1970年~1980年代に発売された国産旧車が、“絶版旧車”と呼ばれ人気だ。当時憧れていた世代はもちろんのこと、今どきのヤングライダーたちも“カッコいい!”と、注目する絶版旧車の魅力を、バイク好きの俳優・押田岳と元バイク雑誌編集長・カワニシが語り合う。今回は“ジーティー・サンパチ”の愛称で呼ばれるスズキの名車と対面!
仮面ライダー「本郷猛」の愛車だった!
河西啓介(以下、カワニシ):ガクくん、この「あの“絶版旧車”に乗りたい!」も2回目ですね。今回はスズキの名車が登場です。前回試乗したヤマハ「RD400デイトナ・スペシャル」のライバルと言える、スズキGT380。通称“ジーティー・サンパチ”です。
押田 岳(以下、押田):はい、ちょっと予習してきました。僕は2018~2019年に放映していた『仮面ライダージオウ』(テレビ朝日)に「仮面ライダーゲイツ」役で出演させてもらったのですが、GT380は初代仮面ライダーの本郷猛(藤岡 弘)が乗っていたバイクと知って、興味津々だったんです!
カワニシ:そう。劇中で仮面ライダーに変身する前の本郷猛が乗っていたバイクがこのGT380でした。つまりガクくんの大先輩が乗っていたバイク! ここであらためて解説すると、GT380はカワサキの「マッハ」やヤマハの「RD」などに対抗すべく1972年に登場した2ストローク・スポーツ車。空冷3気筒371ccエンジンを積んでいました。その人気の高さから1970年代終わりまで生産され、年代ごとに初期型の「B0」から最終型の「B7」と呼ばれるモデルがあります。今回の車両は1978年に登場した「B7」。とても希少なモデルです。
押田:いかにも旧車らしい、堂々としたデザインがカッコいいですね。ところで3気筒エンジンと言いましたけど、マフラーは4本ありますよね?
カワニシ:いいところに気づきました。じつは3気筒の真ん中のシリンダーから出ている排気管が左右ふたつに分かれて、4本出しマフラーになっているのがサンパチの特徴。「左右の重量バランスを取るため」というのが建前ですが、実際は「見た目をシンメトリーにして、立派な感じにしたかったから」と、言われています。
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俳優・大野拓朗の「あの“絶版旧車”に乗りたい!」──Vol.1 ホンダCBX400F1970年~1980年代に発売された国産旧車が、“絶版旧車”と呼ばれ人気だ。当時憧れていた世代はもちろんのこと、今どきのヤングライダーたちも“カッコいい!”と、注目する絶版旧車の魅力を、バイク好きの俳優・大野拓朗と元バイク雑誌編集長・カワニシが語り合う。今回は1980年代バイクブームの火付け役ともなったホンダ「CBX400F」に試乗!俳優・大野拓朗の「あの“絶版旧車”に乗りたい!」──Vol.2 カワサキ900スーパー4(Z1)1970年~1980年代に発売された国産旧車が、“絶版旧車”と呼ばれ人気だ。当時憧れていた世代はもちろんのこと、今どきのヤングライダーたちも“カッコいい!”と、注目する絶版旧車の魅力を、バイク好きの俳優・大野拓朗と元バイク雑誌編集長・カワニシが語り合う。今回は1972年にデビューしたカワサキ「900スーパー4」に試乗!俳優・大野拓朗の「あの“絶版旧車”に乗りたい!」──Vol.3 カワサキ500SSマッハIII1970年~1980年代に発売された国産旧車が、“絶版旧車”と呼ばれ人気だ。当時憧れていた世代はもちろんのこと、今どきのヤングライダーたちも“カッコいい!”と、注目する絶版旧車の魅力を、バイク好きの俳優・大野拓朗と元バイク雑誌編集長・カワニシが語り合う。今回は“ジャジャ馬”と呼ばれるキャラクターで人気を誇ったカワサキ「マッハIII」に試乗!スズキの独自の「ラムエアーシステム」とは?押田:スズキ車は所有したことがないけど、ちょっとマニアックなイメージがありますね。
カワニシ:そう、スズキ車には熱狂的なファンが多くて、そのスズキ愛の感染力の強さから“スズ菌”なんて言葉もあるぐらい。もちろん愛を込めて、ですが(笑)。その理由として、ほかのメーカーとはちょっと違う独自の技術が多いことも挙げられます。日本の二輪車で唯一、ロータリーエンジンを搭載した「RE-5」というモデルもあったし、サンパチに採用されている「ラムエアーシステム」もそう。
押田:エンジンが独特なカタチだなぁ、と、気になっていたんですが、シリンダーヘッドに「RAM AIR SYSTEM」って書いてありますね。
カワニシ:シリンダーヘッドにボックス状のエアダクトを付けることで空気を強制的に取り込み、冷却効果を高めようというシステムです。空冷2ストロークのハイパワーエンジンは熱対策が難しい、しかし水冷にするとエンジンが重くなり、コストも高くなる。そこで考えられたスズキ独自の技術で、「一般的な空冷エンジンに比べて約40%アップの冷却効率が得られる」と、謳われていました。実際、371ccで38psの最高出力は、1970年代のバイクとしてはかなりの高性能です。
押田:そうなんだ。どんなエンジン音なんだろう……乗ってみたいなぁ。旧車の技術は、当時の“夢”を感じられるから、ワクワクします。
カワニシ:この個体はとても希少なので今回は試乗できないんですが、以前乗った印象だと、エンジンは想像以上にスムーズで、低速でのトルクも厚く、すごく扱いやすかったですね。発売当時のバイク専門誌には「モーターのようにまわる」なんて書かれていました。それとライバルに先駆けて6速ギヤを採用していたのも特徴で、燃費もカタログ値でリッターあたり35kmと良好でした。同じ2スト車でも荒々しいイメージのマッハとは違って、意外にも優等生なバイクなんです。
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俳優・大野拓朗の「あの“絶版旧車”に乗りたい!」──Vol.3 カワサキ500SSマッハIII1970年~1980年代に発売された国産旧車が、“絶版旧車”と呼ばれ人気だ。当時憧れていた世代はもちろんのこと、今どきのヤングライダーたちも“カッコいい!”と、注目する絶版旧車の魅力を、バイク好きの俳優・大野拓朗と元バイク雑誌編集長・カワニシが語り合う。今回は“ジャジャ馬”と呼ばれるキャラクターで人気を誇ったカワサキ「マッハIII」に試乗!俳優・大野拓朗の「あの“絶版旧車”に乗りたい!」──Vol.4 カワサキ650-RS W31970年~1980年代に発売された国産旧車が、“絶版旧車”と呼ばれ人気だ。当時憧れていた世代はもちろんのこと、今どきのヤングライダーたちも“カッコいい!”と、注目する絶版旧車の魅力を、バイク好きの俳優・大野拓朗と元バイク雑誌編集長・カワニシが語り合う。今回は小説『彼のオートバイ、彼女の島』(片岡義男)に描かれたことでも知られるカワサキ“ダブサン”こと「650-RS」に試乗!俳優・押田岳の「あの“絶版旧車”に乗りたい!」──Vol.5 ヤマハ RD400デイトナ・スペシャル1970年~1980年代に発売された国産旧車が、“絶版旧車”と呼ばれ人気だ。当時憧れていた世代はもちろんのこと、今どきのヤングライダーたちも“カッコいい!”と、注目する絶版旧車の魅力を、バイク好きの俳優・押田岳と元バイク雑誌編集長・カワニシが語り合う。今回は希少なヤマハ空冷2ストロークモデルの最終型「RD400デイトナ・スペシャル」に試乗!フルノーマルのサンパチが希少な理由押田:へぇ~、そうなんですね。漫画の『湘南爆走族』や『特攻の拓』にも出てきたから、“族車”御用達のイメージがあって、てっきり暴れん坊なバイクだと思っていました。
カワニシ:中型免許で乗れるバイクとしては見た目が堂々としていたし、生産期間が長くてパーツもたくさんあったから改造しやすく、もっぱらヤンチャ系の人に人気があったのは確かですね。ただし問題は「音が静かすぎる」こと(笑)、だからすぐ、アフターパーツのチャンバー(2スト用の排気管。パワーが増大したり音が大きくなる)に交換されちゃうんだけど。
押田:なるほど、そういう理由があったんですね……。でもこうしてフルノーマルのサンパチを見ると、断然こっちのほうがいいなぁ。欲しくなりますね。
カワニシ:サンパチはほとんどが改造されてしまっているのと、もともと当時のバイクって雨ざらしで置かれることが多かったので、ノーマルのままきれいに残っている個体は珍しいんです。このサンパチも最終型ノーマル、極上コンディションで、販売価格は700万円……
押田:うーん……。仮面ライダーの元祖が乗っていたバイクだから気になっていたけど、とりあえずこうして触れることができただけでも光栄でしたっ!
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俳優・大野拓朗の「あの“絶版旧車”に乗りたい!」──Vol.1 ホンダCBX400F1970年~1980年代に発売された国産旧車が、“絶版旧車”と呼ばれ人気だ。当時憧れていた世代はもちろんのこと、今どきのヤングライダーたちも“カッコいい!”と、注目する絶版旧車の魅力を、バイク好きの俳優・大野拓朗と元バイク雑誌編集長・カワニシが語り合う。今回は1980年代バイクブームの火付け役ともなったホンダ「CBX400F」に試乗!俳優・大野拓朗の「あの“絶版旧車”に乗りたい!」──Vol.2 カワサキ900スーパー4(Z1)1970年~1980年代に発売された国産旧車が、“絶版旧車”と呼ばれ人気だ。当時憧れていた世代はもちろんのこと、今どきのヤングライダーたちも“カッコいい!”と、注目する絶版旧車の魅力を、バイク好きの俳優・大野拓朗と元バイク雑誌編集長・カワニシが語り合う。今回は1972年にデビューしたカワサキ「900スーパー4」に試乗!俳優・大野拓朗の「あの“絶版旧車”に乗りたい!」──Vol.3 カワサキ500SSマッハIII1970年~1980年代に発売された国産旧車が、“絶版旧車”と呼ばれ人気だ。当時憧れていた世代はもちろんのこと、今どきのヤングライダーたちも“カッコいい!”と、注目する絶版旧車の魅力を、バイク好きの俳優・大野拓朗と元バイク雑誌編集長・カワニシが語り合う。今回は“ジャジャ馬”と呼ばれるキャラクターで人気を誇ったカワサキ「マッハIII」に試乗!押田岳(おしだがく)1997年生まれ、神奈川県出身。早稲田大学人間科学部卒業。2016年に第29回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでグランプリに輝く。2018年、特撮テレビドラマ『仮面ライダージオウ』に明光院ゲイツ/仮面ライダーゲイツ役を務める。近年は映画『嗚呼、かくも牧場は緑なりけり』、ドラマ『その結婚、正気ですか?』『トリリオンゲーム』、舞台『巌流島』『ラヴ・ミー・ドゥー!!』『西遊記』など。映画『水平線』が2024年3月1日より全国公開中。
【過去連載】
Vol.1 ホンダCBX400F
Vol.2 カワサキ900スーパー4(Z1)
Vol.3 カワサキ500SSマッハIII
Vol.4 カワサキ650-RS W3
Vol.5 ヤマハ RD400デイトナ・スペシャル
文・河西啓介 写真・安井宏充(Weekend.) スタイリスト・堀直樹 ヘア&メイク・Ryo 編集・稲垣邦康(GQ) 取材協力・UEMATSU
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あれから色んなバイクを乗り継いできて今思い返すと、現代のバイクと比べて重たいし曲がらないし乗りにくいバイクだと思う。
でも当時はバイクに乗れるだけで車種に関係なく楽しかった。