ABB FIA フォーミュラE選手権シーズン10の第5戦は日本の東京で3月30日(土)に開催された。
東京の湾岸エリア、東京ビッグサイトの敷地および周辺の公道を使って開催。1周2.585kmのコースを33周、11チーム22台のエントリーで行なわれた。
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マキシミリアン・ギュンター /マセラティMSGレーシングが優勝。2位オリバー・ローランド/日産、3位はシーズン9のシリーズチャンピオンのジェイク・デニス/アンドレッティ日産の母国開催ということで、レース前日の金曜日にはガレージツアーも行なわれ、また20230年まで参戦することの発表など、重要なインフォメーションも多く発表された。
あいにく金曜日は激しい雨と風に見舞われ、母国開催を楽しむには厳しい自然環境ではあったものの、日産のガレージツアーでは、フォーミュラEマシンの基本やエネルギーマネージメントの考え方、EVマシンならではのドライビング技術などの説明が報道陣に向けて行なわれた。
関連記事:【フォーミュラEシーズン10 第5戦 東京】 日産が2030年まで同選手権に参戦することを発表し、ガレージツアーを開催
予選、決勝が行なわれる土曜日の天気は一転し、快晴となり、気温も高く絶好のレース日和にになった。
湾岸エリアに作られたコースはジャンピングスポットもあり、マシンには厳しいレイアウトだ。そのためか高速コーナー出口ではウォールにヒットするマシンも多く見られた。
予選では、シーズンの開幕当初、好調だったジャガーPT(パワートレイン)とポルシェPTは注目されたが、第3戦からニッサンに加えて、マヒンドラやERT(旧NIO)、そしてアプトも調子を上げてきており、勢力図の異変を感じさせる予選が展開された。
中国のERT(旧NIO)/セルジオ・セッテ・カマラは予選での速さを見せるようになってきたグループ予選A組ではトップタイムをニッサン期待のオリバー・ローランドがマークし、続いてマヒンドラのエドアルド・モルタラが続いた。そしてジャガーのニック・キャシディ、アンドレッティ・ポルシェのジェイク・デニスがデュエルスに進出した。が、その後キャシディはペナルティとなり、代わりにグループ予選5位のミッチ・エバンス(ジャガー)が繰り上がった。ちなみに、キャシディは予選19位からのスタートになった。
ローランド/日産が好調。漢字がユニークと外国カメラマングループ予選B組のトップ通過はマセラティ(DS)のマキシミリアン・ギュンターで、続いてERTのセッテ・カマラ、アプト(ZF)のニコ・ミュラー、そしてポルシェのパスカル・ヴェアラインという番狂せとも言えるグループ予選結果になった。
このように、ジャガーとポルシェの2強からニッサン、マヒンドラ、マセラティ、ERTが加わり、激しさを増すことになる。
グループ予選8台によるデュエルスではなんとデニス対モルタラで、マヒンドラのモルタラが勝ち上がる番狂せが起きた。またアプトのミュラーとERTのセッテ・カマラ戦もセッテ・カマラが勝ち上がる異変が起きたのだ。
そしてセミ・ファイナルはモルタラ対ローランド戦はローランドが決勝に進出し、セッテ・カマラ対ギュンター戦ではギュンターが決勝に進んだ。ギュンターのデュエルス決勝は今季初進出であり、マセラティの好調が目をひいた。そしてポールポジションをかけたデュエルス決勝でははローランドが勝利し、ニッサンファンが多く駆けつけたグランドスタンドでは大歓声が沸き起こった。
オリバー・ローランド/日産がポールポジションを獲得した一方でようやく調子が良くなってきたDSペンスキーのヴァンドーン、ヴェルニューは18位、13位と下位スタートで、サンパウロで優勝したサム・バード(マクラーレン/ニッサン)は最下位から。そしてエンビジョンのセバスチャン・ブエミも21位からのスタートという予選結果になった。
決勝
決勝レースのホールショットはローランド。1コーナーを抜け、大きな混乱もなくオープニングラップをクリアしていく。序盤のポジション争いは中段以降のグループで激しいものの、トップグループを作るローランド、モルタラ、ギュンター、デニス、セッテ・カマラはトレイン状態で周回を重ねた。
レース序盤はトレイン状態が続き、ローランド/日産、モルタラ/マヒンドラ、ギュンター/マセラティとつづく10ラップ目あたりまでトップグループはトレイン状態が続き、後続とのギャップが築けないためかアクティベートゾーンへ入りにくく、アタックモードを使うタイミングを模索。が、徐々に使い始めるマシンが出てくると順位を入れ替えながら、トレインに戻るというレース展開で、全体に静かなレース展開だった。
19周目ミッチ・エバンスのクラッシュからコース上にパーツが飛散したため、SCが導入されたが、23周目にレースは再開された。残り3ラップになった時点でアディショナルラップ2周が宣言され、周回数の合計は35ラップのレースに変更となった。
前年のシリーズチャンピオン、ジャエイク・デニス/アンドレッティ(ポルシェPT)は予選5位から、しっかり表彰台3位を獲得レース終盤、全車がアタックモードを消化した時点でローランド、ギュンター、ダ・コスタ、デニス、モルタラ、ナトーという順位だったが、29周目のストレートでギュンターがローランドを交わしトップにたった。
ローランドはそれまで順調にトップを走行していたためエネルギーマネージメントの影響か、あるいは間違った操作をしたためか、ストレートでスピードを失い、簡単にトップを譲ってしまったのだ。レース後の記者会見でエネルギーマネージメントのためだったと説明しているが、誤ってFCYスイッチに触れてしまったようにも見るシーンだった。
終盤、トップのローランドを簡単に交わしてトップゴールしたギュンター/マセラティその後、最終ラップまでローランドがギュンターを猛追し、サイドバイサイドを2回試みるもトップを奪い返すことができず、ギュンターがフォーミュラE通算2勝目を挙げ、ローランドは2位フィニッシュになった。3位はデニス、4位ダ・コスタ、5位ヴェアライン、6位モルタラという順位になった。
今季初勝利を挙げたマセラティMSGレーシング チーム第5戦を終了してみると、パワートレインの勢力図にやや異変の現れた東京ラウンドだった。マセラティのDSが調子を上げ、マヒンドラのモルタラ6位入賞も変化のひとつだ。そしてポルシェパワートレインで唯一好調の波に乗れていなかったダ・コスタも4位フィニッシュしており、これまで5レースを消化し、5人の優勝ドライバーが誕生という混戦になっている。
ニッサンPTを使うマクラーレンが精彩を欠き、またDSペンスキーも好調を取り戻したかに見えたが、東京では失速している。そしてERTの予選の速さが目立つようになり、マヒンドラPT(ZF製)のアプト、マヒンドラではマヒンドラが一皮向けたのかもしれない。というように、PTの競争からソフトウエアの開発競争による変化も起きているようだ。
また次戦の第6戦からはピットストップでの給電というルールが適用されるはずで、大きく流れが変わる節目になるかもしれない。フォーミュラEは単なるスピードレースではない部分が多く、見どころを見つけにくいレースでもある。エネルギーマネージメントを含め、次戦のイタリアではどんなレースになるのか興味深い。
★第1戦 メキシコシティ
★第2戦 デルイーヤ
★第3戦 デルイーヤ
★第4戦 サンパウロ
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