初回 粒ぞろいだったルノー・スポールのホットハッチ
text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
ビジネスで専門家からの高い評価と、商業的な成功を収めたいのなら、自動車メーカーに意見を仰ぐと良いかもしれない。高い収益を得るのに長けているルノー。少なくとも新しいルノー・メガーヌは先代より優れていると思う。筆者が仕事で試乗している限り。
秀でたホットハッチを生み出すことが、以前から得意だったルノー。でも、最新のルノー・メガーヌR.S.は今とは少し違ったクルマでもいい、とも思う。
以前からルノー・スポールは、素晴らしい体験を与えてくれる、前輪駆動モデルを生み出すブランドだった。その思い出は今から10年以上前にさかのぼる。
これまで運転したホットハッチの中で、最高の10台を選ぶという課題に筆者が答えるとする。少なくともその内の4台は、ルノー・スポールが手掛けたクルマがランクインするだろう。
その4台は、ルノー・クリオ(ルーテシア)182トロフィーと200カップ、メガーヌR26Rと265 RB8。夢中にさせるクルマは、間違いなく自分の記憶に深く刻まれている。
年代が異なるだいぶ先輩のプジョー205GTiや2代目フォルクスワーゲン・ゴルフGTIなどと並ぶ、敬意を払いたいと思えるクルマだ。順列はつけにくい。
期待のホットハッチとして、新しい長期テストに加えることになったモデルが、フレイム・レッドのルノー・メガーヌR.S.280。わたし単独で進めるものではないけれど。
ダウンサイジング・ターボを積んだ現行型
若いロードテスターのリチャード・レーンとサイモン・デイビスは、筆者ほどルノー・スポールに対しての期待や思い入れはなさそう。よって、より公正な判断をしてくれるだろう。
特に新しいルノー・メガーヌR.S.は、ルノー・スポールの戦略的な開発が施されたクルマ。長期間乗ることでの印象の変化や、燃費など、確かめたいことはいくつかある。
2010年代の初め、ルノーの経営陣はファクトリー・チューンのR.S.モデル構成を改める決定をした。フォルクスワーゲンがGTIラインで得ている利益と人気を、羨ましく感じたのだろう。
近代的なホットハッチとして組み直すこととなった。日常的なクルマとして魅力を高め、技術的に洗練され、ほのかなプレミアム感を匂わせるクルマとして。
2012年に先代のルノー・クリオ(ルーテシア)R.S.が登場。デュアルクラッチ・トランスミッションのみの設定で、ダウンサイジング・ターボエンジンを搭載していた。
完成度の高い、自然吸気のホットなクリオ(ルーテシア)で育んできたファンを、新型でも維持することをルノーは明確に望んでいた。だが英国での販売台数の変化を見ると、望んだ通りにはならなかったようだ。
現行のメガーヌR.S.280が登場したのは2018年。前回のクリオ(ルーテシア)R.S.が犯した間違いと、同じことを繰り返していないだろうか。
エンジンは2.0Lの自然吸気から、環境に優しくも回転フィールで劣る1.8Lターボへスイッチ。高性能版メガーヌとしては初めて、デュアルクラッチATが組み合わされている。ただし今回、ルノー・スポールはマニュアルもちゃんと用意している。
標準スペックのR.S.280
トゥインゴやGTを除くルノー・スポール製のクルマとしては初めて、生産地がフランスではなくなった。他のメガーヌと同様に、スペインで組み立てられる。
ミドシップ・スポーツのアルピーヌA110は成功を収めており、おそらくフランスの工場にはより広いスペースが必要なのだろう。次のクリオ(ルーテシア)R.S.も、スペイン産となるはず。
ホットハッチとして、シャシーの仕上がりは極めて説得力が高い。一方で4輪操舵システムと油圧サスペンション・バンプストップなどが原因で、いくつかのテストではわれわれの期待値を超えることはなかった。
比較試乗では、メガーヌR.S.280とR.S.300は、ともにホンダ・シビック・タイプRに及ばなかった。だが、どちらも硬めのカップ・サスペンションを装備していたことも影響しているだろう。2018年のプレス発表でルノー・スポールのシャシー・エンジニアが指摘していたが、このサスペンションは公道よりもサーキット重視の設定となっている。
今回長期テストで導入したクルマのサスペンションは、標準タイプ。油圧サスペンション・バンプストップの設定もまるで異なる。
カップシャシーではないということは、リミテッド・スリップデフも付いてこない。だがカップシャシーの過酷な乗り心地を考えた場合、われわれは喜んでオープン・デフを受け入れる。
VWゴルフGTIに並べるのか
エンジンもトロフィー・スペックではない。これが今回の長期テストのルノー・メガーヌR.S.280だ。個人的には最大のライバル、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIに並ぶ、豊かな日常性と奥深さを備えていることを期待している。ルノー・スポールなら、できると信じている。
手元に来て数日目だが、すでに人間工学的な使いやすさ分で、気になる部分を見つけている。一方で、筆者はまだルノー・メガーヌR.S.280を、本領を発揮できる郊外の道で、本気で走らせていない。
その結果も含めて、長期的には評価が上昇する可能性も、下降する可能性も秘めている。これからが楽しみだ。
セカンドオピニオン
わたしが10代だった頃、ルノー・スポールのメガーヌとクリオ(ルーテシア)は、自動車雑誌で揺るがない地位を獲得していた。今回、ロードテスターとして長い時間を掛けて評価できる。フランス流の魔法のタネを発見できることが楽しみだ。
確かなことは、ホットハッチというカテゴリーでの競争は、従来にも増して激しいということ。メガーヌは今のところ、かなりシリアスなインパクトを与えてくれている。 Simon Davis(サイモン・デイビス)
テストデータ
テスト車について
モデル名:ルノー・メガーヌR.S.280(英国仕様)
新車価格:2万7835ポンド(398万円)
テスト車の価格:2万9435ポンド(420万円)
オプション装備
メタリック・ペイント(フレイム・レッド):650ポンド(9万3000円)
インテルラゴス・ブラック19インチ・ホイール:950ポンド(13万6000円)
テストの記録
燃費:11.7km/L
故障:なし
出費:なし
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
「とりあえず増税ね」で50年!? 「世界一高い」自動車諸税&ガソリン税“見直し”正念場 “年収の壁”の向こうの璧
態度を改めないと「免許返納です」傍若無人な“若者運転”が危険すぎる「5つの理由」って!? 事故を起こすのも当然! 未成熟な「ヤバすぎる運転」とは
27年ぶりにあの懐かしいスターレットが戻ってくる!? ヤリスより小さいリッターカーは2026年登場か!?
[大型ミニバン]頂上対決!? レクサス[LM]vsトヨタ[ヴェルファイア]約800万円の価格差はどこ?
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
ただ、どうしてもMTにこだわるならトロフィーしかありませんけど。