システム総合の最高出力は449ps
text:Jim Holder(ジム・ホルダー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
ベントレー製の大型SUV、ベンテイガへ2019年末に追加されたハイブリッド。既に顧客へ渡るベンテイガのかなりの割合を占めているという。
2023年末までに、ベントレーの全てのモデルへハイブリッドをラインナップするという計画に同調するかのようだ。世界が変化していることを表している。
ベンテイガ・ハイブリッドに搭載されるのは、3.0L V6のガソリンターボ・エンジン。ベントレーとしては最小ユニットとなり、バッテリーで駆動する電気モーターが組み合わされる、プラグイン・ハイブリッドだ。
エンジンの最高出力は339psで、電気モーターの最高出力は127ps。それぞれ発揮する回転数が異なるため、システム総合での最高出力は449psとなる。車重はベントレー・ミュルザンヌとほぼ同じ、2626kg。
ベンテイガの今はなきディーゼルエンジン版は、AUTOCARのロードテストで満点という高評価を得ている。W12気筒エンジンモデルも、9つ星と、90点の評価だった。ハイブリッド版となっても、パワートレイン意外は高評価のベンテイガと変わらない。
果たして、ハイブリッド版ベンテイガのすべてをボジティブに捉えることはできるのだろうか。2019年に英国編集部のアンドリュー・フランケルがアメリカで試乗した際、パワートレインの仕上がりには落胆した様子だった。
「エンジンはクルマを動かすための装置に留まっています。ベントレーが培ってきたブランドの価値にふさわしいパワープランドだと、手放しに評価することは難しいですね」
未来の上級な自動車による移動体験
今回も同様な感想を抱くだけでは芸がない。英国では初試乗となるが、前回の試乗記から流用したい文面がある。
「ベンテイガ・ハイブリッドは相応しい走りではなく、ベントレーというブランドやイメージを所有したいと思う人が求めるクルマではないでしょうか。ハイブリッドによる経済的なメリットだけでなく、裕福でありながら環境も配慮している、という周囲からの見られ方も得られます」
悪くいえば、そういうことかもしれない。
ベントレー・ハイブリッドでEVモードを選べば、最高のラグジュアリーSUVが出現する。魅了されるほどの静寂の中で、瞬時に湧き出る力強いトルク。特に適正さが求められる都市部では。
燃料を直接燃やさずに走っていると実感すると、心がほのかに温められる気持ちになる。これが未来の上級な、より良い自動車による移動体験だと結論付けたくなるのに、長い時間は必要ない。
その反面、電気エネルギーだけで走行できる航続距離は、メーカー値で39km/hに留まっている。今回の試乗では、実際には24kmから32kmくらいが現実的といえそうだ。技術的な限界を押し広げているわけでもない。
だが、電動化技術のインパクトは大きい。ほぼ満載状態でロンドンからウェールズまで400kmほどの距離を走行したが、燃費は10.9km/Lと車格にしては良好な数字だった。ほぼ全区間を高速道路で走行したため、ハイブリッドには悪条件だったにも関わらず。
以前、レンジローバーのディーゼルエンジン・モデルで同じ区間を走行し、これより若干良い燃費を出したことはあるけれど。
0-100km/h加速5.2秒、最高速度254km/h
さらに高速道路も交えた、より好条件での130kmの走行では、ベンテイガ・ハイブリッドは14.1km/L以上を記録している。ロンドンを終日ノロノロと走っている限り、電気エネルギーだけで走行できていた。
長距離を走ってエンジンが目覚めても、普通に運転している限り、幸せを感じるクルマのままだ。ナビに目的地を入力しておけば、ガソリンとバッテリーの最も効率的にエネルギーを利用した走行を、自動で選択してくれる。
確かにアメリカでの試乗のとおり、サウンドやパフォーマンスの面で楽しさやドラマチックさは小さい。ベントレーがこれまで積んできた、V型8気筒やW型12気筒エンジンといった名ユニットと比較してしまうと明らかだ。
それでも運動神経は悪くなく、0-100km/h加速は5.2秒で、最高速度は254km/h。その過程でベントレーらしい魅力が薄くても、実際には素晴らしい実力を持っている。
電気モーターとバッテリーの恩恵は高く評価できる。それを踏まえるとエンジンも不満はなく、充分褒められる仕上がりを得ている。ベンテイガを考えているドライバーでも、電動化技術で得られるメリットを中心に考えれば、ハイブリッドは検討するに値するはずだ。
フランケルなら、パワフルで音色豊かな、より従来のベントレーらしいV8エンジンを選ぶのだろう。その場合ほぼ確実に、車両価格からすれば小さい6400ポンド(90万円)の追加料金が必要となる。
巨大なSUVが無音で力強く走る事実
裕福な層の節税対策モデルだとは呼ばないで欲しい。都市部での渋滞税を減らし、中心部へ立ち入りが許される、短いゼロ・エミッション走行だけが目的ではない。走行性能や周囲からの見られ方を、大多数とは異なる基準で判断するドライバーもいるのだ。
自動車通勤で距離が短いドライバーなら、EVモードでの上質なドライビング体験を毎日楽しむことができる。少し長くても、ガソリンエンジン・モデルよりも優れた燃費には満足感が得られるだろう。
筆者の場合、本物のパフォーマンスカーや、4シーターのパフォーマンス・モデルを選ぶなら、そもそも2.5tもあるSUVを選ぶことはない。ベンテイガ・ハイブリッドに惹かれるドライバーの多くは、大きなガレージに別の個性を主張できる別のクルマを所有しているケースが大多数なはず。
ベンテイガ・ハイブリッドが、万人受けするモデルではないことは確か。強く主張できるほどの中身ではないかもしれない。
しかし、これほど巨体のSUVが、ほぼ無音で力強く走るという事実を無視することはできない。ベントレー・ベンテイガ・ハイブリッドは、モデル・ラインナップに加えるだけの明確なメリットを備えていると思う。
ベントレー・ベンテイガ・ハイブリッドのスペック
価格:13万500ポンド(1853万円)
全長:5140mm
全幅:1998mm
全高:1742mm
最高速度:254km/h
0-100km/h加速:5.5秒
燃費:28.5km/L
CO2排出量:79g/km
乾燥重量:2626kg
パワートレイン:V型6気筒2995ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:449ps(システム総合)
最大トルク:71.2kg-m(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック
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