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“本当にF1に相応しいドライバー”かを評価するには、F2よりSFが最適かも?:英国人ジャーナリスト”ジェイミー”の日本レース探訪記

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“本当にF1に相応しいドライバー”かを評価するには、F2よりSFが最適かも?:英国人ジャーナリスト”ジェイミー”の日本レース探訪記

 コロナ禍の厳しい数年間を経て、レッドブルジュニアのリアム・ローソンが日本にやってきたということは、スーパーフォーミュラにとって最高の出来事だったと言えます。ローソンがいきなり勝利を挙げ、日本人ドライバー相手にタイトル争いを繰り広げたことで、スーパーフォーミュラの国際的な関心も一気に高まりました。

 ローソンはシーズン途中にアルファタウリから代役という形でF1デビューを果たし、鈴鹿でのスーパーフォーミュラ最終ラウンドに戻ってきましたが、それもファンの関心をさらに高める一因になりました。現役のF1ドライバーとしてスーパーフォーミュラを戦うのは、2017年のピエール・ガスリー以来です。

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 最終的には宮田莉朋に敗れてランキング2位に終わったローソンですが、F1にデビューする前から、スーパーフォーミュラでの活躍が彼の株を上げていたことは間違いありません。それと同時に、王者となった宮田にとっても、ローソンと争ったことが国際的な知名度に大きく貢献したことでしょう。スーパーフォーミュラとしても、F1候補生の登竜門、もしくはレーシングドライバーの目指す目的地として、シリーズの価値を高められたはずで、ローソンの登場は全ての関係者にとってwin-winな状況だったのです。

 こういった状況を生んだレッドブルにも感謝しないといけないでしょう。レッドブルの育成プログラムを取り仕切るヘルムート・マルコは、F2(GP2)をあまり気に入ってはいません。その証拠に、現在のようなスーパーライセンスのポイント制度ができるまでは、レッドブルジュニアドライバーの多くはGP2ではなくフォーミュラ・ルノー3.5に送り込まれるか、F3から直接F1に昇格していました。だからこそマルコは、GP2でチャンピオンになったガスリーをスーパーフォーミュラに送り込み、本当にF1に相応しいドライバーなのか再確認したかったのでしょう。

 もちろん、ローソンもF2で2シーズンを過ごし、安定して上位を争う実力があることを証明しましたが、正真正銘のF1昇格候補ではありませんでした。アルファタウリがガスリーの後任にローソンではなくニック・デ・フリーズを選んだのも、それゆえでしょう。ただローソンは、F2ドライバーが苦しめられがちなメカクローム製エンジンに起因するトラブルによって、真の才能が見えにくくなっていた部分もありました。F2では良いエンジンを手に入れるかどうかで、ドライバーの1年が大きく左右されてしまうのです。

 スーパーフォーミュラではそういった問題がなく、タイヤのデグラデーションも予測しやすいため、ドライバーによってはF2よりも才能を発揮しやすい環境にあります。また、よりプロフェッショナルなチームで、F1に近い細かなセットアップ作業ができる点や、F2トップチームのシートを得るのに必要な半分以下の資金でシートを獲得できるという点も利点です。

 マルコとレッドブルはこのことを認識しており、だからこそスーパーフォーミュラを重視し、2024年もローソンの後任として岩佐歩夢を送り込むことに決めたのでしょう。ただ驚くべきは、その他のF1チームはこれまでその流れに追随してこなかったことです。

 確かに、2016年にはマクラーレンが、前年のGP2王者でF1チームのシートがなかったストフェル・バンドーンをスーパーフォーミュラに送り込みました。ただそれは当時のマクラーレンがホンダと密接な関係にあったからで、その後同じようなケースは見られませんでした。

 マクラーレン以外にも、フェラーリやアルピーヌ、メルセデスといったF1チームは近年、スーパーフォーミュラ参戦に適したF2レベルのドライバーを擁してきましたが、そういった若手はWECに派遣されるか、育成プログラムから完全に外されていました。

 しかしながら、今季のローソンの活躍がF1パドックの人々の考え方に影響を与え始めたのではないか……そんな期待もあります。現にザウバーの育成ドライバーで、同社が運営するアルファロメオF1チームのリザーブドライバーであるテオ・プルシェールは、来季TEAM IMPULからスーパーフォーミュラに参戦するのではないかと噂されており、現に鈴鹿サーキットで行なわれる合同/ルーキーテストにも同チームのドライバーとして名を連ねています。

 プルシェールは昨年のオフシーズンにも、サッシャ・フェネストラズの後任としてKONDO RACINGから2023年のスーパーフォーミュラに参戦する可能性がありましたが、結局F2で3シーズン目を戦うことになりました。これはザウバーがF2のARTグランプリに残留するための予算を全額負担することを申し出たからだと言われています。

 結果的にプルシェールは今季のF2でチャンピオンに輝きましたが、今季のF2参戦が彼にとって本当にプラスだったかどうかは議論の余地があります。彼は昨年既にランキング2位を獲得していましたし、今季はチャンピオンになったとはいえ、メルセデス育成のフレデリック・ベスティが急成長を見せて肉薄し、ランキング2位になったことの方が印象的だったと言えます。

 もしプルシェールが2023年シーズンの時点でスーパーフォーミュラにやってきて、ローソンのような印象的な走りをしていれば、2024年シーズンのF1シートを狙える存在になっていたかもしれません。とはいえ彼もスーパーフォーミュラ参戦の可能性が高まっていますし、このまま噂通りIMPULのシートを得て上位に食い込むことができれば、さらに評価を高められるでしょう。IMPULのチーム力を考慮しても、それは十分期待できます。

 プルシェールや既に参戦が発表されている岩佐以外にも、海外からの刺客がやってきそうなスーパーフォーミュラ。ルーキー・オブ・ザ・イヤーの争いはかなり激しいものになりそうです。

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