5月10日(金)、WRC世界ラリー選手権第5戦『ラリー・ポルトガル』の大会二日目が行われ、TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)のカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合首位に立っている。TGR-WRTのレギュラーである日本人ラリードライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、総合3番手でデイ2を終えた。
今大会の“フルデイ”初日を迎えた伝統のラリー・ポルトガル。8本のスペシャルステージ(SS)で争われたこの日は、一日を通して晴天に恵まれた。
【順位結果】2024年WRC第5戦ラリー・ポルトガル SS9後
■勝田がステージウインと総合首位浮上の快調
この日最初のステージとなるSS2は、現地8時、気温20度のなかスタート。グラベル(未舗装路)の林道が舞台となるステージを、勝田が最速で駆け抜けてステージウインを飾り、総合2番手に浮上する快調の蹴り出しを見せた。
続くSS3は、岩盤壁や崖に面する箇所や急なアップダウンが特徴的なテクニカルステージだ。この難しいステージでは、今季初出走のベテラン、ダニエル・ソルド(ヒョンデi20 Nラリー1)がトップタイムをマーク。ここで勝田は4番手につけ、大会序盤から総合首位に浮上する。
そして、隆々な岩山の稜線が舞台となるSS4。高山の花々が咲き渡るスカイラインを駆け抜けるこのステージでも、ソルドが連続のステージウインをあげた。
午前中ラストのステージとなるSS5は、気温も上がりはじめ、タイヤにとっても過酷ななかでのアタックとなる。ここでは、先頭走者のティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)がソフト4輪でのアタックが最適であると判断し、見事首位タイムをマークした。好調の勝田は3番手に続き、総合首位をキープする。
午前の4ステージを終えたタイミングにて、勝田は公式インタビューで「今のところ限界では走っていません。マシンの挙動で少し気になる部分があるので、その点と格闘しながらとにかくアクセルを踏んでいます。ただ、午後はもう少し落ち着いて走りたいですね」とデイ2の前半戦を振り返った。
■ハードタイヤのペースが戦局を左右
迎えた午後の再走ステージは、タイヤ選択が変更となり、各クルーはハードタイヤをメインに選択。この結果、各マシンは軒並みペースが向上していき、なかでもトヨタ勢が群を抜く勢いを得た。
午後1本目となるSS6は、午前中にソルドが制したテクニカルステージSS3の再走だ。ここでは、SS3で6番手に落ち着いていたセバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)がペースを掴み、今大会初のステージウイン。2番手にはカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)が続き、総合順位でも勝田を上回って首位に躍り出た。
続くSS7は、岩山の稜線を駆け抜けるSS4の再走となる。ここでもトヨタ勢の快調は続き、オジエ、ロバンペラ、勝田がトップ3にタイムを並べるなか、最終走順のソルドが一矢報いるアタックで逆転。この日3度目のステージウインを飾った。
また、この日は最初のステージからマシンフィーリングに悩み、うまくペースをつかめずにいたエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、ペースノートを紛失してしまうトラブルに見舞われてしまう。以降の残るSS3本は、コドライバーのマーティンが携帯端末を使用しながらナビゲートを行う事態となった。
残るステージは2本。デイ3からは走行順が降順になるため、SS8あたりから各クルーは総合順位のポジションも意識しながらのアタックとなる。
SS8ではロバンペラが今大会初のステージウインをあげ、総合首位を堅持。2番手には、午前中の同区間でのアタックから大きくタイムアップを果たしたオット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1)が続き、総合順位でも3番手に浮上してくる。
この日最後のステージでは、オジエが3.2秒リードのトップタイムをマーク。この日2回目のステージウインをあげ、僅差の争いとなっている総合順位も2番手へポジションアップしてデイ2を締めくくった。2番手タイムを記録したロバンペラは、1.0秒差の総合首位をキープし、4番手タイムの勝田はオジエと3.7秒差の総合3番手となった。
総合4番手から6番手には、タナク、ソルド、ヌービルとヒョンデ3人が並び、7番手には少し苦戦を強いられている様子のアドリアン・フルモー(フォード・プーマ・ラリー1)が続く。
WRC2クラスは、最初のSS2からクラッシュが相次ぐ激しい争いとなったが、最終的にこの日最多となる4回のステージウインをあげたオリバー・ソルベルグ(シュコダ・ファビアRSラリー2)がクラストップに立った。7.3秒差のクラス2番手には、ほとんどのステージでトップ3以上のタイムをマークし続けたヨアン・ロッセル(シトロエンC3ラリー2)が続く。3番手は、2回のステージウインをあげているガス・グリーンスミス(シュコダ・ファビアRSラリー2)がつけており、こちらもまだまだ落ち着きを見ない接戦となっている。
両クラスで大接戦が演じられているラリー・ポルトガル。高い緊張感のまま後半戦へと突入していく明日は、総合優勝争いのカギを握る一日となりそうな予感が高まってきた。デイ3は、SS10から18までの9本で争われ、ステージの総距離は145.02kmとなる。最初のSS10は、現地時間11日(土)の8時05分(日本時間で同日16時05分)より開始される予定だ。
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