生粋のスポーツカーメーカーとして有名なロータスを代表するミドシップスポーツカー、エキシージ。今回試乗したのは410という名前の通り、410psを発生するハイエンドグレード。そのポテンシャルは当然高い?REPORT◉吉田拓生(YOSHIDA Takuo)PHOTO◉田村 弥(TAMURA Wataru)/市 健治(ICHI Kenji)/三橋仁明(MITSUHASHI Noriaki)N-RAK PHOTO AGENCY※本記事は『GENROQ』2019年3月号の記事を再編集・再構成したものです。
アスリートのようなクルマ
現代では稀な軽量設計がもたらす身軽さと扱いやすさが素晴らしいアルピーヌA110
V6搭載のエキシージSが2012年にデビューして以降、ロータス随一の急先鋒は容赦なく進化してきた。わかりやすいのは最高出力で、当初350㎰だったスーパーチャージドのV6は、スポーツ380で文字通り380㎰にスープアップ。昨年はついにスポーツ410で大台を超え、今年の東京オートサロンで発表されたカップ430は限定車ながら430㎰に達している。
パワーが増したということは、当然のようにシャシーの側にも進化が盛り込まれている。もともと1ケタ台だった体脂肪率をさらに削ぎ落とすような努力が続けられると同時に、サスペンションシステムやエアロダイナミクスにも時代相応のアップデートの跡が見てとれる。
今回ドライブしたエキシージ スポーツ410は、410㎰の大パワーを、フロント60kg、リヤ90kgのダウンフォースによって抑えつける。もちろん軽量化にも抜かりはなく、1110kgまで低められている。
昨今のスポーツカーは20世紀の終わり頃と比べて性能も信頼性もはるかに高まっており、ツルシの状態でサーキットを連続周回できるクルマも増えている。それでも「ただ周回できる」だけでなく、真剣にサーキット遊びに没頭できるのはロータスくらいのものだろう。中でもエキシージ スポーツ410は珠玉だ。
ピットロードの出口から全開加速していくと、シフトアップの度にパワーの炸裂を楽しめる。だが驚くべきはクラッチミートの際にほとんどフロントが持ち上がらない点で、しなやかさを残しながら沈み込みを抑えたリヤサスと、新型クラムシェルによるフロントのダウンフォースが絶大であることがわかる。
スポーツ380以降のエキシージの魅力は、シャシー性能を食いつぶさんばかりのエンジンパワーの危うさで、その緊張感はスポーツ410に至って限界まで高まっている。特にコーナリング中、まだ旋回Gが残っている状態でのスロットルオンは、例えパイロットスポーツカップ2が温まっている状態でも油断できない。エリーゼのようにコーナーで少しリヤを滑らせながら帳尻を合わせるような猶予は、スポーツ410には残されていないのである。
フルブレーキングからのターンイン、コーナーの頂点を捉えた瞬間のバランススロットル等々、一連の動きを完璧にこなすことで生まれるクルマとヒトの走行芸術。スポーツ410におけるサーキット走行の愉悦に浸れるのは、断崖絶壁の間に張られた1本の綱を素足で渡れるようなドライバーだけなのである。
スポーツ410の走りの中で特に印象的だったのは、FSWのヘアピンから300Rを通過していく高速区間で、今回集まったどのクルマよりもスタビリティが高く、走行ラインに自由度があり、フルスロットルをキープできる時間も長かった。
一方残念に思えたのはストッピングパワーが足りなかった点で、公道走行まで考慮しているであろうブレーキパッドの性能が、サーキットの全開走行には見合っていなかった。だが、難癖を付けるとしたらその程度のことしかない。スポーツ410の完成度は恐ろしく高いのだ。
SPECIFICATIONS エキシージスポーツ410
■ボディサイズ:全長4080×全幅1800×全高1130mm ホイールベース:2370mm
■車両重量:1110kg
■エンジン:V型6気筒DOHC+スーパーチャージャー ボア×ストローク:94×83mm 総排気量:3456cc 最高出力:306kW(416㎰)/7000rpm 最大トルク:410Nm(41.8kgm)/2500~7000rpm
■トランスミッション:6速MT
■駆動方式:RWD
■サスペンション形式:Ⓕ&Ⓡダブルウイッシュボーン
■ブレーキ:Ⓕ&Ⓡベンチレーテッドディスク
■タイヤサイズ(リム幅):Ⓕ215/45ZR17(7.5J) Ⓡ285/35ZR18(10J)
■パフォーマンス 最高速度:180mph 0→60mph加速:3.3秒
■車両本体価格:1398万6000円
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