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「打倒ポルシェ」を合い言葉に誕生したBMW初のミッドシップ市販モデル「M1【スーパーカークロニクル/023】

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「打倒ポルシェ」を合い言葉に誕生したBMW初のミッドシップ市販モデル「M1【スーパーカークロニクル/023】

1970年代の後半に大ブームが起き、今もなお人々を魅了してやまないスーパーカーたち。そんな懐かしいモデルから現代のハイパースポーツまでを紹介していく、スーパーカークロニクル。今回は、BMW M1だ。

BMW M1(1978-1982)
BMWは今もなおモータースポーツに積極的に参加しているメーカーだが、1976年当時のグループ4/5レースではポルシェ 934/935が圧倒的な強さを見せ、苦戦を強いられていた。M1は、その独走を阻止すべく開発されたモデルで、レーシングカーを作る計画の結果として生まれたスーパーカーといえるだろう。

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エンジンは、当初は4.5LのV12エンジンを搭載する計画もあったようだが、当時の欧州ツーリングカー選手権(ETC)でグループ5のBMW 3.0CSLが使用していた「ビッグシックス」こと3.5Lの直6 DOHC(M88)をさらに低重心化するなどして、コクピットの後ろに搭載することとなった。ちなみに、3.0CSLは1973~1979年にETCで6回優勝、ル・マン24時間耐久レースでクラス優勝を果たすなど、10年近くにわたってツーリングカーレース シーンを席巻している。

そして、BMW初のミッドシップ市販車ということになるため、シャシの製作はミッドシップを作り慣れているランボルギーニに委託し、ダラーラ アウトモビリの創設者ジャンパオロ・ダラーラが担当することになった。意外にもBMWには市販のミッドシップ スポーツカーを製作した経験がなかったのだ。

ウエッジシェイプのFRPボディは、ジョルジェット・ジウジアーロが率いるイタルデザインによるものだ。BMWのシンボルであるキドニーグリルにリトラクタブル式ヘッドランプとしたフロントマスクは精悍そのもので、リアエンジンフード部のルーバーとともに、走りへの期待感を高めるものとなった。

F1グランプリの前座レースでも人気を集める
このようにプロジェクトは動き出したのだが、ランボルギーニの経営不振で作業は遅れ、結局BMWは1978年に同社との契約を解消する。替わってシャシ製造を担当したのは、ドイツ(当時は西ドイツ)のコーチビルダーであるバウアー社であった。当時のグループ4規定である「連続する24カ月間に400台の生産」という目標をクリアしたのは、1980年のことだった。

こうしてM1は1981年シーズン以降からの参戦が認められたものの、1982年からFIAの車両規定が変更され、グループC規定に移行してしまったため、M1のレース参戦計画は短命に終わってしまった。M1のグループ4仕様は自然吸気エンジンながら476psを発生していた。

BMWはホモロゲーション取得前の1979~80年にF1グランプリの前座としてワンメイクレースを行い、F1ドライバーのニキ・ラウダやアラン・プロストなどがドライバーを務めたこともあり、大いに人気を博した。なお、ツインターボで過給し最高出力862psを想定したグループ5仕様は、ワークスとしては実現しなかった。

ただ、1981年にザウバーがグループ4仕様をベースとしてターボを装着したグループ5をメイクス選手権やドイツ国内レースで走らせている。1981年のニュルブルクリンク1000kmでは宿敵ポルシェ935を一蹴して優勝、IMSA GTOクラスでも大旋風を巻き起こしている。

WRC参戦のために作られたランチア ストラトス同様、モータースポーツ参戦車両として計画されたため、その生産台数はきわめて少なく、約3年間で500台に満たない477台。しかし、現在も「M」モデルのオリジンとして、その存在はBMWのスポーツモデルの歴史に大きな足跡を残している。

[ アルバム : BMW M1 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

3件
  • 今でもBMWを象徴するカッコ良さだと思っている
    現行デザイナー達に爪の垢を煎じて飲ませないとダメだわ
    まあ韓国人らしいから無駄だろうがね
  • BMW唯一のリアミッドだと思われるこの車ほどBMW伝統のキドニーグリルが無意味な車はないよなーと思っていたら、EVでもキドニーグリルだった
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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