バイク好きなら誰も知っている国産サスペンションブランドの“SHOWA(ショーワ)”。ショーワは、キャブレターやFIのケーヒンやブレーキの日信工業と共に2021年1月に日立オートモーティブシステムズと経営統合し、現在は日立Astemoとなっている。
同社はさらにこの4月1日から社名を「Astemo(アステモ)」に変更し、合わせてショーワとNISSINのアフターマーケット用2輪ハイパフォーマンス製品の展開にも大々的に力を入れていくことを発表した。今回はその一例としてショーワのハイパフォーマンスシリーズKITを組んだ『Z900RS』に乗る機会があったので、実際にどう性能が変わるのかをお伝えしたい。
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◆ダンパー内の圧力バランスを均一化し、理想的な路面追従性を実現する
ショーワのハイパフォーマンスサス最大の特徴は同社自慢のバランスフリー構造だ。フロントフォークの“BFF(バランスフリー・フォークの略)”ロゴが目印だが、実はリヤサスにも使われている技術。
しっかり説明すると長くなるので要点をまとめると、シングルチューブとなっている既存サスに対して二重管構造とすることでダンパー内の圧力バランスを均一化し、理想的な路面追従性を実現するというもの。構造が複雑でコストも高いので、主にレーシングマシンやスーパースポーツなどこれまで一部の車両にしか使われてこなかった。それをアフターパーツとしてもっと幅広く提供しようというわけ。
で、実際にノーマル車と比べてみて何が起きるかというと、ワインディングではまずハイグリップタイヤを履いたような感じを覚えさせてくれるのが最大のポイントとなっている。
◆ギャップの山を舐めていく、タイヤを接地させながら乗り越えていくのが分かる
同じギャップでも小さく感じるようになるだけでなく、バイクを寝かせたときに常に地面をとらえている感じがハンパない。寝かせたときにしっかり接地感を作り出していくので、結果的にタイヤのグリップ力が上がったような感じを得るのだ。また、ステアリングへの路面のデコボコのキックバックも無くなるので操縦安定性が高まり、安心感もある。
ちなみに直線にあるギャップをノーマル車とKIT車とも同速度で通過してみたところ、ノーマルサスは柔らかいので最初の一発目のドンという衝撃はいいんだけど、その後はなんだかピョコピョコと跳ねていくような感じ。それに対してKIT車は最初の一発目こそダンパーが効いているのでゴンと来るものの、その後はギャップの山を本当に舐めていくようなフィーリング。要はずっとタイヤを接地させながら乗り越えていくのが分かるのだ。
もっといいところはハイグリップタイヤは消耗度が高く頻繁に交換する必要が出てくるのに対し、サスペンションなら1回交換すればいつもハイグリップタイヤと同じ感触を得ることができるようになるという点。何かとお金がかかるサーキットファンがサスを換えたがるのは、まさにこうした理由もあるのだ。レースなど本気でタイムを狙うなら、それこそハイグリップタイヤと合わせることでもっと上が狙えてしまうのだから、なおさらだ。
◆外国製サスなら前後100~150万円くらいしそう
レーシングスペックを持ったこのSHOWAハイパフォーマンスサスだけど、同等性能の外国製サスだと前後で100~150万円くらいになってしまうのではないだろうか。そこをオートバイ用サスでは世界規模50%以上のシェアを持っている日立Astemoならではの量産効果かつ細やかに管理されたメーカー品質(もちろん車種専用設計!)で出せるってところも大きなアドバンテージと言っていいだろう。さすがジャパンクオリティとして誇れる部分だ。
ショーワハイパフォーマンスシリーズKITは現在「Z900RS」用と『Ninja ZX-10R』用が発売されており、「Z900RS」用はフロントが33万円でリヤが19万8000円。さらに3月末にはストリートファイターの『Z900』用も発表される見込み。今後の展開が大いに楽しみだ!
丸山浩|プロレーサー、テストライダー・ドライバー
1988年から2輪専門誌のテスターとして活動する傍ら、国際A級ライダーとして全日本ロード、鈴鹿8耐などに参戦。97年より4輪レースシーンにもチャレンジ。スーパー耐久シリーズで優勝を収めるなど、現在でも2輪4輪レースに参戦し続けている。また同時にサーキット走行会やレースイベントをプロデュース。地上波で放送された「MOTOR STATION TV」の放送製作を皮切りに、ビデオ、DVD、BS放送、そして現在はYouTubeでコンテンツを制作、放映している。また自ら興したレースメンテナンス会社、株式会社WITH MEの現会長として、自社製品、販売車両のテストライド、ドライブを日々行っている。身長は168cm。
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みんなのコメント
ブレンボ オーリンズに火の玉カラーで決まりですね。