2016年5月、国内のローンチでその姿を見て以来、ステアリングを握るチャンスを待ちわびていたレクサスLC。グラマラスで艶やかなプロポーションに惹きつけられ、パフォーマンスへの興味は高まるばかりだった。
<レポート:佐藤久実/Kumi Sato>
昨今、日本において魅力的なクーペの登場は記憶にない。何しろ、”クーペ”自体が絶滅危惧種となりつつある現状。「クーペは売れないから・・・」メーカーはどこかクールというか、端から見切った感すら漂っていた。そんな中、華々しく登場したLC。やっぱり、販売台数だけでなく、ブランドイメージを牽引する”フラッグシップ”的な存在感は必要なのだ。価格もお高く、台数限定だったレクサスのトップレンジ「LF-A」のDNAを随所に受け継ぐLCだ。
そして、12月、スペイン・アンダルシアのセビリアで開催された国際試乗会に参加の機会を与えられた。ディテールのイプレッションは後述するが、LCに乗った印象は、ようやく日本のプレミアムブランドである「レクサス」のブランド アイデンティティが「走り」で確立されたという嬉しいものだった。
■迷走は終わり明確な自信
かつて、レクサスはモデルによって「メルセデスがライバル」、「BMWをリスペクトする」、「メインマーケットがアメリカだから・・・」etc・・・開発責任者からは様々な発言が聞かれ、迷走気味と思えた時期も。2011年8月、ペブルビーチで行なわれたレクサスGSのグローバルローンチの際、海外メディアから「レクサスはどこを目指しているのか?」との問いに明確な回答をできず、それを機にブランド再構築が始まったそうだ。そして今回、「ベンチマークは?」と問うと「ありません」と即答。迷わず、惑わず、日和らず我が道を行く! そんな自信が感じられた。
ラグジュアリー・クーペであるLCオーナーになっても、サーキットをガンガン攻めて走る人はおそらくいないであろう。が、敢えて試乗ステージとして用意されたサーキットインプレッションからお伝えしたい。そのパフォーマンスの高さが分かるから。
スペインのモンテブランコ・サーキットは、観客スタンドがなく、テストのために作られた全長約4Kmのコースだ。サーキット試乗とはいえ、助手席にインストラクター同乗で、ちょっとでもスキッドするとNGなので、限界域とまでは行かないが、それでも一般道ではわからないパフォーマンスを体感するには十分なステージだった。
■LC500 V8型5.0L試乗
まずはV8・5.0Lエンジン搭載モデルに乗る。加速でこそビッグトルク&ハイパワーを体感できるが、相変わらずレクサスらしい安心感に包まれる。ラップを重ねるごとにドライブモードを切り替えたが、ノーマルとスポーツでは、シフトとアクセルレスポンスが異なるだけで差異は小さい。小気味よくシフトアップ/ダウンしていき、レスポンスは十分。そして、スポーツプラスにすると、ステアリングレスポンスも高まり、全体的にシャープな動きとなるのが体感できる。
21インチサイズのタイヤ装着車なので、Lexus Dynamic Handling(LDH)が装備される。可変ギヤステアリング、リヤステア、電動パワーステアリングをリンクさせ、ハンドリングを向上させるシステムだ。サーキットドライブにおいては、まったく違和感がなく、ステアリングを切れば良く曲がり、アクセルを開けるとトラクションがかかる、という、理想的な挙動だ。ストレートエンドは、200m看板(ここからブレーキを踏むよう指示されているため)地点で220Km/hに達した。が、ストレートでも極めて安定しており、ハイパワーやスピードに対する扱いにくさも皆無。
シフトをマニュアルモードで走ってみた。10速もあると忙しくて仕方ないのでは? と思っていたが、実際、7300rpmのレブリミットまで使い切りながら走ると10速すべてを使うわけではない。むしろ、ストレートは別として、インフィールドはほぼ2~4速でカバーできたが、クロスされたギヤレシオのおかげで加速感が続き気持ち良さに貢献している。もっとも、ATが賢いのでDレンジで走った方が遙かにラクではあるが・・・。でも、地味に裏方に徹し過ぎの感も。せめてスポーツプラスモードでは、ブレーキング時にもっと豪快にブリッピングの音を轟かせても良いのにな。
クルマを降りてからあれっ、と思ったのは、VSCの存在がまったく気にならなかったこと。それなりのペースで走っており、立ち上がりでは積極的にアクセルも開けていたが、加速を妨げるようなお節介なVSCの介入は一回も見られなかった。路面μはあまり高くないようで、ハードブレーキング時には容易にABSが介入したにもかかわらず、だ。安心感はもちろんだが、”気持ち良く”走らせてくれるクルマである。
■LC500h ハイブリッドモデルに試乗
続いてハイブリッドモデルに試乗した。従来の6000rpmから6600rpmまでレブリミットが高められたエンジンは、サーキットにおいても伸びやかなフィーリングとともに加速していく。V8モデルに比べると、操縦性はややアンダーステア。だが、1テンポ、アクセルオンのタイミングを待てばストレスにならない程度の違いである。
乗り味も、こちらの方がサスペンションの沈み込みが見られ、レートが低く感じられたのだが、実際にはそんなことはなく、また、同じ操縦性、乗り味を狙ったという。確かに、一般道で乗ってみると、サーキットで感じたほどの差異はみられなかった。
また、ブレーキフィールも異なる。これはハイブリッドシステムゆえ仕方ない部分なのだろうが、特に、リリース時のコントロール性がV8モデルほどリニアでない。が、これもまた、一般道の試乗においてはブレーキの効き、フィーリング含め、違和感や不満はなかった。
サーキットではよりシビアなコントロール性を求めるため、如実に違いが感じられたのだろう。ハイブリッドモデルのストレートエンドは200Km/h。V8モデルには劣るが、十分に速さやパワー感を味わえた。”燃費”のためだけのハイブリッドでなく、”スポーツハイブリッド”への進化が感じられた。
いずれのモデルも、サーキットで安心感が高く気持ち良く走れたのは、新プラットフォーム「GA-L」に拠るところが大きい。特に、曲げ/ねじれ剛性が効く領域でも常にタイヤの高い接地感があった。従来の、「安定志向+電子制御」の安心感と異なる、基本性能の高さからくる安定感とハンドリングを堪能できた。
サーキットでは、当然のごとくV8エンジン搭載モデルの方が愉しかった。が、あくまでパフォーマンス確認のための走行であり、ユーザーも、圧倒的に一般道での走行がメインとなる。となれば、やはり”ハイブリッドモデル”への興味が高いだろう。そして、ある意味、LCの最大の技術的トピックスとも言えるのが新プラットフォームに加え、今回搭載された4ステージ・ハイブリッドシステムだ。
V6・3.5Lエンジンに2基の電気モーター、そして4速ギヤが組み合わされる。簡単にいうと、THS IIシステムを4つ搭載しているようなイメージで、CVTながら”みなし10段ギヤ”を有する。従来の、ドライバーの操作と加速&パワーフィールやサウンドが一致せず違和感となってドライビングプレジャーを阻害していた部分を改善するのが狙いだ。ガソリンエンジン同等、とは言わないまでも、かなり自然なフィーリングで気持ち良くクルージングができた。ともすれば、ハイブリッドに乗っていることを忘れるくらいに。
■一般道では
V8、ハイブリッドともに、乗り心地はとにかく快適だ。21インチのランフラットタイヤを装着するが、タイヤのサイドウォールの硬さを感じさせるような突き上げもなく、サスペンションが路面を追従してしっかり動いている感覚がある。今回の試乗ステージにおいては、低速域はノーマル、高速はスポーツのドライブモードが操安と乗り心地のバランスが良かった。
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