快適性を最優先にするシトロエン
一部の自動車メーカーには、語り継がれるような記憶がある。シトロエンは、間違いなくその1社へ含まれる。他社と同様に、独自の記憶を強みとして捉え、何度も新しいモデルへ落とし込まれてききた。均質化が進む現在では、その重要性は高まっている。
【画像】ビッグ・シトロエン復活 シトロエンC5 X ID 19とXM 小さいC4 XとサルーンのDS9も 全119枚
遡ること1900年代半ば、第二次大戦後のフランスの道は、戦闘の舞台になった影響で荒廃していた。1934年に前輪駆動でモノコック構造のトラクシオン・アバンを発明したシトロエンへ、次のイノベーションをもたらすことになった。
同社の技術者だったポール・マジェス氏は、路面の穴をコイルスプリング以上に滑らかに処理できる方法を、高級サルーンのために研究していた。そこで導かれたのが、シトロエンの代名詞になった、ハイドロニューマチック・サスペンションだ。
その可能性を信じたマジェスは、1955年にリリースされた優雅なサルーン、DSへ搭載した。以降、多くのシトロエンにも展開された。これをきっかけに、ソフトな乗り心地で快適性を最優先にする自動車メーカーだと、見なされるようになった。
油圧と空気圧を用いたサスペンション構造は、60年以上も改良が続けられ、量産車へ採用されてきた。乗り心地の良さから、一時はロールス・ロイスやメルセデス・ベンツがライセンス契約を結ぶほど。2015年のシトロエンC5まで、伝統は受け継がれた。
現代版のハイドロニューマチック、PHC
現在のシトロエンは、ハイドロニューマチックにかわる新技術を開発し、乗り心地の良さを誇示しようとしている。フラッグシップのクロスオーバー、C5 Xに搭載することで。
リフトバック・ボディのC5 Xのデザインは、従来のシトロエンとイメージがまったく異なる。だが、フランスのブランドとして、個性的な優雅さを湛えていると思う。車高が持ち上げられているが、スタイリッシュなステーションワゴンに近い。とても新鮮だ。
全長が4805mmもあるビッグ・シトロエンで、先進的なサスペンションを搭載している。それでいて、最高出力は控えめ。1970年のDSや、1991年のXMと比較するのにピッタリではないだろうか。
C5 Xが搭載するプログレッシブ・ハイドローリック・クッション(PHC)と呼ばれる技術は、2018年のC4 カクタスから採用が始まっている。現代版のハイドロニューマチックだと、同社は主張している。
ハイドロという言葉を用いているが、実際は収縮用と伸張用の小さなサブ・ダンパーを内蔵した、従来のダンパーの延長上にある。サスペンションへ強い負荷が掛かると減衰力も変化し、油圧バンプストップのように機能し、強い衝撃を吸収してくれる。
実際の油圧バンプストップを採用するモデルも増えているが、シトロエンは特別なダンパーで、ソフトなコイルスプリングの採用を可能とした。サスペンションを柔軟に動かし、ストロークを使い切ることで滑らかな乗り心地を生んでいる。
歴代のシトロエンで最も快適なモデルは?
ここで気になるのが、従来のハイドロニューマチックとの違い。新しいC5 Xと、DSやXMを英国の傷んだ路面で乗り比べたら、どんな印象を受けるのだろうか。歴代のシトロエンで、最も快適なのはどの年代のモデルだろう。
シトロエン・マニアにとっては、余り知りたいとは思えない事実かもしれない。今回、DSの廉価版、ID 19を貸してくれたエドモンド・ヒル氏と、XMを貸してくれたロブ・ドレイパー氏には深く感謝を申し上げたい。
車齢でいうと新旧で50歳も異なる、3世代のシトロエンが集まった。スペック表を見比べると、意外なことにC5 Xは先輩と並ぶ数字が大きくは違わない。
全長は100mmの差に納まっている。最高出力も、1.2L 3気筒ターボを積むピュアテック130 シャインプラスのCX 5は130psで、2.0L 4気筒を積む2.0 SiのXMは129psと並ぶ。1.9L 4気筒を積むID 19は84psと、小さくない開きはあるが。
車重は新しいほど重いとはいえ、それでもC5 Xの1418kgに対しID 19の1168kgと、250kgの差に留まっている。サスペンションが支える負荷も、ほぼ同等といって良いだろう。
ヒルは10年前、レストアを前提にダークグリーンのID 19を2500ポンドで入手したという。当時としても破格値だったが、現在の状態へ仕上げるために10倍近い費用を投じている。それでも、まだ完璧な滑らかさまでには回復できていないそうだ。
この続きは後編にて。
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