真/日産、ホンダ、マツダ、トヨタ、テスラ

■日産車のグリルレス車はどれも売れていない!?

1989年にデビューした日産インフィニティQ45は日本では1代で販売終了。日産の高級車の位置付けで販売されたが振るわずに1997年5月に生産終了した

●インフィニティQ45
 まずは日産勢から。日本を代表する(?)グリルレス車だ。グリルの代わりに七宝焼きをフロント中央に埋め込んで「和」を表現したが、ごく普通のグリルを持つセルシオに大敗した。グリルレスの高級セダンは「早すぎた」のか「もともとダメだった」のか……。グリルレスの失敗例の象徴である。

●初代プレセア
 カリーナEDの対抗馬だったが、グリルレスを含め優しい女性的なイメージで、通俗的なカッコよさは表現できなかった。2代目はサニーの姉妹車となり、小さなグリルが付いた。

●NXクーペ
 「ウナギイヌ」の異名を取り、代表的なカッコ悪いクルマの一台とされる。

●Be-1
 レトロデザインで成功。グリルレスより、レトロデザインの走りとして歴史に残る。

●初代リーフ
 世界で2番目の量産EVとしてグリルレスで登場したが、思ったほどの結果は残せなかった。EVのデザインとしては可もなく不可もなし。2代目はグリルのようなフロントパネルを装着し、だいぶ落ち着いて見えるようになった。

 日産はインフィニティQ45に代表されるグリルレス王国(?)だが、成功といえるのはBe-1くらいという結果に終わっている。

 続いてホンダだ。

■グリルレスのワンダーシビックの美しさが光る

1983年に登場した3代目ワンダーシビック。ホンダのグリルレスデザインは多く、CR-Xやプレリュードの4、5代目などもほぼグリルレスデザインを採用

 シビック3代目(ワンダーシビック)、4代目(グランドシビック)、5代目(スポーツシビック)と、インテグラ2代目、3代目。すべて非常に低いボンネット先端部を持ち、ラジエターの空気取り入れ口をバンパー下に集約したグリルレス車だが、どれもシンプルかつスタイリッシュで、ホンダらしく権威を捨てたチャレンジスピリットを表現することに成功していた。特にワンダーシビックの美しさは、今見てもホレボレする。

 が、1990年代後半に入ると、同じデザイン手法は通用しなくなり、ホンダからもグリルレス車が消えていった。それをある意味復活させたのが現行フィットだ。バンパーより上の空気取り入れ口はかなり小さく、かつてのワンダーシビックを髣髴とさせたが、予想外の販売不振に喘いでいる。やっぱりグリルがないとダメなのか?

■デザインは決して悪くはなかったマツダランティス

1993年から1997年の約4年半の期間に販売されたマツダ ランティス。当時は奇抜なデザインと評されいたが現在のマツダ3のデザインに類似するところがあると思うのは自分だけ?

 マツダ系のスタイリッシュなデザインで、狙いは「脱権威」「スポーティ」「カジュアル」といったあたりにあったが、販売的には失敗に終わった。デザインは決して悪くなかったが、アピールできなかった。

■トヨタは意外に少ない。3代目ソアラと4代目、5代目のスープラ

1991年から2001年まで販売された3代目の30ソアラ。写真は1994年にマイナーチェンジされた後期型。エンブレムの下に小さなグリルがあるが、前期型はこれもない

 トヨタは3代目ソアラ、スープラ4代目(A80型)、現行5代目。主に北米向けのスポーツカーで、全体を北米好みの濃厚味に仕立ててある。どれも北米では成功したが、3代目ソアラは日本では大不評に終わった。一方、スープラはまずまずだった。

 こうして見ると、グリルレスで成功したのは、レトロデザインのBe-1を除くと、すべてスポーティカーあるいはスポーツカーであることがわかる。ボンネットのフロントエンドを低くすることで、空気の下に潜り込むようなイメージのスポーティなグリルレス車ならば、成功する可能性はあるが、そうでなければほぼ失敗に終わっている。

 ただ、範囲をリアエンジン車に広げると、スバル360やマツダR360クーペのような傑作が現れる。エンジンが後ろにあるのだから、フロントグリルはないのは当然で、フロント形状は自動的に先端が低くなる。つまり、そうでなければグリルレスは不自然な形状に見えてしまうということだ。

 輸入車でも、RRの元祖ビートルやポルシェ911が大成功だったのは言うまでもない。フィアットのヌオーバ500も成功した。

 元祖ビートルをモチーフにしたニュービートルや、現行フィアット500はともにFFだが、元祖をモチーフにしているため、どちらもグリルレスで成功した。しかしこれらはレトロカーであり、純粋な「グリルレスの成功例」とは言えない。

■奇跡的にグリルレスに成功したテスラモデル3

2016年にデビューしたテスラ モデル3。シンプルな美しさの中に未来感を表現したありそうでなかった独特なデザイン

 こうして考えていくと、テスラモデル3が成功しているのは、ある意味奇跡的な出来事のようにも思える。テスラでも、モデルSとモデルXは薄いグリル風の装飾を持っているが、モデル3は、いかにもグリルがハマりそうなフロント部に一切なんの装飾も付けず、そのまま一続きのボディにすることで、絶妙な違和感を演出している。

 それはまるで、ピッタリしたボディスーツを着ているかのようで、逆に人の視線を引き付け、EVであることをアピールしているのだ。モデルY、サイバートラックも同様である(新型ロードスターはスーパーカー系なので、デザイン条件が異なる)。

 テスラだけがグリルレスの呪い(?)を無視し、成功を手にしていると言えるのではないか。逆に既存の自動車メーカーは、EVでもグリルの呪縛から逃れられていない。

 ただトヨタは、2021年12月のEV大お披露目会見で、レクサスの新型EVのコンセプトモデルを4台見せた。それらはすべて、スピンドルグリル風のフロントフェイスを持ちながら、あるべきところにグリルのない「スピンドルボディ」を採用しており、レクサスらしさとグリルレスの斬新さを併せ持っていた。

 デザインでEVの未来を占うことはできないが、今後、レクサスがEV業界でテスラに挑戦状を叩きつける一番手になるのかも……という、ぼんやりとした期待は抱かせてくれた。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ついに昔の[ダイハツ]が蘇る!? [不祥事]以来変わった[社内の雰囲気]とは
ついに昔の[ダイハツ]が蘇る!? [不祥事]以来変わった[社内の雰囲気]とは
ベストカーWeb
ニューズウィーク誌が選ぶ「2025年最も期待される新型車」にベントレー新型「コンチネンタルGTスピード」が選出されたもっともな理由…とは?
ニューズウィーク誌が選ぶ「2025年最も期待される新型車」にベントレー新型「コンチネンタルGTスピード」が選出されたもっともな理由…とは?
Auto Messe Web
フィアット125周年をイタリアが国をあげて祝福、2つの特別展示会をトリノで開催
フィアット125周年をイタリアが国をあげて祝福、2つの特別展示会をトリノで開催
Webモーターマガジン
「ランクル」兄弟で最もモダンな“250”に試乗! オンロードでもオフロードでも隙がない万能モデルだ。【試乗レビュー】
「ランクル」兄弟で最もモダンな“250”に試乗! オンロードでもオフロードでも隙がない万能モデルだ。【試乗レビュー】
くるくら
「クルマの左寄せ」苦手な人が多い!? よく見えない「左側の車両感覚」をつかむ“カンタンな方法”がスゴい! JAFが推奨する“コツ”ってどんなもの?
「クルマの左寄せ」苦手な人が多い!? よく見えない「左側の車両感覚」をつかむ“カンタンな方法”がスゴい! JAFが推奨する“コツ”ってどんなもの?
くるまのニュース
文化を身近に。BMWが贈る特別イベントに名門ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団が登場!
文化を身近に。BMWが贈る特別イベントに名門ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団が登場!
OPENERS
アルピナの未来、26年「BMW傘下」でどう変わる? 高性能EV&Mモデルとの差別化を考える
アルピナの未来、26年「BMW傘下」でどう変わる? 高性能EV&Mモデルとの差別化を考える
Merkmal
全長2.5mで新車100万円級! トヨタの「斬新2シーターモデル」がスゴイ! めちゃお手頃サイズなのに「必要にして十分」の“おふたりさま向けマシン”とは
全長2.5mで新車100万円級! トヨタの「斬新2シーターモデル」がスゴイ! めちゃお手頃サイズなのに「必要にして十分」の“おふたりさま向けマシン”とは
くるまのニュース
高すぎるよぉ…! 価格が暴落したら買いたいスーパーカー3選
高すぎるよぉ…! 価格が暴落したら買いたいスーパーカー3選
ベストカーWeb
男性が乗って女性にモテるクルマTOP5は? ChatGPTに聞いて出た「ホントかよ!」な答えとは!!
男性が乗って女性にモテるクルマTOP5は? ChatGPTに聞いて出た「ホントかよ!」な答えとは!!
WEB CARTOP
悲喜交々のST-4。「複雑な気分」のENDLESS GR86と「逆に清々しい気持ち」で5連覇を逃した冨林勇佑
悲喜交々のST-4。「複雑な気分」のENDLESS GR86と「逆に清々しい気持ち」で5連覇を逃した冨林勇佑
AUTOSPORT web
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
レスポンス
「とりあえず増税ね」で50年!? 「世界一高い」自動車諸税&ガソリン税“見直し”正念場 “年収の壁”の向こうの璧
「とりあえず増税ね」で50年!? 「世界一高い」自動車諸税&ガソリン税“見直し”正念場 “年収の壁”の向こうの璧
乗りものニュース
あれぇぇ!? [ノートオーラNISMO]と[シビックRS]を比較してみると意外な結果
あれぇぇ!? [ノートオーラNISMO]と[シビックRS]を比較してみると意外な結果
ベストカーWeb
レゴ、F1全チームをテーマにした製品を2025年1月1日から販売開始。往年の名車ウイリアムズFW14Bなど“オトナ向け”製品も3月に発売
レゴ、F1全チームをテーマにした製品を2025年1月1日から販売開始。往年の名車ウイリアムズFW14Bなど“オトナ向け”製品も3月に発売
motorsport.com 日本版
ホンダが「凄い施設」を初公開! 夢の「全固体電池」実現に一歩前進!? パイロットラインを栃木で披露
ホンダが「凄い施設」を初公開! 夢の「全固体電池」実現に一歩前進!? パイロットラインを栃木で披露
くるまのニュース
ラリージャパン2024がついに走行開始。シェイクダウン1走目の最速はヌービル/WRC日本
ラリージャパン2024がついに走行開始。シェイクダウン1走目の最速はヌービル/WRC日本
AUTOSPORT web
MotoGPマシンデビューの小椋藍選手 初走行の印象は……【MotoGPバルセロナ公式テスト】
MotoGPマシンデビューの小椋藍選手 初走行の印象は……【MotoGPバルセロナ公式テスト】
バイクのニュース

みんなのコメント

34件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村