40年前に世界を震撼させた初代モデルの登場
スズキは、2018年10月にドイツ・ケルンで開催された二輪車の国際見本市「INTERMOT2018」で初披露した大型バイク「KATANA」(カタナ)を日本で正式デビューさせた。軽量アルミフレームの車体に同社のGSX‐R1000の998cc直列4気筒エンジンをベースに改良して搭載。発売は5月30日より開始され、価格は151万2000円(消費税込み)。先代KATANAの生産終了からじつに19年振りの復活となる。
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今から遡ること約40年、1980年10月の西ドイツ・ケルンで行われたIFMAに、スズキはプロトタイプバイクを出展。ハンス・ムート(ターゲット・デザイン)がデザインを担当し、日本刀をイメージしたこれまでにない新しいカタチのバイク「GSX1100S KATANA」は、ほぼそのままのスタイルで1981年に輸出販売が開始され、欧州で大ヒットとなった。これが初代KATANA(下の写真は後期モデル)。
当時、日本国内では2輪車の排気量は上限750ccまでとする自主規制があったため空冷1100cc直4エンジンを搭載するGSX1100S KATANAは発売されなかった。そのため、一部で日本で生産されたGSX1100S KATANAを輸入するという「逆輸入」が行われる。「逆輸入」という言葉が一般的になったのはこのカタナによるところが大きい。
ケルンの衝撃から2年後の1982年、国内仕様の750ccエンジンを搭載する「GSX750S」が発売となった。車体こそほぼ同じ仕様となっていたが、ハンドルはセパレートタイプからバータイプのアップハンドルが装着され、スクリーンは装着されていなかった(1982年夏にカウルが認可されたことで、のちにスクリーンが追加される)。
このアップハンドルは”耕運機”と揶揄され、購入後に輸出仕様ハンドルに交換するというライダーが多かったのだが、当時はこれが違法とされ、取り締まりの対象となった。これが通称「カタナ狩り」と呼ばれた事象だ。
国内カタナ(GSX750S)はその後も進化を続け、1984年に3型と呼ばれる750cc専用のリトラクタブルヘッドライトが特徴的なモデルに生まれ変わっているが、「ケルンの衝撃」のモデルとは印象がまったく違うということで生産は伸び悩む。
一方、1100モデルは1981年から1987年まで生産が行われ、1990年からはスズキ創業70周年を記念したアニバーサリーモデルとして再登場し、2000年にファイナルエディションが発売されるまで、20年間ほぼ一貫してデザインを踏襲。ただし、1994年の日本国内における排気量自主規制が撤廃されるまで、1100モデルは輸出専用モデルだった。
また1991年には、250ccのGSX250Sカタナ、1992年には400ccのGSX400Sカタナ、と1100カタナのデザインをそのまま縮小した中型モデルまで登場させていた。
そして「KATANA」は19年振りに再び2輪市場に投入されることとなった。それが、今回発表された「KATANA」だ。2018年10月に、またしてもドイツ・ケルンで開催された二輪車の国際見本市「INTERMOT2018」に登場。40年前の「ケルンの衝撃」にも似た非常に大きな反響があった。スズキは、続くイタリア・ミラノのEICMAショーに、新型カタナのブラックバージョンを出展し、さらに注目は高まり、そして満を持して2019年春より欧州市場へ正式投入。そして5月より日本市場でも発売されることになったわけだ。
「新型KATANA」は、もちろん1981年から20年にわたって採用されてきた”あのデザイン”のバイクではない。しかし750”3型”のような独自解釈もしていない。
「GSX1100S KATANA」を原点としながらも、最新技術を搭載した新型モデルである。その開発コンセプトは刀鍛冶の技術を比喩的に表現した「Forging a New Street Legend(新たなるストリートバイクの伝説を鍛造する)」。軽量アルミフレームの車体に「GSX‐R1000」の998cm3直列4気筒エンジンを改良したエンジン搭載(最高出力は109kW・148PS/10,000rpm、最大トルクは107Nm・10.9kgf/9,500rpm)。トラクションコントロール、スズキイージースタートシステム、ローRPMアシスト機能などを搭載している。
角形のLEDヘッドランプなど「GSX1100S KATANA」をイメージさせる特徴的な顔つきを現代風にアレンジ。また、スズキ初となるターンシグナル付スイングアームマウントリヤフェンダーを採用する(下の写真はプロトモデル)。
車体色は車体色は、銀(ミスティックシルバーメタリック)と黒(グラススパークルブラック)の2色をラインナップ。車体サイズは全長2130×全幅835×全高1110(mm)。ちなみにこの新型、「KATANA」はサブネームではなく、車名として「KATANA」とだけ名乗るモデルとなる。
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