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7座も選べる人気者! シトロエン・ベルランゴへ試乗 どの席でも広々 優れた操縦性と快適性

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7座も選べる人気者! シトロエン・ベルランゴへ試乗 どの席でも広々 優れた操縦性と快適性

ロングボディの7シーターも選べるベルランゴ

英国の一般道を30分も運転すれば、シトロエン・ベルランゴの多さに気付く。ステランティス・グループは巧みにモデル展開しており、すれ違ったのはプジョー・リフターだったかもしれないが。

【画像】7座も選べる人気者 シトロエン・ベルランゴ 欧州のワンボックスと写真で比較 全139枚

ヘッドライトとフロントバンパー、エンブレムを付け替えて、K9系のベルランゴは複数のブランドから提供されている。プジョーだけでなく、英国オペルのヴォグゾールやフィアット、そしてトヨタからも。

ワンボックスのファミリーカーだけでなく、商用バンもある。箱型ボディとスライドドア、大きなテールゲートを備えるから、実用性は間違いない。シトロエンC4 スペースツアラーが好きだった人には、四角すぎるかもしれないが。

英国で選べるパワートレインは、ガソリンエンジンが1種類と、ディーゼルエンジンが2種類。バッテリーEVのe-ベルランゴもある。5シーターに加えて、ロングボディの7シーターが用意されているのも強みだろう。

未塗装の樹脂トリム 便利なスライドドア

そんな人気者のベルランゴは、2024年にフェイスリフトを受けた。一気にハンサムになったわけではないが、楕円形の新しいエンブレムの付いたフロントバンパーと、凛々しいヘッドライトを獲得している。

これ意外は、微調整を受けた程度。そもそも使い勝手に不足はなく、プレス用金型へコストを掛けず、価格上昇を避けたといえる。だが、個性派として歴史を重ねてきたブランドだけに、少し寂しく感じるのは筆者だけだろうか。

リアのスライドドアは、隣のクルマへドアパンチする心配がなく好ましい。だが、体力の落ちた年配には若干重たい。そのサイドウインドウは、英国仕様の安価なグレードでは、ヒンジで少し浮く程度になる。

大きなテールゲートは、荷物を積みやすいものの、狭い駐車場では開きにくい場面も。高価なグレードを選ぶと、リアガラス部分だけを開閉できるようになる。

バンパーやボディサイドには、未塗装の樹脂トリム。うっかり擦っても、簡単に修理できるのがメリットだ。

プラットフォームは、前半分がシトロエンC5 エアクロスも採用する、最新のEMP2。後ろ半分は、先代のベルランゴの改良版となっている。

どの列でも広い車内空間 乗用車的な運転姿勢

車内は、見た目通りの大空間。特に7シーター版では、その奥行に感心する。3列目のシートは、不要なら両サイドに折りたたむことが可能。置き場があるなら、クルマから降ろすこともできる。

どの列でも、足元や頭上の空間はかなり広い。ワンボックスのシルエットでも、座面の高さは一般的なハッチバック並み。ハロウィンのコスプレでシルクハットを被ったままでも、問題なく座れそうだ。

5シーターの場合、荷物ラック付きのパノラミック・ガラスルーフ、モデュトップを指定すると、開放感は更に増す。間接照明も素敵だ。モデュトップなしでも、車内には28か所の収納があるとシトロエンは主張する。その容量は、合計で186Lになるという。

英国仕様の場合、法的な理由で荷室との境目にスチール製のフェンスが備わる。それでも、5シーター版の荷室容量は775L。後席を畳めば、1255Lへ広がる。フロアの位置は低く、重い荷物を載せやすい。

運転姿勢は、商用車由来でありながら乗用車ライク。MTの場合、シフトレバーの位置が高く手を伸ばしやすいものの、変速時のフィーリングは今ひとつ。ATの方が、筆者は好印象だった。

インフォテインメント・システムは充分に機能的。エアコンなどには、実際に押せるハードスイッチが与えられている。

高級車ではないから、内装は硬めのプラスティックが多く、ボディパネルが露出した部分も。ファミリーカーとしてのタフさで考えれば、不満はないはず。

好感触な1.2Lガソリン 万能選手的な1.5Lディーゼル

公道を走らせれば、1.2L 3気筒ガソリンエンジンの好感触ぶりに嬉しくなる。2000rpm以下から滑らかに回り、3000rpmから4000rpmでは小さな排気量を感じさせないほどパワフル。それ以上引っ張っても、加速が鋭くなるわけではないけれど。

最高出力は110psだが、0-100km/h加速は11.5秒とまずまず。英国仕様では、6速MTのみの設定となる。

これ以上に好ましいのが、2種類のディーゼル。1.5L 4気筒で、102psと130psから選択できる。前者の場合、0-100km/h加速は14.1秒だが、粘り強く燃費はベルランゴのベストだ。

万能選手的に優れているのは後者。8速ATと組み合わせれば、ベルランゴを安楽に運転できる。高速道路での追い越しにも、余裕が生まれる。

箱型の見た目を裏切るように、乗り心地や操縦性も強み。ハッチバックやSUVとは異なるだけに、通常以上に印象的に感じることも影響しているとは思う。

走行時の浮遊感は小さく安定していて、子どもでもクルマ酔いはしにくいはず。路面の波打ちを均し、細かな凹凸による衝撃も穏やか。柔軟に動くダンパーが、しっかりボディを制御してくれる。乗員や荷物が多くなるほど、しっとり落ち着きは増していく。

予想しやすい操縦性 訴求力を高める多くの特徴

ステアリングは、直進状態を保ちたがる特性はあるものの、反応は予想しやすく正確。低速域で特に軽くなるパーキング・モードは、不要かも。

カーブへ積極的に飛び込めば、アンダーステアが僅かに出るものの、その変化は掴みやすい。右足を緩めれば、狙ったラインへ復帰してくれる。全高とソフトな足回りを踏まえると、ボディロールは想像以上に小さい。

アルミホイールは、16インチか17インチと最近では小さめ。乗り心地にプラスといえ、タイヤ交換の費用も抑えられる。

燃費は、110psのガソリンで13.5-16.1km/L。102psのディーゼルでは16.4-19.4km/Lへ伸びる。130psのディーゼルでも、15.4-18.3km/Lだ。

商用バンとの近さを気にしなければ、快適で実用的なファミリーカーとして、ベルランゴは一家を楽しませてくれるはず。賢明なデザインのインテリアや便利なスライドドアなど、多くの特徴が訴求力を高めている。

数年前ほど安いわけではないが、英国価格は約2万3000ポンド(約442万円)から。最大限にベルランゴを活用したいなら、7シーターが好適だろう。バッテリーEVのe-ベルランゴも有能だが、ハイブリッドが登場すれば、一層歓迎されるに違いない。

◯:広大な車内空間 知的なデザインの収納 快適な乗り心地
△:英国仕様に付くスチール製のフェンス パワートレインの選択肢が少ない

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