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これぞ羊の皮を被った狼!! ターセル/コルサ&カローラII「3ドアリトラ」の衝撃 【偉大な生産終了車】

掲載 更新 25
これぞ羊の皮を被った狼!! ターセル/コルサ&カローラII「3ドアリトラ」の衝撃 【偉大な生産終了車】

 毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。

 時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。

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 しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。

 訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回はトヨタ ターセル/コルサ/カローラII 3ドア リトラ(1986-1990)をご紹介します。

●【画像ギャラリー】ターセル/コルサ/カローラII…3兄弟の勇姿をギャラリーでチェック!!!!

文:伊達軍曹/写真:TOYOTA

■ターセル コルサ カローラII「3兄弟」に投入 リトラクタブルライトのハッチバックモデル

 1980年代のバブル景気を背景に、シンプルな小型FF車だったトヨタ ターセル/コルサ/カローラIIの3兄弟は、3代目へのフルモデルチェンジ時に(※カローラIIは2代目へのチェンジ)、「ボーイズレーサー」とでも呼ぶべきリトラクタブル・ヘッドライト仕様を3ドアハッチバック版に追加。

 それが、今回ご紹介するターセル/コルサ/カローラIIの「3ドア リトラ」です。そしてなかでも極めつけが、「リトラGPターボ」というホットグレードでした。

 1986年5月に発売された3代目ターセル/コルサおよび2代目カローラIIの主力は、オーソドックスなデザインの3/5ドアハッチバックでした。

ターセル(5ドア)。トヨタ初のFF車として登場したターセルとコルサは、1982年に2代目にモデルチェンジした際にカローラIIを迎え「3兄弟」と称され、1986年に3代目へと進化する

 しかし「3ドア リトラ」というスポーティグレードだけは、その名のとおりリトラクタブル・ヘッドライトを採用。

 どことなくAE86トレノのような、あるいは翌1987年に登場することになるAE92トレノを予感させる造形となりました。

 3兄弟の3ドア リトラが搭載したエンジンはごく普通の1.5L SOHCでしたが、1985年9月のプラザ合意を受けてイケイケの好景気が始まっていた日本では、そのデザインが若衆に注目され、3ドア リトラはそれなりのヒット作に。

 そして通常の3ドア リトラから遅れること4ヵ月、1986年9月には過給圧切り替え式ターボエンジンを搭載したホットトグレード「3ドア リトラ GPターボ」が追加されました。

カローラ2の3ドア リトラ GPターボ。リトラクタブルライトとは、可動式収納型のライトのことを指す。1978年にサバンナRX-7が採用して以後、日本でも広まるように。スポーツカーやスペシャリティカーに搭載されるのは珍しくなかったが、3兄弟のようないわゆる大衆車に搭載されたのは唯一の例となる

 GPターボに採用されたエンジンは新開発の3E-TE型。EP71型スターレットターボに搭載された2E-TE型のストロークを延長して1.5Lにしたもので、デュアルインテークの3バルブSOHCや空冷インタークーラー、2モードのターボシステムなどを2E-TEから踏襲。

 パワー&トルクは通常モード時が110ps/17.2kg-mで、Loモード時が97ps/15.2kg-mでした。

 足回りもGPターボ専用にチューンされ、4輪ディスクブレーキや185/60R14のタイヤもGPターボ専用の装備。

 また「スポーツパッケージ」では、TEMS(トヨタ電子制御サスペンション)と新プログレッシブパワーステアリングを選択することもできました。

 そういった車台よりエンジン出力が勝っていたGPターボはいかにも80年代らしい「じゃじゃ馬」でしたが、そこが逆に当時のユーザーの心に刺さったのか、それなりの人気車種にはなりました。

 しかし1990年にターセル/コルサが4代目に、そしてカローラIIが3代目へとフルモデルチェンジされる際に、3ドア リトラおよびそのGPターボはカタログから消滅。

「リトラクタブル・ヘッドライトを採用したターセル3兄弟」は、この1代限りで生産終了となったのです。

■人気車種となりながらも消えた理由

 トヨタ ターセル/コルサ/カローラIIという3兄弟の3ドア リトラおよびGPターボが生産終了となった理由。それは端的に言ってしまえば「ホットハッチブームが終わったから」でしょう。

 1980年代はさまざまなホットハッチが世界中の車好きを、特に、比較的若い世代の自動車愛好家を魅了しました。

 1970年代末期に登場した初代フォルクスワーゲン ゴルフGTIを皮切りに、日本ではホンダ シティターボおよびシティターボII(通称ブルドッグ)、ダイハツ シャレード デ・トマソ、トヨタ スターレット ターボS等々、挙げていけばキリがないほどのホットハッチが登場し、それぞれ人気を博していました。

 そして1990年代に入ってからも三菱ミラージュ サイボーグRやトヨタ カローラFX GTスーパーストラット等々のホットハッチは登場したわけですが、そこに80年代ほどの「勢い」はありませんでした。

 なぜホットハッチというジャンルが廃れたのか、正確なところはわかりません。しかしひとつ考えられるのは、80年代後半の世の中は異様な好景気に基づくジャブジャブの緩和マネーが、一般庶民のもとにも(ある程度)行き渡っていました。

 それゆえ、「どうせ高性能な車を買うなら、ハッチバックじゃなくてもっと立派なやつを!」と、多くの人が思い始めたからなのかもしれません。

 まぁこれはひとつの推論に過ぎませんが、いずれにせよトヨタは、時代の先を読んでいたのか、それとも「たまたま」だったのかは知りませんが、良い判断をしました。

コルサ リトラ。結局3ドア リトラ、およびそのGPターボモデルはこれら3代目に搭載されたきり、姿を消すことになる。またそれと足並みを揃えるように、機構の複雑さや重さ、空気抵抗、衝突の際の安全性が問題視されたリトラクタブルライトを搭載したモデルも激減してゆく

 ターセル/コルサ/カローラIIの3ドア リトラおよびそのGPターボは1990年をもって販売終了となったわけですが、ご存じのとおりその後、いわゆるバブルは崩壊し、日本では1992年頃に景気低迷のピークを迎えたからです。

 もしもそのその頃にも「ホットハッチ」の製造と販売を行っていたら、会社にとってはけっこうな「お荷物」になっていたことでしょう。

 以上のような流れで3兄弟のリトラクタブル系ハッチバックは廃番となったわけですが、この1980年代丸出しなデザインは、最近の若者(の一部)にはけっこう好まれるような気もします。

 それゆえ、もしも状態良好な中古車が残っていればけっこう面白いのでは……と思ったのですが、筆者が調べた限りでは、リトラ系3兄弟の現在の中古車流通は「ゼロ」でした。

 残念ですが、完全に絶滅してしまったようですね。

■トヨタ カローラII  リトラGPターボ 主要諸元
・全長×全幅×全高:3910mm×1635mm×1370mm
・ホイールベース:2380mm
・車重:910kg
・エンジン:直列4気筒SOHCターボ、1456cc
・最高出力:110ps/5600rpm
・最大トルク:17.2kgm/3200rpm
・燃費:14.8km/L(10モード)
・価格:124万2000円(1988年式リトラGPターボ 5MT)

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みんなのコメント

25件
  • 私をスキーに連れてって
  • 懐かしい。このスタイル最高だ。車体のコンパクトさ、価格の安さに目が釘付けになった。確かに80年代の国産車って、200万オーバーはそれなりに高級な車種だった。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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