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【標準シャシーでLSDレスのR.S.】ルノー・メガーヌR.S.280(1) 長期テスト

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【標準シャシーでLSDレスのR.S.】ルノー・メガーヌR.S.280(1) 長期テスト

初回 粒ぞろいだったルノー・スポールのホットハッチ

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)

【画像】ルノー・メガーヌR.S. 全76枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


ビジネスで専門家からの高い評価と、商業的な成功を収めたいのなら、自動車メーカーに意見を仰ぐと良いかもしれない。高い収益を得るのに長けているルノー。少なくとも新しいルノー・メガーヌは先代より優れていると思う。筆者が仕事で試乗している限り。

秀でたホットハッチを生み出すことが、以前から得意だったルノー。でも、最新のルノー・メガーヌR.S.は今とは少し違ったクルマでもいい、とも思う。

以前からルノー・スポールは、素晴らしい体験を与えてくれる、前輪駆動モデルを生み出すブランドだった。その思い出は今から10年以上前にさかのぼる。

これまで運転したホットハッチの中で、最高の10台を選ぶという課題に筆者が答えるとする。少なくともその内の4台は、ルノー・スポールが手掛けたクルマがランクインするだろう。

その4台は、ルノー・クリオ(ルーテシア)182トロフィーと200カップ、メガーヌR26Rと265 RB8。夢中にさせるクルマは、間違いなく自分の記憶に深く刻まれている。

年代が異なるだいぶ先輩のプジョー205GTiや2代目フォルクスワーゲン・ゴルフGTIなどと並ぶ、敬意を払いたいと思えるクルマだ。順列はつけにくい。

期待のホットハッチとして、新しい長期テストに加えることになったモデルが、フレイム・レッドのルノー・メガーヌR.S.280。わたし単独で進めるものではないけれど。

ダウンサイジング・ターボを積んだ現行型

若いロードテスターのリチャード・レーンとサイモン・デイビスは、筆者ほどルノー・スポールに対しての期待や思い入れはなさそう。よって、より公正な判断をしてくれるだろう。

特に新しいルノー・メガーヌR.S.は、ルノー・スポールの戦略的な開発が施されたクルマ。長期間乗ることでの印象の変化や、燃費など、確かめたいことはいくつかある。

2010年代の初め、ルノーの経営陣はファクトリー・チューンのR.S.モデル構成を改める決定をした。フォルクスワーゲンがGTIラインで得ている利益と人気を、羨ましく感じたのだろう。

近代的なホットハッチとして組み直すこととなった。日常的なクルマとして魅力を高め、技術的に洗練され、ほのかなプレミアム感を匂わせるクルマとして。

2012年に先代のルノー・クリオ(ルーテシア)R.S.が登場。デュアルクラッチ・トランスミッションのみの設定で、ダウンサイジング・ターボエンジンを搭載していた。

完成度の高い、自然吸気のホットなクリオ(ルーテシア)で育んできたファンを、新型でも維持することをルノーは明確に望んでいた。だが英国での販売台数の変化を見ると、望んだ通りにはならなかったようだ。

現行のメガーヌR.S.280が登場したのは2018年。前回のクリオ(ルーテシア)R.S.が犯した間違いと、同じことを繰り返していないだろうか。

エンジンは2.0Lの自然吸気から、環境に優しくも回転フィールで劣る1.8Lターボへスイッチ。高性能版メガーヌとしては初めて、デュアルクラッチATが組み合わされている。ただし今回、ルノー・スポールはマニュアルもちゃんと用意している。

標準スペックのR.S.280

トゥインゴやGTを除くルノー・スポール製のクルマとしては初めて、生産地がフランスではなくなった。他のメガーヌと同様に、スペインで組み立てられる。

ミドシップ・スポーツのアルピーヌA110は成功を収めており、おそらくフランスの工場にはより広いスペースが必要なのだろう。次のクリオ(ルーテシア)R.S.も、スペイン産となるはず。

ホットハッチとして、シャシーの仕上がりは極めて説得力が高い。一方で4輪操舵システムと油圧サスペンション・バンプストップなどが原因で、いくつかのテストではわれわれの期待値を超えることはなかった。

比較試乗では、メガーヌR.S.280とR.S.300は、ともにホンダ・シビック・タイプRに及ばなかった。だが、どちらも硬めのカップ・サスペンションを装備していたことも影響しているだろう。2018年のプレス発表でルノー・スポールのシャシー・エンジニアが指摘していたが、このサスペンションは公道よりもサーキット重視の設定となっている。

今回長期テストで導入したクルマのサスペンションは、標準タイプ。油圧サスペンション・バンプストップの設定もまるで異なる。

カップシャシーではないということは、リミテッド・スリップデフも付いてこない。だがカップシャシーの過酷な乗り心地を考えた場合、われわれは喜んでオープン・デフを受け入れる。

VWゴルフGTIに並べるのか

エンジンもトロフィー・スペックではない。これが今回の長期テストのルノー・メガーヌR.S.280だ。個人的には最大のライバル、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIに並ぶ、豊かな日常性と奥深さを備えていることを期待している。ルノー・スポールなら、できると信じている。

手元に来て数日目だが、すでに人間工学的な使いやすさ分で、気になる部分を見つけている。一方で、筆者はまだルノー・メガーヌR.S.280を、本領を発揮できる郊外の道で、本気で走らせていない。

その結果も含めて、長期的には評価が上昇する可能性も、下降する可能性も秘めている。これからが楽しみだ。

セカンドオピニオン

わたしが10代だった頃、ルノー・スポールのメガーヌとクリオ(ルーテシア)は、自動車雑誌で揺るがない地位を獲得していた。今回、ロードテスターとして長い時間を掛けて評価できる。フランス流の魔法のタネを発見できることが楽しみだ。

確かなことは、ホットハッチというカテゴリーでの競争は、従来にも増して激しいということ。メガーヌは今のところ、かなりシリアスなインパクトを与えてくれている。 Simon Davis(サイモン・デイビス)

テストデータ

テスト車について

モデル名:ルノー・メガーヌR.S.280(英国仕様)
新車価格:2万7835ポンド(398万円)
テスト車の価格:2万9435ポンド(420万円)

オプション装備

メタリック・ペイント(フレイム・レッド):650ポンド(9万3000円)
インテルラゴス・ブラック19インチ・ホイール:950ポンド(13万6000円)

テストの記録

燃費:11.7km/L
故障:なし
出費:なし

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みんなのコメント

1件
  • 記事を読むと素のメガーヌRSは大したことないみたいな表現ですが、並大抵の腕がないと素のメガーヌRSの限界を引き出せませんよ。個人的にはむしろ素のモデルでよかったな~、ちょっと後悔、と思います。
    ただ、どうしてもMTにこだわるならトロフィーしかありませんけど。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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