クルマのコスパ、優劣の判断が難しい
text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)
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クルマに限らず、さまざまな商品やサービスに「コスパ(コストパフォーマンスの略称)」という言葉が使われる。
費やした費用や時間に対して、どれだけの効果や価値が得られたか、という意味だ。「費用対効果」ともいわれる。
クルマの場合は、どのような車種のコスパが高いのかを改めて考えたい。
クルマのコスパは主に「機能、装備、質感と価格のバランス」で決まる。
機能が優れ、装備も充実していて、質感も高く、なおかつ価格の割安なクルマがコスパも優れていることになる。
ただしクルマの機能や装備は、ほかの商品に比べて大幅に多い。
パソコンやスマートフォンの機能も多岐にわたるが、それは主にアプリケーションやソフトウェアによるものだ。
それに比べるとクルマは、サイズも大きく、膨大なメカニズムによって構成されている。
走行性能を大雑把に分類しても、動力性能/加速性能、走行安定性、乗り心地に分類される。燃費性能も大切だ。
クルマのカタログやウェブサイトに掲載される主要諸元表を見ると、さまざまなメカニズムや性能のあることがわかる。
さらに居住空間も 調度品とは異なる
さらにクルマには居住空間としての機能もあり、車内の広さ、シートの座り心地、荷室の広さや収納性、内装の質感なども問われる。
居住空間といっても固定された家屋とは異なり、クルマは高速で走るから、乗員の体が常に安定していることも求められる。
衝突時にシートがはずれたり壊れたりせず、ボディを中心に乗員を守ることも大切だ。家屋に設置された調度品とは機能とコストが大幅に異なる。
クルマには安全性から快適性を高めるものまで装備も豊富だ。クルマのカタログやウェブサイトに掲載される主要装備品表を見ると、車内の快適性を高めるエアコンやシートヒーターから、LEDヘッドランプ、アルミホイール、エアロパーツなどの外装パーツまで幅広い。
特に近年では、安全性を高める衝突被害軽減ブレーキ、長距離ドライブ時の快適性を向上させる運転支援機能、カーナビを含めて各種の情報を表示するモニター画面、SOSの発信も可能な通信機能などが採用されている。
このほかドアの開閉音、エンジンノイズの音質、ドアトリムなどの肌触りといった感覚的な要素も含まれる。
クルマのコスパは、これらをすべて考慮した上で算出されるため、ほかの商品に比べると優劣の判断が難しい。
コスパの優劣、どう決めるべきなのか
クルマのコスパは多岐にわたるので、優劣を決めるのは難しい。
例えば売れ筋価格帯が200~250万円のシエンタと、400~550万円のアルファードで、コスパの優劣を判断するのはほぼ不可能だ。
「大勢で乗車できて、価格が200万円ならシエンタのコスパが勝る」というのは短絡的だろう。
シートの座り心地や内装の質、乗り心地まで、アルファードはさまざまな機能を上質に仕上げているからだ。
つまりコスパの勝負が成り立つのは、ボディサイズ、エンジン排気量、基本的な機能、価格などが似通っている同じカテゴリーのライバル同士だ。
アルファードならエルグランド、シエンタではフリードが比較相手になる。
ただしそれでもコスパの結論を出すのは容易ではない。基本的な機能や価格が似ていても、内外装のデザインや質感、シートの座り心地、乗り心地、走行安定性などの優劣が車種によって異なるからだ。
基本性能の劣った設計の古い車種に、装備をたくさん装着して、価格を安く抑えてもコスパが優れているとはいえない。
デザインや走りなどが一定の水準に達していて、比べやすい関係になっていることも不可欠だ。
注目のノート/ヤリス/フィット比較
ライバル車同士でコスパを比べやすいのは、今ならコンパクトカーの日産ノート/トヨタ・ヤリス/ホンダ・フィットの3車種だろう。
全車が同じカテゴリーに属していて、ボディサイズや動力性能も同程度だ。すべて2020年に発表された新型車だから比べやすい。
車内と荷室の広さは、1位がフィット、2位はノート、3位はヤリスになる。
走行性能と乗り心地は、1位がノート、2位はフィット、3位はヤリスだ。
安全装備は1位がヤリス、2位はノート、3位はフィットになる。
このように3車種の機能を比べると、いずれも一長一短になっている。
価格はノートがeパワーのみになることから、必然的に全車をハイブリッドで比べる。
ノートXが218万6800円、ヤリス・ハイブリッドZは229万5000円、フィットe:HEVホームは206万8000円だ。
この価格の順列をそのままコスパに当てはめることはできない。装備内容が違うからだ。
特に注意が必要なのはノートで、運転支援機能のプロパイロットが、Xのみにオプション設定されている。
ヤリスやフィットでは、車間距離を自動調節できるクルーズコントロールや車線の中央を走れるようにパワーステアリングを制御する機能は標準装着されるが、ノートでは別途オプション装着せねばならない。
しかもノートのプロパイロットは、インテリジェントルームミラーやカーナビとセットになり、セットオプション価格が44万2200円に達する。
この中には後方の並走車両を知らせる後側方車両検知警報などの安全装備も含まれるが、高額なセットオプションであることに変わりはない。
プロパイロットを割安に装着したいユーザーにしてみれば、ノートはコスパで不利になってしまう。
ノートはLEDヘッドランプも、アダプティブ機能(ハイビーム時に照射範囲を自動調節して対向車などの眩惑を抑える機能)とセットになって、オプション価格は9万9000円だ。ノートXにこれらのオプションを加えると、総額は272万8000円に達する。
ちなみに、ほかのオプション価格をベースにして、ノートのプロパイロットの正味価格を割り出すと6万8500円だ。プロパイロット単体では割安で、コスパも優れているが、複数の装備とセットオプションにしたことで選びにくくなった。
このようにコスパは、オプション設定の仕方によっても変わる。ノートの残念なところで、コンパクトカー3車のコスパ順位は、1位がフィット、2位はヤリス、3位がノートになってしまう。
同一車種ならばグレードで比べやすい
最もコスパの判断がしやすいのは、同一車種同士で、グレードや特別仕様車を比べる時だ。
例えばホンダNボックスG・Lホンダセンシングは、Gホンダセンシングに、左側スライドドアの電動機能、運転席の上下調節機能、充電用USBジャック、後席のロールサンシェードなど17万円相当の機能を加えながら、価格上昇は13万2000円に抑えた。
同一車種であれば、グレードが違っても、居住空間や荷室の広さはほぼ共通だ。
エンジン、サスペンションの設定、タイヤサイズが同じであれば、走行性能や乗り心地にも差は付かない。
グレードによる主な違いは装備に絞られるから、装備内容と価格のバランスにより、コスパの優れたグレードを判断できる。
そのほか購入後短期間で売却する時は、リセールバリューもコスパに影響する。車両価格が200万円のクルマを3年間使った場合でも、中古車市場で人気の高い車種なら100万円で売却できるが、不人気車だと75万円になったりする。
コスパを重視するなら、高く売却できるクルマを選ぶことも大切だ。
新車の販売店では、基本的にコスパの優れたクルマを買って欲しいと考えている。
コスパの高いクルマを販売すれば、数年後に「今なら150万円で下取りできます。同程度の金額を加えれば、300万円の新型に乗り替えられます」という具合に提案できるからだ。
コスパの優れたクルマを買いたい時には、販売店の意見も参考にすると良いだろう。
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みんなのコメント
ノートはOPが多く必要なものを付けると、他車に比べかなり高額になるから
単純にこの3車で選ぼうとすると割高感が否めないが、ユーザーが価格以上の満足を得られてると感じるなら成功だと思う。
個人的にはフィットに安価な社外ナビ付けて乗るのが一番いいと思うわ。
コスパというか何を選択するかじゃないかな。