心臓部はGTX3240タービン+NOSで600馬力を突破
バンクで304.62キロをマークしたワイドボディモンスター
ハイパワーチューニングを得意とする“ガレージ八幡”が手掛けたZN6ベースの最高速仕様。ターボにNOSを組み合わせて高出力を求めたエンジンや、操安性を重視したオリジナルのワイドボディキットなど、最高速アタックで求められるチューニングの限りを尽くしたスペックに仕上がっている。
最高速仕様では排気量アップをしている車両も多いがガレージ八幡では2.0Lのままとしている。重要なパワーユニットは、CP鍛造ピストンにキャリロのH断面コンロッドでターボ化に合わせた圧縮比ダウン(8.1:1)と強度アップが施され、ヘッドにはHKSのハイカムを投入。レッドのサージタンクは、5バルブ4A-G用のスロットルを流用したオリジナルの4連スロットル仕様だ。エンジン制御は、低中速域を押し込み式のエアフロで、高回転域を圧力センサー(Dジェトロ)で行っている。
サーキットアタック時にはTD06-25Gだったが、最高速時には高風量のGT3240をチョイス。組み合わせるタービンは、走行ステージに合わせて特性の異なる3タイプを使い分けるが、取材時はHKSのGT3240を選択。最大ブーストは1.9キロの設定で、NOS無しで500psを叩き出す。
NOSは200km/hを超えた高速域で加速をアシストする目的で装備されている。NOSはウエットショット式(燃料と亜酸化窒素をインマニに同時噴射するシステム)で、車速200km/hかつアクセル開度90%の条件を満たした時に起動する設定。パワー的には約100psの上積みが可能となり、主に5→6速シフトアップ時の回転ドロップを補うのが狙いだという。
最高速では水温と油温の管理も大切。きちんと冷やすため、ラジエターとインタークーラーはVマウント化され、導風板で取り込んだエアを逃がさないようにしている。こうした細かなメイキングが大きな差を生む世界なのだ。
ミッションはトヨタのツアラーV系に搭載されていたR154を加工流用している。ベルハウジングを製作することでシフト位置も変わることなく、ハードな走行でもミッションが挫けることは一切ない。ミッションは以前のアタックで純正がブローしたため、その対応としてツアラーV用のR154ミッションをベルハウジング加工で流用。ZN6&ZN6純正が400ps程度からブローのリスクが高まるのに対し、R154ミッションなら600psも余裕でクリアできる。
また、このミッションの5速ギヤなら計算値(ファイナル3.9)で7200rpm、タイヤやクラッチのスリップロスがあっても7500~7800rpmで320キロに到達する計算だ。
トランクルームには安全タンクとNOSのボンベ、パーコレーション防止用のスワールポットが装着される。FA20は燃料の温度が上がりやすいため、渦の働きを利用して気泡を分離させている。
ZN6/ZC6の場合、ホイールの選択幅を広げるために変換スペーサーを使ってPCDを100から114.3へと変更するのが一般的だが、超高速域でスペーサーが緩んだり破損を起こすリスクを考慮し、純正ハブ流用でハブピッチを114.3にチェンジしている。ホイールはボルクレーシングTE37(FR11J×18)、タイヤにはプロクセスR1R(FR265/35-18)をセットする。
サスペンションはHKSのハイパーマックスMAX IVベースでセットアップ。スプリングはフロント15kg/mm、リヤ14kg/mmのハイレートを組んでいるのだが、これはバンク進入時に襲いかかってくる強烈な縦Gに対応するためだ。
このスーパーチューンドの最高速アタックを担当した稲田大二郎は「ミッションのフィールも好感触だしサスペンションは安定性も高い。エンジンも強烈な加速力と伸びがあるけど、300km/hから上の領域で厳しいな。恐らく、ワイドボディが大きな抵抗になっているんだろう。ナローボディなら320km/hも夢じゃないと思うけど、それはガレージ八幡のチューニングスタイルに関係することだから否定はしない。ワイドボディで200マイルオーバーを狙うというなら、まだパワーが必要だね」とコメント。
空気の壁に邪魔されながらも、最終的には最高速度304.62キロをマーク。エクステリアの改良でさらなるスピードアップは可能ということを考えると、末恐ろしい怪物と言えよう。
●取材協力:ガレージ八幡 愛知県半田市上浜町10-20 TEL:0569-26-1660
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