この記事をまとめると
■人生最後の1台として選びたいモデルをピックアップ
「君子危うきに近寄らず」「触らぬ神に祟りなし」! ベテランドライバーが語る「危ないクルマ」の見分け方
■「価格」「燃費」「運転システムの充実」「ボディサイズ」が終車選びでは重要だ
■現時点の目線で見た場合、「現行型ノートXの中古車」が終車にふさわしいことがわかった
カーライフの最後になにを購入するか候補を挙げてみる
人はいつか必ず死ぬ。そこに例外はない。これを書いている筆者もいつの日か死亡することになり、死んでしまえばクルマの運転もできない。いやその前に身体機能や認知能力などが「どう考えても免許を返納するべきでしょ!」という状態になるはずであるため、そのときがドライバーとしての死になるのだろう。
幸いにして現時点では、肉体的な死もドライバーとしての死も、恐らくまだ遠い先の話である。
だが見事な中年となり、「地面には段差などないのに歩いているとなぜかつまずく」ということも増えてきたいま、「終のクルマ」を選ぶという意味での終活ならぬ“終車活”について、そろそろ研究を始めてみてもいいタイミングなのかもしれない。ということで、始めてみよう。
といっても、筆者がリアルに終車活を開始するのは2044年ぐらいになるはず。その時代の自動車と道路がどういったモノに変化しているかは、現段階では想像もつかない。そのため、あくまでも「いま、2024年に買える新車または中古車」をベースに物事を考えてみることにしたい。
さて、もしもいまこの瞬間に私が終車活を始めるとしたら、最初の指標となるのは「価格」だ。いま現在でこそまあまあ高めのクルマに乗っているが、70代となった私の現金収入は激減しているはず。よって、高いクルマなど到底買うことはできない。予算は総額100万円台、最高でも総額200万円ちょいで抑えたいところだ。
そして次に「燃費」である。いま現在でこそ「好きなクルマにおいて燃費を気にするなんて野暮だぜ!」とうそぶきながら燃費極悪なハイオク指定車に乗っているが、現金収入が乏しくなった70代の私は、当然ながら省燃費志向である。ハイブリッドであるか否かは問わないが、とにかくレギュラーガソリンで20km/L以上は走ってほしい。
次の指標は「ボディサイズ」だ。つい先日、購入したばかりである全幅1795mmのクルマで細~い路地を徐行していた際、不覚にも左のドアミラーを電柱に軽くぶつけてしまった。
いろいろな意味でショックだったが、今後こういったことは徐々に増えていくのだろう。
よって、終車活時には「でっかいクルマ」は避けたいところだ。きっちり5ナンバー枠の寸法でなくても良いが、それに近いサイズ感であることが重要であるように思える。
そして、これに関連して「運転支援システムが充実していること」というのも重要になってくる。いまのところの私はまだ大丈夫だと思うが、それでも、30代や40代の頃と比べればヒヤリハットの頻度は確実に高まっている。この現実を冷静に受け止めれば、「機械に頼る部分を増やす」という選択をせざるを得ない。
そして、以上に加えて「受動安全性の観点から軽自動車は避けたい」「お金も熱意も恐らく減少しているので、しょっちゅう壊れるタイプのクルマは避けたい」あたりがテーマとなってくるだろう。
しかし……ここまで挙げてきたような、「安くて壊れなくて運転支援システムも充実している、燃費がいい小さめなクルマ」を選びさえすれば、未来の終車活人である私が満足できるかというと、そんなこともないはずだ。
なぜならば、性欲ならぬ「車欲」のようなものは、おそらくは永遠であるはずだからだ。
日中の書店へ行くと、いわゆるHな雑誌のコーナーで高齢者が熱心に立ち読みしている姿をしばしば目にする。おそらくだが彼らは、肉体的にではなく精神的に「Hなもの」を求めているのだ。そしてその希求は、たぶん死ぬまで続くのだ。
それと同様のことが、おそらくはクルマ生活においても起きる。つまり、70代になった私は、やはり「運転が楽しい!」とか「デザインがいい!」などの部分にも、どうしてもこだわってしまうのである。そして、そういった要素がないクルマ、あるいは希薄なクルマに乗っていても満足できず、不満タラタラとなり、結果として苦悶の表情のまま免許を返納することになるのだ。
苦悶の表情で最寄りの警察署に行くことだけは避けたい。であるならば、「安くて壊れなくて運転支援システムが充実していて、燃費がよくて小さめで、それでいて運転が楽しく、なおかつ内外装デザインもいい感じなクルマ」を、“終のクルマ”として選ぶほかない。
だが、果たしてそんな都合の良いクルマが世の中に存在しているだろうか?
取りまわしや運転支援は選択の要
わからないが、現時点で私が「そういった条件に合致しているのではないか?」と考えるのは以下の3車種だ。
まず、現行型スズキ・スイフトだ。中間グレードであるMX HYBRIDを選べば車両価格は192万2800円。総額で考えても200万円ちょいでなんとかなるだろう。
そして、過去に私が数々乗ってきたポンコツ中古輸入車各位と違ってしょっちゅう壊れることなど恐らくなく、ボディサイズも安定の全長3860mm×全幅1695mm×全高1500mm。
ブラインドスポットモニターなどを含む運転支援システムはばっちり標準装備であり、WLTCモード燃費は24.5km/L。実際はもう少し低い数値になるかもしれないが、レギュラーガソリンで20km/Lぐらい走ってくれれば十分以上である。
それでいて従来型以上にシュアで気持ちのいい走りは、元エンスージアストである70代の私を大いに満足させてくれるに違いない。
内外装デザインも、とくにしゃれているとは感じないが、まぁ及第点ではある。うむ、やはりスイフトがいいんじゃないか? いや、そうに違いない! と、現時点の私は思う。
次は、マツダ・MAZDA3ファストバック XDプロアクティブだ。
「現行型のスイフトがいいんじゃないか?」と確信しかけた私ではあったが、「内外装デザインが及第点でしかない」という部分に若干の引っかかりも覚える。やはり、なんだかんだで美しいクルマに乗りたいのだ。いつまでたっても、いくつになっても。
そう考えると、ベストはフェラーリのディーノ246GTを買うことなのだが、あれは大富豪老人にならないと買えない代物なので、セカンドベストは「MAZDA3ファストバックの中古車」だろうか。
中古であれば、走行3万km台ぐらいのXDプロアクティブを今であれば総額180万円ぐらいで買うことができる。
ディーノほどではないにしても内外装の美しさに何ら不満はなく、走りもまずまずステキだ。そして2019年式の場合、XDプロアクティブは比較的安価な軽油にてWLTCモード値で19.8km/L走ってくれる。
ボディサイズは全長4460mm×全幅1795mm×全高1440mmと、とくに全幅が私の想定よりも若干幅広く、なおかつ後方視界がいまひとつな点が気になるが、ブラインドスポットモニターやバックモニターなどの補助を得ながら使えば大きな問題はないはず。
「うむ、やはりMAZDA3ファストバックの中古車がいいんじゃないか? いや、そうに違いない!」と、現時点の私は思う。
「MAZDA3ファストバックの中古車がいいんじゃないか?」と確信しかけた私ではあったが、「後方視界がいまひとつ」という部分に若干の引っかかりも覚える。やはり、年を取ると何かと危ないからだ。そして燃費も、できればもうひと声ほしいというのが正直なところだ。終車活マンとしては。
最後は、現行型日産ノートだ。
ご承知のとおり現行型ノートの前期型は、内外装のデザインやあしらいがかなりしゃれている。シルバー系のボディ色だとやや地味にも感じるが、前期型のイメージカラーである「ビビットブルー」や、鮮やかな「ガーネットレッド」あたりを選べばかなりいい感じだ。
ボディサイズは全長4045mm×全幅1695mm×全高1520mmという70代にやさしい寸法で、上級グレードである「X」であれば各種装備や運転支援システムも充実。そして、ご承知のとおり1.2リッター直3ガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせたe-POWERがもたらす走りは活発で楽しい。
初期型は乗り味がやや硬い印象もあったが許容範囲内ではあり、中古車となったいまではこなれた乗り心地になっている可能性もある。それでいてWLTCモード燃費は28.4km/L。さすがにトヨタ・ヤリス ハイブリッドの燃費には敵わないが、まぁこのぐらい走ってくれれば普通に御の字である。
そんな現行型日産 ノート Xの走行1万km台ぐらいの中古車はいま、総額160万円ぐらいから狙うことができる。……うむ、私にとっての終のクルマはこれしかない! のかもしれない!
まぁ2044年のクルマ社会がどうなっているのかは見当もつかないため、なんの不安もないといえば嘘になる。だが少なくとも現時点の目線で見た場合には「現行型ノート Xの中古車」という素晴らしい選択肢があることがわかったことにより、私の老いへの不安はおおよそ消滅した。
ビビットブルーかガーネットレッドのノートXがある生活を満喫したあとであれば、私は笑顔で運転免許を返納できるだろう。
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59歳、コペンXPLAYの新車に乗っています。これで「終車活」に悔いなし。