レーシングカーを公道に マクラーレン620R
text:Kazuhiro Nanyo(南陽一浩)
【画像】マクラーレン620R 日本上陸【完売済み】 全51枚
photo:Kazuhide Ueno(上野和秀)
先だって開催されたオートモビル・カウンシル2020にて、マクラーレンはその輝かしいモータースポーツ活動と戦歴を、最新モデルである「620R」や「GT」と結びつけて見せた。
3月に発表されていたとはいえ620Rの導入枠はすでに完売しており、コロナ禍を感じさせない好調ぶりだ。
マクラーレン・オートモーティブ・アジアの日本代表である正本嘉宏氏は、620Rを手がかりに、日本市場におけるマクラーレンの現状と展望を、こう語る。
「そもそも620Rはレースで培った技術を公道に解き放つという点で、単なる自動車メーカーではない、レーシング・コンストラクターであるマクラーレンの本当の強味を市販モデルに活かした、きわめて“らしい”プロダクトだと思います」
レーシングカーが、どれだけ最低限のモディファイで公道を走れるか? という命題は、あらゆるスポーツカー・メーカーが挑んできたが、元よりクローズド・トラックを出自とするマクラーレンのアプローチは異なる。
570S GT4に基づくがレギュレーションの制約を受けないことで、逆に出力は570psから620psに達した。足回りにGT4譲りのレーシングダンパーを備えつつ、高負荷時の慣性を抑えるためより硬度に優れたパワートレイン・マウントを採用して、「挙動や一体感、ダイレクト感がLTとは比較にならないほど増しています」と、正本代表はいう。
また620Rは、19・20インチという前後異形のセミスリックタイヤを公道用に装着しているが、オプションのフルスリックタイヤにサーキットで履き替えれば、さらに接地面を8%増してより次元の高いパフォーマンスとタイムに到達するという。メカニカルなセッティング変更要らずで、スリックを履きこなすロードカーは前代未聞といえる。
マクラーレン体験を“深化”させること
自宅からサーキットでのパフォーマンスまで一筆書きで完結する、それこそ究極のロード&トラック体験をもたらす620Rは、世界限定350台で販売された。
日本では、どのようなオーナーの手に渡るのだろう?
「台数は公表していませんが、全世界で日本市場の割合は6~7%なので、それに準ずる数ですね。購入希望は多くいただくのですが、オーナーは熱烈なマクラーレン・ファンで、これまで570SやLTといった同じシリーズをすでに乗られてきた方にこちらからお声かけしているところがあります」
「乗り手や走る道も選びますし、フロントリフターもない分、停め場所も選びますので」
さらにエッジの効いたマクラーレンを探し求める層が確実に存在することに、マクラーレンの日本での強いプレゼンスを感じさせるが、正本氏は事もなげに、こうも述べる。
「販売台数が右肩上がりに伸びていくフェイズは過ぎたものの、まだ8年目の若い会社ですし、マクラーレンが日本に根づいたとは思っていません。今はGT3/GT4へとモデルの端境期で、マクラーレンが本来的に得意とするカスタマー・レーシング分野でも潜在的な顧客はいると考えています」
「一方で30年近く前、マクラーレンF1から受容され始めた、レーシングカーだけではない、ロードカーというかスーパーカーとしての領域でも、まだ努力して拡大する余地はあります」
実際にマクラーレンGT導入以降、従来のカスタマーとは異なる層、異なる価値観のカスタマーをとり込めているという。
「GTをお求めになる方は、やはりスパルタンさよりも日常域の広さ、よりスタイリッシュであることを重視される方が多いです。競合する他メーカーと、どのように比較検討されているか、その傾向も見えてきました」
究極のドラインビング・エンゲージメントとは?
やはりマクラーレンのオーナーともなると数台以上を保有するケースが多く、顧客の手元にある他車を知って、自ずと見えてきたものもあったとか。
「やはりフェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェといった他社はボリューム的にも多いのですが、とくに“GT”になるとアストン マーティンDB11やベントレー・コンチネンタルGTといった、アンダーステイトメント(控えめさ)でも高く評価される、英国の他メーカーと比べられる方も多いです。対してウチは派手にドアが開くタイプですが(笑)、同じく英国ブランドという捉えられ方ですね」
今日のモダンな英国車ブランドとしてのマクラーレンを定義する上で、GTは格好の命題でもあったと、正本氏は続ける。
「GTの起源を辿れば、スパルタンなモデルを長距離用にコンバートするという要請から作られていました。マクラーレンの提案とは、最高のドライビング・エンゲージメントです。あくまで主体はドライバーですが、ドライバーごとにニーズや期待は1つではありません」
「セナや620Rのようなレーシングカー的なものを求める方もいれば、長距離ランナーとして研ぎ澄まされたLTを選ばれたり、外界との一体感を優先するなら今春に発表されたオープンのエルヴァを好まれる方もいるでしょう」
「つまりドライビング・エンゲージメントの形は色々ありますが、他社と異なりSUVクロスオーバーは絶対に作らない。選択と集中で軽量のラグジュアリー・ミドシップに絞りつつ、チューンやセッティングで違うクルマを造り込んでいけるノウハウがある。そこはマクラーレンならではのものです」
だから意外にもマクラーレンの顧客は、サーキット走行を日常的に実践しているとか、目指しているというタイプがマジョリティでもなく、純粋にドライビングを楽しむ人々だというのだ。
シャシーの洗練 「トラックだけでなく日常にも」
「マクラーレンのオーナー像を職種という面で見れば、社会的ステータスの高い方々が無論多いです。が、とにかくドライビングを積極的に楽しまれつつ、情報収集を自ら行うので、逆にいえば、人からどう見えるか気にされない方が多いです」
「他のスーパーカーをすでに試されたからこそ、その違いや差が実証的に解るというところもあります」
その差異とは、意外と単純に聞こえるかもしれないが、視界が広く、ドライバーの意志が素直に伝わること。レーシングカーとしての配慮で培われた、ドライバーに余計な負担をかけないところに集約されるという。
「車台だけで剛性を保てるカーボンモノコックなので、割と設計の自由度が高くてABCピラーも細くできるため、視界もよくて乗降性にも優れる」
「結果として、頻繁に毎日でも乗り易いんですよ。トラックだけでなく日常にも活かせるほど、軽量カーボンによるシャシー・アートの洗練がある」
「そうしたところが徐々に認められ拡がっていくものなので、じつは販売台数はクルマの実力以上に出ないというか、ビジネスの結果として出てくるものなんです。ですから8年目の今、注力すべきは認定ユーズドカーだと考えています」
ハイパフォーマンスカーに必要なサービスの質
マクラーレンはハイパフォーマンスカーであるがゆえ、専用チェッカーや工具が要るばかりでなく、定期的な点検メンテナンスや消耗パーツ交換を施した個体でなければ、セカンド以降のオーナーに本来のエクスペリエンスを伝えられないという。
「本来のパフォーマンスを、ユーズド市場でも保つことは、すでにオーナーの手元にあるマクラーレンの価値を守ることでもあります」
「新車ではハードルが高いと感じられていた顧客も、ユーズドなら気軽に来てもらえるケースもありますから。その時にマクラーレンとしてふさわしいクオリティを保っておく必要があるということです」
レース・コンストラクターならではのプロフェッショナリズムを公道で堪能できること、その片鱗を感じられるのではないだろうか。
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