同じ車種でガソリン車とハイブリッドの両方がラインアップしている時、どちらがいいのか悩む人も多いだろう。
問題はガソリン車とハイブリッド車の価格差。概ね30万~40万円ハイブリッド車のほうが高い傾向にある。
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これがクルマを売るとき、ハイブリッド、ガソリン車のどちらが高く買い取ってくれるのだろうか?
同じ車種でハイブリッド、ガソリン車をラインアップしている5モデルを選び、徹底検証。
合わせてハイブリッド車のバッテリーの劣化、寿命についても迫ってみた。
文/萩原文博
写真/ベストカー編集部
■ 1年落ち、3年落ち、5年落ち、7年落ち、10年落ちの買取額を徹底比較
トヨタプリウスやアクア、ホンダインサイトのように搭載するパワートレインがハイブリッドのみという専用車もあるが、現在では圧倒的にガソリンエンジン車とハイブリッド車両方をラインアップする車種が多くなっている。
新車時の価格は燃費性能に優れるハイブリッド車の方が高いのが一般的。それでは、同じ走行距離のクルマを買取りしてもらう場合、新車価格の高いハイブリッド車のほうが高額になるのだろうか?
中古車は人気という不確定要素が価格に大きな影響を与えるため、ガソリン車とハイブリッド車の価格差はどのように変わるのか。今回はさまざまな車種で検証してみた。
ガソリン車とハイブリッド車を併売している車種は非常に多くなっているが、そのなかからコンパクトカーのトヨタヴィッツとホンダフィット。
そしてロングセラーミニバンのトヨタエスティマ。現在人気のSUVは日産エクストレイルとホンダヴェゼルの5台をピックアップして比較してみた。
比較するのは、最新の新車価格と買取価格で、1年落ち、3年落ち、5年落ち、7年落ちという車検サイクルと10年落ちというタイミングで検証してみた。
■ヴィッツのハイブリッド車とガソリン車を比較
ヴィッツのハイブリッド車とガソリン車はどちらが買取額が高いのだろうか?
まずは、ヴィッツ。3代目となる現行型は2010年に登場。当初はガソリン車だけで、ハイブリッド車は2017年に行われた2回目のマイナーチェンジの時に追加されている。よって比較できるのは1年落ちまでとなる。
ガソリン車の1.3UとハイブリッドUの新車時価格の差は約29万円だが、2018年式の買取価格はガソリン車が89万円、ハイブリッド車は109万円と20万円差にまで縮まっている。
差が縮まったよりもわずか1年で買取価格が半値近くまで下がっていることのほうが驚きだ。
●結論/1年落ちのみの比較だが、ガソリン車の残価率が49.8%、ハイブリッドの残価率が52.5%と若干ではあるがハイブリッドが勝ち
■フィットはハイブリッドが圧倒?
フィット1.3Lガソリン車のJC08モード燃費は24.6km/L、ハイブリッドは37.2km/L。約42.5万円もの価格差はありが、年数が経つにつれてその差は縮まっていくのか?
続いて、同じコンパクトカーのホンダフィット。3代目となる現行型は2013年に登場。ガソリン車とハイブリッド車同時にフルモデルチェンジを行っている。
比較したのは13G・Lホンダセンシング(以前は13・GLパッケージ)とハイブリッドLホンダセンシング(以前のLパッケージ)。
新車時価格は約42.5万円の差が付いているが、1年落ちの買取価格ではその差は27万円まで縮まり、3年落ちでは32万円へと拡大。
残価率を見ると、1年落ちではガソリン車は66.5%、ハイブリッド車は65.9%と若干ガソリン車が上回った。3年落ちではガソリン車が42.3%、ハイブリッド車が49.1%とここではハイブリッド車が優勢。
そして5年落ちとなる2014年式では21万円まで縮まった。残価率で見ると、ガソリン車が32%で、ハイブリッド車は35.6%となり、わずかにハイブリッド車のほうがリセールバリューは高いといえる。
フィットの場合、ガソリン車の買取価格は緩やかに値落ちしているのに対して、ハイブリッド車は購入後1年目の値落ちが非常に大きく、その後緩やかな動きに変わるという値落ちカーブの角度に違いがあるのだ。
●結論/1年落ちのみガソリン車の買取額が若干上回ったがそのほかの年式はハイブリッドのほうが買取額が高く優勢
■エクストレイルはやっぱりハイブリッド優勢?
SUVのガソリン車とハイブリッド車の買取額はどう変わってくるのか?
それを踏まえて、現在人気の高いSUVを見てみよう。まずはエクストレイルから。ガソリン車は最量販グレードの20X 4WDの5人乗り、そしてハイブリッド車は20Xハイブリッド4WDとした。
新車時価格は約27万円の差が付いているが、1年落ちで、ガソリン車の残価率は64.9%、ハイブリッド車の残価率は66.0%と約21万円まで縮まっている。
そして3年落ちの買い取り価格ではガソリン車が146万円(残価率55.0%)、ハイブリッド車が160万円(残価率54.7%)と14万円まで縮まっている。
いまのところ、エクストレイルに関してはガソリン車とハイブリッド車の買取額はほぼ同じといってよさそうだ。
●結論/ガソリン車とハイブリッド車の買取額はほぼ同じ
■人気のコンパクトSUV、ヴェゼルは?
ヴェゼルは1.5Lガソリン車と1.5Lハイブリッド車、追加された1.5Lターボ車があるが、1.5Lガソリン車と1.5Lハイブリッド車を比較した。JC08モード燃費はハイブリッドが23.4~27.0km/L、1.5Lガソリン車が20.2~21.2km/L、価格差は37万4000円
SUVはもう1台、ヴェゼルでも検証したい。ガソリン車はX・ホンダセンシング(以前はX)、ハイブリッド車はXハイブリッド・ホンダセンシング(以前はハイブリッドX)というグレードで比較した。
新車時価格は37万4000円ハイブリッド車が高くなっているが、1年落ちの買取価格では31万円と差が縮まっている。残価率はガソリン車が72.1%、ハイブリッド車が73.7%。
3年落ちでは、ガソリン車の残価率は61.9%、ハイブリッド車の残価率は58.7%と、残価率はガソリン車のほうが上回り、買取額の差は15万円となる。
5年落ちでは、ガソリン車の残価率が53.1%、ハイブリッド車の残価率が44.1%となり、3万円もガソリン車がハイブリッド車の買取価格を上回っている。
これはSUVにおいては優れた燃費性能を誇るハイブリッド車よりもガソリン車のほうが人気は高く、ハイブリッド車のリセールバリューが低くなるというう傾向が伺える。
●結論/3年落ち、5年落ちと年数が経つにつれてガソリン車の方が高くなる
■ロングセラーモデル、エスティマは?
エスティマは2.4L+モーターのハイブリッドと2.4L、直4ガソリン車をラインアップ。JC08モード燃費はハイブリッドが17.0~18.0km/L、2.4Lガソリン車が11.2~11.6km/L。価格差はなんと約103万円もある
そして、最後は2006年に登場し、13年というロングセラーモデルとなっているミニバンのエスティマだ。
現行型エスティマは登場したときからガソリン車とハイブリッド車を設定しているが、エアロパーツを纏ったアエラスのハイブリッド車は2012年の2度目のマイナーチェンジに追加されたので、2010年の買取価格は2.4Xで算出した。
比較したアエラス7人乗りとハイブリッドアエラス7乗りで新車時の価格差はなんと約103万円。もはや同じ車種とは思えない価格差だ。
1年落ちの買取価格の差はグーンと縮まり、残価率はガソリン車が77.3%、ハイブリッド車が65.3%、価格差は約28万円となっていて、ハイブリッド車の値落ちは暴落とも言える値落ち幅だ。
そして3年落ちでは、ガソリン車の残価率が57.7%、ハイブリッド車の残価率が56.5%、その差が約55万円となる。
5年落ちは、ガソリン車の残価率が48.0%、ハイブリッド車の残価率が43.9%とガソリン車のほうが高く、価格差は32万円。
7年落ちは、ガソリン車の残価率が29.9%、ハイブリッド車の残価率は34.9%、価格差は53万円。参考ながら10年落ちでは価格差が45万円となっている。
●結論/1年落ちは明らかにガソリン車のほうが圧倒的に高く、それ以降も若干ではあるがガソリン車の方が高い
■ハイブリッド車のバッテリーの寿命は?
ハイブリッド車のバッテリーの寿命と、交換費用が買取額にどう影響してくるのだろうか?
ハイブリッド車の中古車購入で気になるのが、ハイブリッドシステムの駆動用バッテリーの寿命だろう。
駆動用バッテリーのメーカー保証はフィットハイブリッドやヴィッツハイブリッド、ノアハイブリッドなど概ね5年または10万kmとなっている。一般的には20万km走行しても問題ないくらいのライフを確保しているが、駆動用バッテリーは使い方によって寿命が大きく変わってしまう。
特に週末しか乗らず、しかも近所への買い物に行く程度というハイブリッド車のバッテリーは放電してしまうため、非常に傷みやすくなるのだ。
このような年式のわりに走行距離の少ないハイブリッド車はオークションでも敬遠される傾向が強い。
また、交換費用は、先代のプリウスでバッテリー本体と交換費用で約15万円、現行フィットハイブリッドなどリチウムイオン電池を搭載している場合、35万~40万円と高額になる。乗る期間が長く、走行距離を10万km以上想定している場合ならガソリン車を選んだ方が無難だ。
■最終結論/ガソリン車とハイブリッド車、どっちがいい?
では、ガソリン車とハイブリッド車どちらを購入したほうが良いのだろうか。それはユーザーがどれくらいクルマに乗るのかによって変わる。
今回紹介したガソリン車も非常に燃費性能が非常に高くなっているので十分満足できるはずで、一方のハイブリッド車はロングドライブが多いという人ならば、そのメリットを感じられる。
ハイブリッド車は走行距離の多い人にはメリットがあるが、街乗り中心の週末ドライバーには査定額も低くなるという悲しい結末が待っているのだ。
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