現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「サンキューハザード」はアリか 路上のコミュニケーション、どう広まった?

ここから本文です

「サンキューハザード」はアリか 路上のコミュニケーション、どう広まった?

掲載 更新
「サンキューハザード」はアリか 路上のコミュニケーション、どう広まった?

「サンキュー」の意味は「拡大解釈」?

 合流や車線変更でゆずってもらったとき、ハザードランプを少し点灯させ、相手ドライバーに感謝の気持ちを伝えるといった光景はしばしば見られます。俗に「サンキューハザード」などとも呼ばれます。

駐車場でドアミラーたたむ? そもそもなんのための電動なのか

 ハザードランプは正式には「非常点滅表示灯」といい、辞書類には「故障などで緊急停車する場合、警告を発するために用いる」(三省堂『大辞林』)とされています。前方で渋滞が発生し速度を落としているような状況で、そのことを後続車に伝えたり、路上に停車あるいは駐車したりする場合に使うことも見受けられます。

「サンキューハザード」も含め、本来ハザードランプはどのように使われるものなのでしょうか。東京都世田谷区の自動車学校、フジ・ドライビングスクールの田中さんに聞きました。

――「サンキューハザード」は教習では教えているのでしょうか?

 いえ、正しい使用方法ではないので、しないよう教えています。「ありがとう」だけでなく、いろいろな意味で使われるようになっているからです。たとえば、人によっては合流などでゆずってもらったあとに点灯させるのではなく、「割り込んでゴメンネ」の意味で、あらかじめハザードを点灯させながら割り込む人もいます。あるいは駐車時、「すぐ戻ります」の意味で点灯させている人もいるなど、いろいろな拡大解釈があります。

――「サンキューハザード」はいつごろから広まったのでしょうか?

 わたしが初めて「ありがとう」の意味でハザードが使用されているのを見たのは、30年くらい前、東名高速でトラックどうしが行っていたものです。それまでは私も含め、一般的にドライバーが車線変更や合流をする場合には、窓を開けて手で挨拶をしていました。トラックではそれができないので、ドライバーどうしのコミュニケーションのひとつとして行われていたものが、いわば“ツウ”の合言葉として若者のあいだで広まったものと思います。

ハザードランプ、本来の使用法は?

――本来はどのような場面で使うのでしょうか?

 道路交通法では、「このようなときに使う」「こう使ってはいけない」と具体的には書かれていません(編集部注:道路交通法を実施するための政令である道路交通法施行令には、「夜間、道路〔中略〕の幅員が5.5メートル以上の道路に停車し、又は駐車しているときは、車両の保安基準に関する規定により設けられる非常点滅表示灯又は尾灯をつけなければならない〔後略〕」「通学通園バスは、小学校等の児童、生徒又は幼児の乗降のため停車しているときは、〔中略〕非常点滅表示灯をつけなければならない」とある)。

――これが誤解を生んでしまう場面もあるのでしょうか?

 たとえば路肩に10台くらいが駐車していて、そのあいだの2、3台がハザードランプを点灯させていたとしたら、そのクルマが発進するのかどうなのかわからなくなるでしょう。また、運転中に具合が悪くなって停車しなければならない場合、ハザードを点灯させることでそれを外部に伝えるということもあります。これこそ本来のハザードランプの役割なのですが、緊急性の意味が薄れていることを考えれば、本当の緊急時を伝えるためのランプが別に必要なのかもしれません。

※ ※ ※

 田中さんによると、「サンキューハザード」は日本以外でも行われることがあるとのことです。

 ちなみに、「サンキューハザード」に代わって相手に感謝を伝えるため、リアガラス部に装着する専用の「ありがとうランプ」なる商品も販売されています。販売元である有限会社プリントアート(東京都足立区)は同商品のパンフレットで、「サンキューハザード」が誤解を生み追突される恐れがあるほか、「ハザードランプで挨拶をしなくても違法ではないのに、『挨拶がない』と、トラブルになる」ことの危険性なども挙げています。しかし、相手ドライバーへ気持ちを伝えること自体は「決して悪いことではなく、むしろ礼儀として必要な事と思います」とし、「紛らわしいハザードランプ点灯での挨拶はやめ、心通う『ありがとうランプ』で『おだやかドライブ』を」としています。

 この「ありがとうランプ」についてプリントアート代表の島崎勝信さんは、「ハザードランプでのあいさつが味気なく、文字で伝えたいと思い、25年ほど前に自作して自分のクルマで使っていました。その当時はLEDランプがないので重くて大きな機器になりましたが、近年はLEDを使って、吸盤で付けられほど薄く作れることから、2017年に商品化しました」と話します。

【写真】文字で伝える「ありがとうランプ」、絵文字やローマ字も

【キャンペーン】マイカー・車検月の登録でガソリン・軽油7円/L引きクーポンが全員貰える!

こんな記事も読まれています

スポーティな世界観にファンは熱狂! レイズ グラムライツに注目する~2024 RAYS FAN MEETING~
スポーティな世界観にファンは熱狂! レイズ グラムライツに注目する~2024 RAYS FAN MEETING~
レスポンス
エイドリアン・ニューウェイ、レッドブル離脱発表はマイアミGP前? 稀代のF1デザイナーの去就注目
エイドリアン・ニューウェイ、レッドブル離脱発表はマイアミGP前? 稀代のF1デザイナーの去就注目
motorsport.com 日本版
ミニ新型「エースマン」実車初公開 室内の "広さ" 優先したEV、約615万円から欧州導入へ
ミニ新型「エースマン」実車初公開 室内の "広さ" 優先したEV、約615万円から欧州導入へ
AUTOCAR JAPAN
ビッグモーター改め「WECARS」(ウィーカーズ) 新社長は伊藤忠の田中慎二郎氏
ビッグモーター改め「WECARS」(ウィーカーズ) 新社長は伊藤忠の田中慎二郎氏
日刊自動車新聞
バイクでデリバリーの仕事を始めたい!125ccを超えると注意が必要な理由とは
バイクでデリバリーの仕事を始めたい!125ccを超えると注意が必要な理由とは
バイクのニュース
アンダー320万円から! トヨタの「高級SUV」何がいい? 登場4年でも人気継続!「ハリアー」の反響は?
アンダー320万円から! トヨタの「高級SUV」何がいい? 登場4年でも人気継続!「ハリアー」の反響は?
くるまのニュース
急速充電対応の4WD車 スマート新型「#5」コンセプトモデル公開 ブランド史上最大サイズ
急速充電対応の4WD車 スマート新型「#5」コンセプトモデル公開 ブランド史上最大サイズ
AUTOCAR JAPAN
昭和世代は「パルサー三兄弟」に憧れた! なつかしの日産「パルサー/ラングレー/リベルタビラ」をいま振り返る
昭和世代は「パルサー三兄弟」に憧れた! なつかしの日産「パルサー/ラングレー/リベルタビラ」をいま振り返る
Auto Messe Web
大型連休中に大荒れの円相場、一時160円台から一転154円台に急騰【新聞ウオッチ】
大型連休中に大荒れの円相場、一時160円台から一転154円台に急騰【新聞ウオッチ】
レスポンス
ビッグモーターの2023年9月期決算、708億円の純損失 特別損失の計上が響く
ビッグモーターの2023年9月期決算、708億円の純損失 特別損失の計上が響く
日刊自動車新聞
有志のツーリングイベントもおこなわれている「箱根ターンパイク」 ”ターンパイク”って何を表してる?
有志のツーリングイベントもおこなわれている「箱根ターンパイク」 ”ターンパイク”って何を表してる?
バイクのニュース
ゴールド免許にも影響!? 「うっかり失効」のうっかりって何? 「やむを得ない」以外の理由とは
ゴールド免許にも影響!? 「うっかり失効」のうっかりって何? 「やむを得ない」以外の理由とは
くるまのニュース
新型電動ミニバン、ジーリーの新ブランド「ジーカー」が発表
新型電動ミニバン、ジーリーの新ブランド「ジーカー」が発表
レスポンス
【トライアンフ】新車購入のチャンス! 春のご購入サポートキャンペーンに「追加キャンペーン」が登場
【トライアンフ】新車購入のチャンス! 春のご購入サポートキャンペーンに「追加キャンペーン」が登場
バイクブロス
“世界で一番売れているスポーツカー”が誕生60周年! 米国で登場したフォード新型「マスタング」限定車がカッコいい
“世界で一番売れているスポーツカー”が誕生60周年! 米国で登場したフォード新型「マスタング」限定車がカッコいい
VAGUE
【MotoGP】マルケス、来季MotoGPワークスチーム昇格の選択肢はドゥカティだけじゃない?「結果が出れば連絡が来るし既に会話もある」
【MotoGP】マルケス、来季MotoGPワークスチーム昇格の選択肢はドゥカティだけじゃない?「結果が出れば連絡が来るし既に会話もある」
motorsport.com 日本版
なぜ「小さな高級車」支持される? コンパクトカーなのに「クラス超えの豪華内装」採用が増加! 高価格な小型車はどんな人が乗るのか
なぜ「小さな高級車」支持される? コンパクトカーなのに「クラス超えの豪華内装」採用が増加! 高価格な小型車はどんな人が乗るのか
くるまのニュース
走り続けてはダメ! ムリな割り込みもダメ! たかがこれだけの「追い越し車線」の「基本」が守れないから高速道路は渋滞するしトラブルも起こる!!
走り続けてはダメ! ムリな割り込みもダメ! たかがこれだけの「追い越し車線」の「基本」が守れないから高速道路は渋滞するしトラブルも起こる!!
WEB CARTOP

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2870.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

2980.04980.0万円

中古車を検索
ローマの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2870.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

2980.04980.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村