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先端技術満載で公道走行可能 メルセデス・ベンツ・ビジョンEQXX コンセプトへ試乗 航続1126km以上 後編

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先端技術満載で公道走行可能 メルセデス・ベンツ・ビジョンEQXX コンセプトへ試乗 航続1126km以上 後編

駆動系に投じらた技術力の高さを感じる

メルセデス・ベンツ・ビジョンEQXX コンセプトは、ルーフから滑らかに傾斜するリアエンドまでソーラーパネルが覆っており、リアガラスは存在しない。車内から、後方を直接目視することはできない。

【画像】近未来メルセデス・ベンツ ビジョンEQXX 最新スーパーカーのAMG ワンとBEVサルーン 全93枚

幅が1100mmあるという、緩やかにカーブを描く巨大なモニターで占拠されたダッシュボードには、スイッチ類や小物入れが見当たらない。解像度は8Kということで、極めて高精細だ。

タッチモニターとなっている部分には、メニュー操作で幅広いデータを表示できる。ボディ前端に内蔵されたセンサーが計測した、風向もわかる。

スタイリッシュでありつつ、多くのショーカーとは異なり実用性も備わる。一般的なメルセデス・ベンツの量産モデルと、同様の機能を網羅していることに感心した。

発進は既存のEQEと同様に、ステアリングコラムのダイレクト・シフト・レバーをPから引き降ろし、アクセルペダルを徐々に倒していくだけ。走行中は、駆動用モーターの滑らかで洗練された質感が印象深い。

1台のみ製作されたコンセプトカーでありながら、駆動系に投じられている技術力の高さを、はっきり感じ取ることができる。力強く加速し、スムーズにスピードを高めていく。最高速度は140km/hまでに制限されていたが、余力があるようだった。

今回の試乗は、メルセデス・ベンツの技術者がリモートで監視している。どれだけ鋭く加速できるのか、ストレートで試すのは止めておいた。

回生ブレーキが生む新たな運転の面白さ

そのかわり、テストドライバーが達成したエネルギー効率を確かめることにする。穏やかな高速道路程度の速度で、クルージング状態を保つ。一般的な条件で、可能な限り航続距離を伸ばせるよう試みる。

モニター式のメーターパネルには、リアルタイムで電費効率が表示される。当初はエアコンを切ってエネルギーを温存しようと考えたが、正午には気温が30度にまで上昇してしまった。諦めて、車内の温度を下げることにした。

クルージング中は素晴らしく上質。駆動用モーターは殆ど音を発せず、風切り音すら聞こえてこない。スピードが上昇するとリアのディフューザーが展開し、ボディの長さを伸ばし、気流を整えてくれる。前後方向の安定性にも貢献するという。

回生ブレーキには4モードが存在し、ステアリングホイール裏のパドルで選べる。最も効きを強くすると、タイトコーナーの入り口でブレーキペダルを踏む必要がないほど、高い制動力が得られる。

タイヤは、ブリヂストンが専用開発した20インチを履いている。転がり抵抗が低く、サイズは185/65と幅が狭い。回生ブレーキの効きを弱くすると、スルスルと想像以上に遠くまで惰性走行してみせた。

回生ブレーキを切り替えると、エネルギーの消費量も変化する。この操作が、新たな運転の面白さを生んでいる。

量産車でも不思議ではない水準の完成度

動的能力でも、好ましいと感じた点が多かった。まず、後輪駆動というシャシーレイアウト自体が優れている。

ステアリングホイールは重めで、極めて正確に反応する。フロアに敷き詰められた駆動用バッテリーが低重心を叶え、身のこなしは機敏。操縦性はスポーティと呼んでいい。

サスペンションは引き締められている。路面からの高さを一定に保ち、空気抵抗を理想値に留めることが目的だという。試乗したドイツの滑らかな一般道なら、我慢を強いるほどの硬さではなかった。

運転席からの視界に優れ、比較的全幅はスリムだから、狭い道で車線内に留めておくことも容易。入力に対する反応は、即時的ながらしなやかに感じられた。高速域でも低速域でも、車内は平穏。自宅でくつろいでいるようだった。

約16kmの試乗も終わりに近づいた頃、メーターパネルに表示される走行距離が1万6000kmを超えていることに気が付いた。すでに、長距離を走り込めるだけの水準に仕上がっている証拠といえる。

実証可能なコンセプトカーとして、ワンオフで作られたビジョンEQXX。航続距離を伸ばす技術が、直近のメルセデス・ベンツの量産BEVへどのように展開されるのか、現時点では明言が難しい。だとしても、感動的なクルマだったことは間違いない。

運転する距離が長くなるほど、訴求力も増していくように思えた。量産車としてディラーに並んでも不思議ではないほど、煮詰められているようにも思えた。生産コストは、相当なものに違いないが。

東京から福岡まで無充電で走るのも問題ない

試乗を終えると、アクセルやブレーキペダル、ステアリングホイールの操作状況が、データロガーから出力され確認できた。ドライブトレインの温度なども。

そのなかで1番驚いたのが、電費効率。エアコンをオンにし、大人4名の乗車で走ったにも関わらず、12.8km/kWhと、メルセデス・ベンツが主張する12.0km/kWhを軽く超えてみせたのだった。

ロンドンからグレートブリテン島の北端、日本なら東京から福岡まで、無充電で走ることも問題ない数字といえる。恐らく読者の運転でも、ビジョンEQXXなら余裕を持って到達できるに違いない。

メルセデス・ベンツ・ビジョンEQXX コンセプトのスペック

英国価格:−
全長:4977mm
全幅:1870mm
全高:1350mm
最高速度:140km/h(リミッター)
0-100km/h加速:6.8秒(予想)
航続距離:1126km以上(予想)
電費:12.0km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1775kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
バッテリー:100kWhリチウムイオン
最高出力:244ps
最大トルク: 50.7kg-m
ギアボックス:シングルスピード・オートマティック

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