WRC世界ラリー選手権は7月16日、第7戦エストニアのデイ2(SS2~9)が行われ、初日に首位に立ったTOYOTA GAZOO Racingのカッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)が総合トップの座をキープしている。地元凱旋のオット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC)はデイリタイア、2戦連続の表彰台獲得を目指した勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)はリタイアとなった。
15日(木)に開幕したラリー・エストニアは競技2日目から本格的な高速グラベル(未舗装路)ラリーがスタートし、この日は4つのステージを舞台に、日中のサービスを挟みながら計8本のSSで争われた。
大本命タナクがリタイア「スペアがなく続行不可能だった」/WRC第7戦エストニア デイ2後コメント
気温が30℃前後となったデイ2は、午後になって一時降雨に見舞われたものの、概ねドライコンディションでラリーが進められ、そのなかで6本のステージで最速タイムを記録したロバンペラが前日に引き続き総合トップに。20歳のフィンランド人ドライバーを追いかけるのは、ロバンペラと同様にWRC初優勝を狙うクレイグ・ブリーン(ヒュンダイi20クーペWRC)で、彼はSS3とSS8でベストタイムをマーク。SS9終了時点でトップと8.5秒差の総合2番手につけている。
「今日は本当にいい1日だった。とにかくハードにプッシュし続け、つねに限界ギリギリの走りをした」と語るのは、暫定首位のロバンペラ。
「朝の最初のステージは少し慎重にスタートしたが、その後は感覚を研ぎ澄まし、速く走り続けようとした。とてもいい戦いができたと思うし、楽しむこともできたよ」
「ライバルとのタイム差はまだ非常に小さく、明日も激しい戦いが続くはずだ。(ヤリスWRCの)フィーリングは全体的にいいのだけど、ステージの2回目の走行では、今日の午後よりもグリップレベルを高められるように、セットアップを少し見直したいと思う」
総合3番手はティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)だ。ヒュンダイのダブルエースのひとりはSS4で左リヤタイヤをパンクさせ5番手に後退したものの、午後の4ステージすべてでトップ3タイムを記録する好走をみせ、最後から2番目のステージで前を行くセバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)を逆転。最終的には表彰台圏内の総合3番手にカムバックを果たした。
■コドライバーあってのラリー。相棒の早期回復を願う勝田の決断
そのヌービルと3番手争いを繰り広げたオジエは、1日を通してルーズグラベルの“掃除役”を担いながらの走行となったが、ベルギー人ドライバーから6秒差の総合4番手でフィニッシュした。7冠王者と同じくライバルに対して不利な出走順でスタートしたエバンスは、ジャンクションで2度のオーバーシュートがありタイムロス。トップから1分15秒遅れの総合5番手となった。
以降は3分以降の遅れとなり、テーム・スニネン(フォード・フィエスタWRC)が総合6番手、ピエール・ルイ・ルーベ(ヒュンダイi20クーペWRC)が総合7番手につけ、総合8番手にはWRC3クラスリーダーのアレクセイ・ルキヤナク(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)が入っている。
最高峰クラスでのリタイアは3台で、ガス・グリーンスミス(フォード・フィエスタWRC)と勝田、そして地元の英雄であるタナクがマシンを止めることとなった。
グリーンスミスはフィエスタWRCのエンジンに問題が発生。前戦ケニアで表彰台に立ち今戦も総合3番手につけていた勝田は、ジャンプが多数あったSS4で、着地の際にコドライバーのダニエル・バリットが首に痛みを感じたため、大事を取ってラリーを中断している。
なお、病院での検査の結果バリットの骨や脳に異常はないと診断されたが、安静にすることを推奨されたため勝田/バリット組は今大会からのリタイアを決断した。
SS2でベストタイムを記録し総合でもトップに立ったタナクは、直後のSS3で右フロントタイヤのパンクに見舞われタイムを失う。挽回を図ったSS4ではコーナーでワイドに膨らみコースオフ。この際、2本のタイヤをパンクさせてしまったことでスペアタイヤが尽きてしまい競技続行が不可能となった。デイリタイアとなったエストニア人はデイ3で再スタートを切る予定だ。
そのデイ3は今大会で新たに設けられた4本のステージを日中のサービスを挟んで各2回走行する。また、1日の最後には、初日のオープニングステージでも使用されたスーパーSSでSS18が行われる予定だ。9本のSSの合計距離は132.18km、リエゾン(移動区間)を1日の総走行距離は561.31kmとなる。
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