注目のマツダ スカイアクティブXというエンジン、そしてマツダ3というグローバル戦略車が国内デビューをした。画期的エンジンとか、次世代の環境性能を目指すなど、さまざまな形容詞で飾られたスカイアクティブの第2世代。そのトップバッターがマツダ3で、概念を覆すクルマ造りに驚いた。
試乗コースは市街地とワインディング
ファーストインプレッションは「日本車もここまで来たか」だった。新型マツダ3は滑らかに、そして静かに走る走行フィール。思いのままに動く操舵フィールや、攻めた走りにも応えるスポーツ性など、どこを捉えても「いいねぇ」という言葉が口をついて出てくる。さらに注目されるスカイアクティブXという、新しいエンジンへの興味もプラスされる試乗だった。
試乗車はハッチバック、セダンの両方に試乗でき、ディーゼル、ガソリン、そしてSPCCIのスカイアクティブXという3タイプのエンジンに試乗できた。
何でそんなに感心したのか。駐車場を出るときにアクセルを踏み、ステア操作し、ブレーキを踏む。その瞬間に気持ちの良さの片鱗を感じたのだ。「お!いいねぇ」と。
試乗コースは市街地とワインディング。高速道路は走行できなかったが、日常的に乗るエリアとドライブなど運転を楽しむ場面の再現の場としては良い試乗環境だ。
交通の流れに沿って走ると、その静粛性と乗り心地の良さに驚く。先入観が邪魔をするのか、クルマの走行ノイズや滑らかさにはある程度予測があるから、想像以上のものを体験すると驚きになる。路面のコンディションが良ければ滑らかに走るモデルは多い。
特にプレミアムモデルになると、そうした滑らかさは、常識であり車両性能として必須項目であろう。そして路面が悪くなると、音そのものは大きくなるが入ってくる音への処理がなされていて、乗員は整音された音によって耳障りでなくなるものだ。
マツダ3は全領域で滑らかで静粛性が高い。Cセグメントクラスのプレミアムモデルに匹敵するトプクラスの出来栄えだという印象だ。
なんでも微分するマツダ
そしてステア操作では気持ち良さまで加わってくる。「ライントレース性」とか「期待どおりに動く」といった操舵性能に加えての印象なのだ。プレミアムモデルにとっての当たり前性能に、プラスされるもう一つの性能をマツダは「感性性能の熟成」を付け足しているわけだ。つまり「気持ちよさ」や「運転の楽しさ」だ。
もともとドライビングポジションへのこだわりやペダル配置といった基本レイアウトをとても重視するクルマ造りのメーカーだが、その上に感性性能をプラスした。その感性性能、つまり人が感じるフィーリングを数値化し、MBD(モデルベース開発)で作り上げている。なんでも微分するマツダらしい、新しい領域へ踏み込んだ性能だと言えよう。
なぜ、こうした試乗フィールが得られるのか、エンジニアに聞いてみた。すると、これまで背反性能とされる領域のものを、「統合した考え方」にすることで両立できることが見えてきたのだ。
人間だってサスペンション
乗り心地とダイナミック性能の両立は難しいというのは常識だ。ハンドリング性能をあげれば高い減衰力が必要になり、乗り心地では「硬い」ということになる。その両立がこれまでのクルマづくりにおいて難しいとされている部分だ。
マツダ3では、人間がどう感じるのか?という「人間中心」の乗り心地とダイナミック性能の追求から両立を目指したのだ。
コーナリングをするとき、車両姿勢としてはブレーキングと加速によってピッチングが起きている。また、旋回ではコーナリングフォースが発生し、車両の動きとしてロールとピッチング、そしてヨーモーメントを感じているわけだが、マツダ3ではそうしたGや動きをあまり感じない。
その秘密は、ドラポジにおける骨盤の位置を正しく立ててあげるポジションにすることで、人間自身がサスペンションの働きを無意識にできるという能力を使っているということなのだ。つまり制御や機械での性能と人間の本来持つ能力を統合して、クルマの乗り心地をつくるという考え方だ。
もちろんマツダ3も、横Gや前後Gは発生しているが、それをどこで減衰していくのか?という視点でみると、まずタイヤでの減衰があり、ダンパー、スプリングなどのサスペンションがある。そしてシートでも減衰できるパーツということになる。加えて、人もプラスするというわけだ。
運転が楽しくなるマツダ3
コーナリングGが発生すると、人は目線を旋回方向へ向け、外側にGがかかりシートのサイドサポートによって支えられる。このとき、人は横Gを全身で感じている。マツダ3に搭載する新設計のシートでは骨盤を立てることで背骨のS字カーブの歪みを減らし、つまり人間で減衰することができ、結果、頭の位置はあまり動かない。だから視線の動きは小さく、横Gを感じにくいというわけだ。さらにタイヤへの設置荷重をコントロールするGベクタリングプラスの制御も加わり、前述したような試乗フィールが得られるという理屈だ。
この感覚に慣れてくるとドライバーは、クルマが曲がっていくことをすごく簡単に感じる(理解する)ことができるので、どんどん高い速度で走りたくなるのだ。さらに、車両コントロールが上手にできているという気持ちにもなる。まさに、「運転が楽しい」と走れば走るほど感じてくるのだ。
スカイアクティブXの訴求ポイントはここ
注目のスカイアクティブXは当Webサイトでも技術解説をしてきているが、いよいよ、公道で走行できる機会となったわけだ。
関連記事:「今マツダに何が起きているのか? SPCCIという独自の燃焼方式の誕生」
簡単に注目ポイントを先に伝えると、スカイアクティブXは、リーン燃焼させて環境負荷を軽減する環境エンジンという位置付けだ。つまり、省エネエンジンは「つまらない」ものというのが、これまでの常識。パワーもなくレスポンスも悪い、およそスポーツドライブとは無縁というイメージがあると思う。
だから、その環境性能を追求したエンジンがどこまで、通常燃焼するエンジンのように走れるのか?というのが簡単に言えば、スカイアクティブXの訴求ポイントになる。
エンジン内で何が起こっているのか
一般的にこれまでは、リーン燃焼させると省燃費にはなるがトレードオフとして、トルクが出ない。だからターボやモーターなどでトルク不足を補っていく、というのがリーン燃焼エンジンでは見られる技術だ。しかし、スカイアクティブXはオルタネーターを駆動モーターとする装備をしているだけだ。しかも24Vでマイルドハイブリッドではあるが、4.8kW(6.5ps)と出力は小さい。
スカアクティブXの燃焼は全域でリーン燃焼するわけではなく、通常燃焼+ミラーサイクル(高負荷時)、大量EGRを使っての燃焼、そしてΛ2(ラムダツー)と言われる大量の空気を送り込んでのリーン燃焼という、3段階がありその燃焼の切り替えによりトルク不足を感じさせないというシームレスな燃焼でトルク不足を補っている。
ちなみに、このΛ2の領域にするために、スーパーチャージャーを利用し大量の空気をシリンダーへ送り込んでいる。マツダではこれを「高応答エアサプライ」と呼んでいる。
つまり、高負荷域では通常燃焼するので、力不足の心配はない。そこから低負荷へと変化していく中で燃焼の切り替えが行なわれている。車載のナビゲーションモニターには燃焼状態を示すアイコンがあり、通常燃焼している時は4つのピストンの絵が赤く表示され、リーン燃焼になるとグリーンになる。
発進時などの高負荷では赤くなり、アクセルを踏み込んで加速させるころにはグリーンになっているのだ。ワインディングを気持ちよく走行しているときも、ほとんどグリーンが点灯しておりリーン燃焼していることがわかる。ただしEGRをつかったG/F(A/Fに対するマツダの呼び方)、とΛ2の違いまでは表示されない。
このグリーン表示されているときがSPCCIというスパークプラグを使った、マツダ独自の燃焼方法でリーン燃焼させている領域というわけだ。
そしてスカイアクティブGよりもギヤ比は約7%程度ローギヤード化をし、最終減速比ではスカイアクティブGが4.0、Xが4.3という数値から分かるように、ややギヤ比を低めて加速力を補う工夫がある。
スカイアクティブXの価値
特筆すべきは、このスカイアクティブXエンジンは、非常に滑らかに回り、ガソリン車と同じ6800rpmがレッドゾーン。そこまで一気に滑らかに回るのだ。この環境性能を追求したエンジンなのに、ガソリンエンジンと大差ないフィールで吹け上がり、走らせることができる。これこそスカイアクティブXの価値と言える。
さらに、自己着火つまりディーゼルのような燃焼の領域があるため、ノイズや振動といったものがあるはずだが、車内にいる限りガソリン車とそう大差ない。ややエンジン音が太い音がするという程度の違いなのだ。
したがって、ワインディングのような場所でも滑らかで、静かに走りながら、スポーティな走行が可能で、どの領域でも滑らかさを失っていないのだ。前述の乗り心地の良さや操舵フィールの気持ち良さに加えてエンジンも滑らかで力強さも感じられる。それでいて環境性能が高いということになる。つまり環境性能を追求しながら運転して楽しいエンジンというのがスカアクティブXの正体だ。
なお、燃費に関しては今回の試乗ではデータ取りをしていないので、マツダが公表しているデータをお伝えしておく。燃費データは今回の試乗場所でマツダのドライバーが公道走行して記録したデータで、車両はFF/ATハッチバック、タイヤサイズは同じだ。その結果ガソリンが15.1km/L、スカアクティブXは18.2km/Lという結果になっている。燃費差は21%だ。
マツダの主張
これほど進化した新型マツダ3は「アクセラ」の後継モデルで、グローバルで使われていた「マツダ3」という名称が国内でも使われるようになった。そのマツダ3はスカイアクティブの第2世代となる最初のモデルだ。車両サイズは全長4460mm、全幅1795mm、全高1440mm(セダンは1445mm)、ホイールベース2725mm。
さらに、マツダの主張を感じるのが、このスカイアクディブXには6速マニュアルトランスミッション搭載モデルがラインアップしていること。それは「運転が楽しいぞ!」というメッセージだ。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>
パワートレーン諸元
スカイアクティブ-G
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