現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > カーナビアプリの未来はどこへ行く。攻め続けるスマホナビが最新テレマティクスを進化させる【いまどき・これからの車学】

ここから本文です

カーナビアプリの未来はどこへ行く。攻め続けるスマホナビが最新テレマティクスを進化させる【いまどき・これからの車学】

掲載 13
カーナビアプリの未来はどこへ行く。攻め続けるスマホナビが最新テレマティクスを進化させる【いまどき・これからの車学】

激戦が続くカーナビアプリの世界

もはや「1人1台」ではなく「1人で複数台」の所有も不思議ではない現在のスマホ事情。AppleのiOS、GoogleのAndroidのようにOS別に所有する人、またスマホとタブレットを使い分ける人などそのパターンは様々だ。

カーセンサーEDGE.netはこちら

そして、スマホをカーナビとして使う人も増えている。スマホにインストールするだけですぐに利用できる地図アプリは、種類を数えるのが苦痛(?)になってしまうほど世界中に溢れている。そして、一獲千金を夢見たベンチャー企業などが地図アプリビジネスに乗り出したのは良いが、すべてが成功しているわけでもないことから、浮き沈みの激しさは今も変わらない。

日本ではある時期、一気にカーナビアプリがリリースされた。その拡大を後押ししたのは「Google マップ」である。これをベースにオリジナルの機能を付加することで、個性を持たせたものが数多くリリースされている。  一方で、期待されながらもサービスを終了したアプリも少なくない。その代表格が「LINEカーナビ」だろう。2019年9月、現行型カローラ/カローラツーリングの発表と同時にリリース。当時の報道発表会にもLINEは参加しており、専用のコーナーでアプリの説明を行うほど力が入っていた。

アプリ自体もディスプレイオーディオとの親和性がまずまず担保されており、さらに、同社の持つ音声認識インターフェースである「Clova(クローバ)」を活用することで、相手先スマホのLINEアプリに音声のみで直接メッセージが送れるなど、LINEの普及度合いからもかなり将来性を含め期待されていたはずだ。

しかし、残念ながらこのアプリのサービスは2021年5月31日で終了してしまった。あれだけ期待されていたのにわずか1年半という短命だったことに関係者の中からも驚きの声は上がっていた。ビジネスである以上、採算が取れなければサービスの継続は難しい。LINEほどの大企業でもこれなのだから、ベンチャーで立ち上げた企業がそれ自体を維持することは極めて難しいと言えるだろう。 

メーカー系ナビアプリも転換を続ける

一方で、新しい時代を見込んで、既存のサービスを終了するケースもある。

有償からスタートし、2016年12月より無償提供していたトヨタの「TCスマホナビ」は2020年3月末で終了した。「Tプローブ交通情報」や大災害の経験を踏まえ「通れた道マップ」などを閲覧可能にするなどとても無償とは思えない充実した機能を有していた。

しかし、このアプリも終了。ただ救いがあったというか、引き継ぐような形で「moviLink」というアプリをリリースし現在に至っている。

この新アプリは非常にシンプルなユーザーインターフェイスを持ち、iOS、Android OSへの対応、オフラインでも使えるなど導入のハードルは低い。ただ、バランスは良いものの、以前のアプリと比べると積極的に使いたいという決め手に欠ける。  また、トヨタと並んでテレマティクスビジネスをけん引してきたホンダも、それまで行ってきた「インターナビプレミアムクラブ」向けの各種サービスを2022年2月末で終了している。

ちなみに、この中には会員向けのスマホアプリである「internavi LINC」なども含まれているが、原稿執筆現在、このサービスに連携するナビアプリ「internavi Pocket」は継続して使えている。ただし、目的地を予め登録しておける「Myスポット」などは「internavi LINC」側で管理していたので、変更も削除もできなくなっている。

テレマティクスサービスに関して、トヨタは「T-Connect」をさらに進化させた仕様を新型車に続々投入しているし、ホンダも前述した「インターナビ」から「ホンダコネクト」などへ移行の最中だ。

このことから、自動車メーカーのテレマティクスに依存するサービスの場合、大元であるメーカーのシステムが変更(終了)してしまうというと、サービス終了の憂き目を見ることになる。日々技術が進歩している中、従来型のシステムを維持・運用するには膨大なコストがかかる。愛用してきたユーザーにとっては残念ではあるが、ここは時代の趨勢(すうせい)と諦めるしかないのかもしれない。

この他にも、トヨタなどにカーナビを供給しているアイシン・エィ・ダブリュ(当時)の高性能カーナビアプリ「NAVIelite(ナビエリート)」、パイオニアがNTTドコモと協業して展開していた「ドコモドライブネット」もすでにサービスを終了している。 

カーナビアプリは2強の時代へ突入か

こうなると、今後のカーナビアプリの動向が気になるところだが、現状ではおおむね2強の争いになると見ている。まず無償で提供される「Yahoo!カーナビ」、そして有償の「カーナビタイム」である。

Yahoo!カーナビはその名のとおり、Yahoo!が提供するが、単純なカーナビアプリではなく、派生アプリとの連携も行える。

一方、カーナビタイムはこの領域におけるトップランナーでもある「ナビタイムジャパン」が提供。この会社の技術は携帯電話キャリアなどにも採用されている。

両社の共通点は、積極的な機能向上(アップデート)だろう。その内容は、アプリのバグ修正はもちろん、多くはより使いやすくするための機能の向上だ。さらに、ユーザーからの声(意見)を多く取り入れてながら改修している点も評価が高い理由だろう。

当然、有償であるカーナビタイムの方が機能は優れているが、Yahoo!カーナビは何よりも無償という点が圧倒的なアドバンテージを持つ。仕事にも車を使うような使用頻度の高い人にはカーナビタイムがオススメだし、週末ドライブ程度であればYahoo!カーナビでも十分のはずだ。 

鍵はディスプレイオーディオ

これらのアプリはスマホ本体をそのまま使用することを想定しているが、暑くなるこれからの季節は、設置するインパネ周辺などの車内温度上昇によるスマホ本体の故障などが懸念される。

そこで重要なのが「ディスプレイオーディオ」との連携だ。前述した2つのアプリはAppleのCarPlay、GoogleのAndroid Autoに対応しており、ケーブル、またはワイヤレス接続で車載器の画面上に地図だけではなく音楽や各種メッセージなどの機能を表示し活用できる。スマホ自体は直射日光などを避けた場所(鞄の中も含む)に置けるので、熱による故障のリスクは回避しやすい。

これらの車載器と連携し純正のようにテレマティクス環境を組み上げることができる点は、今後のユーザーニーズにおいてもメリットが多い。  地図アプリとディスプレイオーディオの連携は、車に通信を活用した最新のテレマティクス環境を構築できる点が大きなメリット。熱問題などに注意すれば、スマホやタブレットにアプリをインストールして使う方法は時代に合っているし、逆にスマホナビが使えないと非常に不便な時代になった、とも言えるのだろう。

さらには、各陣営が展開する音声認識によるサービス、特にAmazonの「Alexa」に関してはOSを問わず積極的な採用を行っており、今後は車と家を接続する「Car to Home」も加速するはずだ。

たかがスマホの1アプリではなく、そこには多くの可能性が秘められている。だからこそ、大手もベンチャーも攻めの姿勢を崩さないのだ。  文、写真/高山正寛

カーセンサーEDGE.netはこちら

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

「ランクル」兄弟で最もモダンな“250”に試乗! オンロードでもオフロードでも隙がない万能モデルだ。【試乗レビュー】
「ランクル」兄弟で最もモダンな“250”に試乗! オンロードでもオフロードでも隙がない万能モデルだ。【試乗レビュー】
くるくら
「クルマの左寄せ」苦手な人が多い!? よく見えない「左側の車両感覚」をつかむ“カンタンな方法”がスゴい! JAFが推奨する“コツ”ってどんなもの?
「クルマの左寄せ」苦手な人が多い!? よく見えない「左側の車両感覚」をつかむ“カンタンな方法”がスゴい! JAFが推奨する“コツ”ってどんなもの?
くるまのニュース
全長2.5mで新車100万円級! トヨタの「斬新2シーターモデル」がスゴイ! めちゃお手頃サイズなのに「必要にして十分」の“おふたりさま向けマシン”とは
全長2.5mで新車100万円級! トヨタの「斬新2シーターモデル」がスゴイ! めちゃお手頃サイズなのに「必要にして十分」の“おふたりさま向けマシン”とは
くるまのニュース
アルピナの未来、26年「BMW傘下」でどう変わる? 高性能EV&Mモデルとの差別化を考える
アルピナの未来、26年「BMW傘下」でどう変わる? 高性能EV&Mモデルとの差別化を考える
Merkmal
高すぎるよぉ…! 価格が暴落したら買いたいスーパーカー3選
高すぎるよぉ…! 価格が暴落したら買いたいスーパーカー3選
ベストカーWeb
男性が乗って女性にモテるクルマTOP5は? ChatGPTに聞いて出た「ホントかよ!」な答えとは!!
男性が乗って女性にモテるクルマTOP5は? ChatGPTに聞いて出た「ホントかよ!」な答えとは!!
WEB CARTOP
悲喜交々のST-4。「複雑な気分」のENDLESS GR86と「逆に清々しい気持ち」で5連覇を逃した冨林勇佑
悲喜交々のST-4。「複雑な気分」のENDLESS GR86と「逆に清々しい気持ち」で5連覇を逃した冨林勇佑
AUTOSPORT web
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
レスポンス
「とりあえず増税ね」で50年!? 「世界一高い」自動車諸税&ガソリン税“見直し”正念場 “年収の壁”の向こうの璧
「とりあえず増税ね」で50年!? 「世界一高い」自動車諸税&ガソリン税“見直し”正念場 “年収の壁”の向こうの璧
乗りものニュース
あれぇぇ!? [ノートオーラNISMO]と[シビックRS]を比較してみると意外な結果
あれぇぇ!? [ノートオーラNISMO]と[シビックRS]を比較してみると意外な結果
ベストカーWeb
レゴ、F1全チームをテーマにした製品を2025年1月1日から販売開始。往年の名車ウイリアムズFW14Bなど“オトナ向け”製品も3月に発売
レゴ、F1全チームをテーマにした製品を2025年1月1日から販売開始。往年の名車ウイリアムズFW14Bなど“オトナ向け”製品も3月に発売
motorsport.com 日本版
ホンダが「凄い施設」を初公開! 夢の「全固体電池」実現に一歩前進!? パイロットラインを栃木で披露
ホンダが「凄い施設」を初公開! 夢の「全固体電池」実現に一歩前進!? パイロットラインを栃木で披露
くるまのニュース
ラリージャパン2024がついに走行開始。シェイクダウン1走目の最速はヌービル/WRC日本
ラリージャパン2024がついに走行開始。シェイクダウン1走目の最速はヌービル/WRC日本
AUTOSPORT web
MotoGPマシンデビューの小椋藍選手 初走行の印象は……【MotoGPバルセロナ公式テスト】
MotoGPマシンデビューの小椋藍選手 初走行の印象は……【MotoGPバルセロナ公式テスト】
バイクのニュース
ダイハツが新型「軽SUV」発表! 打倒「ジムニー!?」な“5ドア”モデル登場! タフすぎる「ゴツ顔×カクカクボディ」採用した“新型タフト”138万円から発売!
ダイハツが新型「軽SUV」発表! 打倒「ジムニー!?」な“5ドア”モデル登場! タフすぎる「ゴツ顔×カクカクボディ」採用した“新型タフト”138万円から発売!
くるまのニュース
ゼンリン、パナソニックのカーナビ「Strada」向け最新地図データ発売へ…12月2日
ゼンリン、パナソニックのカーナビ「Strada」向け最新地図データ発売へ…12月2日
レスポンス
下取り額爆上がり? アルヴェルのドアの速さまで変えられるトヨタの[KINTO FACTORY(キントファクトリー)]がすごい!
下取り額爆上がり? アルヴェルのドアの速さまで変えられるトヨタの[KINTO FACTORY(キントファクトリー)]がすごい!
ベストカーWeb
チャンピオン争いで明暗を分けた要因と変化がもたらす2025シーズンへの期待/MotoGPの御意見番に聞くソリダリティGP
チャンピオン争いで明暗を分けた要因と変化がもたらす2025シーズンへの期待/MotoGPの御意見番に聞くソリダリティGP
AUTOSPORT web

みんなのコメント

13件
  • アプリのナビは遅延とトンネルに弱いのがネックですね。
    やはりGPSに車速学習の社外ナビは最強です。
    地図更新さえ儲け度外視してくれたら完璧ですね。
  • アップルカープレイもアンドロイドオートも携帯のセンサー使うから精度低いんだよね。
    スマホの電力消費も大きいからバッテリーの劣化も無視できないレベルだし。

    通勤とか知ってる道しか走らないとかじゃないなら専用品買った方がいいと思う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村