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「ワンテンポ遅れてる」「おそらく踏みすぎ」「メインターゲットはこっち」【SF Mix Voices 鈴鹿テスト】

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「ワンテンポ遅れてる」「おそらく踏みすぎ」「メインターゲットはこっち」【SF Mix Voices 鈴鹿テスト】

 12月11~13日に三重県の鈴鹿サーキットで行われた、全日本スーパーフォーミュラ選手権の公式/ルーキーテスト。3日間、6セッションの走行が行われ、各日の走行終了後にはレースウイークと同様に『メディアミックスゾーン』が設けられ、出走したドライバーたちが報道陣の取材に答えた。

 ここでは、鈴鹿テストでのミックスゾーンからドライバーたちの声をお届けする。

ルーキー最速のフラガが早くも見据える“実戦”「出しきれれば、レギュラー陣と遜色なく戦える」

■野中誠太(Kids com Team KCMG)

 2年前のルーキーテストにも出走した野中は今回、2日目にKids com Team KCMGの7号車を、3日目には同じく8号車をドライブした。ルーキー限定の3日目は、午前・午後ともにイゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)に続く2番手タイムを記録しテストを終えている。

「もう2年前なので、記憶はあまりないような感じで、今回は走りました」と野中。

 スーパーフォーミュラ・ライツで戦ってきた野中は、「やっぱり同じダラーラですごいハイダウンフォースなクルマなので、空力を使った走り方とかは非常に似てる部分がある」とSF23の印象を語りながらも、パワーやグリップの面では少なからぬアジャストを求められたようだ。

「やっぱりエンジンパワーであったりとか、コーナリングスピード、タイヤのグリップだったりとかは高いので、そこで自分のドライビングを丁寧にするとか、ブレーキの止め方などは、まだまだ学んでいるところ。そこをうまく詰めていければなと思います」

 2日目には、前日に福住仁嶺が走ったセットアップで自身のドライビングを詰めていったが、3日目は一転、チーム側が用意したセットアップメニューをこなすという、別の役割を求められることに。

「メニューをひとつひとつフィードバックして、ニュータイヤに向けてクルマを作り上げていきました。昨日(2日目)と全然違う流れでやったというところで、SFのクルマの理解度がとても深まりましたし、昨日とはまた違う意味でとても濃い一日になりました」

「昨日、1分36秒台が出ているところでは、かなりクルマの限界付近も使えていたので、しっかりクルマの動きの感度を、細かい部分まで感じることができていたので、しっかりドライビングとセットアップを分けてコメントすることはできたかなと思ってます」

 現時点ではトヨタ/TGRから2025年の体制発表はないが、野中としてはいつレースに出場することになっても大丈夫なように、このテストで準備を進めることができたようだ。

「セットアップの感度もしっかりつかめてますし、『ここが欲しいな』とか、『ここがいまちょっと足りてないな』というのも、ちゃんとロガーで自分のイメージどおり出てるので、そういうところは2年前とは全然違います。すぐにSFに行ける、というのは自分の中では実感できています」

「(3日目の作業で自信は)非常に深まりましたね。クルマを作っていく中でしっかりとフィードバックすることもできましたし、『こういうクルマにすれば速くなるんだな』といういうのも、ちょっと見えてきてるので、いい経験になりました」

■ジェームス・ヘドリー(KONDO RACING)

 2024年はGB3やFIA F3に参戦したヘドリーは、2日目と3日目にKONDO RACINGの3号車をドライブ。まずは初めてのスーパーフォーミュラと鈴鹿サーキットの感想を語った。

「クルマが速いのはもちろんだけど、タイヤのグリップ力もすごくて、僕にとってはものすごいステップを踏んでいることになる。とにかく、この機会をくれたすべての人と、素晴らしい仕事をしてくれているチームのみんなに感謝したい」

 スーパーフォーミュラというカテゴリーについては、そこまで熱心にフォローはしていなかったというヘドリー。

「もちろんシミュレーターで練習をしてきて、このクルマは素晴らしいことはわかっていたけど、改めて『F1に近いクルマなんだろうな』と感じた。もちろん、いますぐにF1がどうこうというのはないけど、間違いなく今日の経験は今後のことを考えても素晴らしいものになるだろう」

 とはいえ、彼がこれまで経験してきたカテゴリーとは大きく異なるということで覚えなければいけないことも多い。「トラフィックのマネジメントやクルマのことなどを理解して、プッシュラップでタイムを出すことが難しかった。より良いフィードバックをしていくためにも、このクルマについてもっと理解する必要があるなと感じた」とスーパーフォーミュラに乗る難しさも感じていたようだ。

■佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)

 セッション2で初日のベストタイムを記録した佐藤は、セクター1が遅いという2024年最終ラウンドからの課題を、やや引きずっているようだった。

「チームごとに速いセクターが異なっていて、そこをなんとか改善したいと思ってテストに入りましたが、多少のフィーリングの違いはあれど、劇的に改善するような方向にはいきませんでした」と佐藤。

 ただ、4セッションすべてでトップ5入りしていることからも分かるように、「いいところにはいると思います」とポジティブな印象を語る。セクター2が最終ラウンドから改善されたことも、好感触のようだ。

 同じホンダ勢でシーズン中から安定した速さを見せるダンディライアンを、「とにかく動きがクイックで、よく曲がっているなという印象は受けています」と佐藤は観察している。

「ウチはワンテンポ遅れているけど、高速でのスタビリティが高い。ブレーキもウチが良かったりとか、そういったところはチームの個性が出ていると思います。(ワンテンポ遅れるというのは)ステアリングを切り始めて反応するところで一瞬、間が空くというか……ほんのちょっとですけどね」

 開幕前の2月には、また公式テストも設定される予定で、そこで最終的な準備をしていきたいと、佐藤は2025シーズンを見据えていた。

■大草りき(PONOS NAKAJIMA RACING)

 ルーキー限定となった3日目、午前のセッション開始早々のアウトラップのNISSINブレーキヘアピン先で突然姿勢を乱してスピン、そのままゆっくりとピットへ戻った大草。フロアに損傷が発見されたことで、チームはセッション中にSNSでテストからの撤退を表明した。

 大草は2023年の最終鈴鹿ラウンドにTGM Grand Prixから急遽スポット参戦、その後のルーキーテストではTCS NAKAJIMA RACINGのマシンを走らせたが、2コーナーでクラッシュを喫していた。それだけに、2024年のテストに向けては「気持ちを入れて、しっかり準備をしてきた」という。

 1周も計測できずに1日を終えた大草は、ミックスゾーンでやや気を使う取材陣に対して「大丈夫、僕が悪いので」と最初にひとこと。そして、アクシデントの状況を説明した。

「冷えている路面で、ウォーマーを使っている状況でした。自分の中では結構ゆっくり行ったつもりだったんですけど、マッチャン手前ぐらいで足を取られてしまいました。幸い壁にはぶつからなかったので走れるかなと思っていたのですが、フロアにちょっとダメージがあったのと、調子がいいレース車両に何かあったら困るということで、もう今日はなしということになりました」

 ウインターテストならではの冷えた路面に手を焼いた形のようだが、「正直、いろいろロガーを見たのですけど、なんでああなったのかがいまいちまだ分かっていない」と大草は言う。

「おそらく(アクセルを)踏みすぎだとは思うんですけど、自分の感覚とちょっと違うことが起こってしまったので、そこはもっと勉強しないといけないし、経験不足だったところはあるので……幸いなことに来年GT(のシート)は決まっているので、そっちでしっかり恩返しできるように頑張りたいなと思います」

■太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

 今回のテスト初日にあたる11日には、都内で行われたHRCの体制発表会に出席、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の3レースへの参戦が発表された太田。その後鈴鹿へと移動し、2日目の2セッションのみ、テストへと参加した。

 前日にはチームメイトの牧野任祐が5号車と6号車の“乗り替わり”も行うなか好調ぶりを見せていたが、太田も2日目午前のセッションでいきなりトップタイム、そして午後も首位牧野に続く2番手タイムを記録するなど、シーズン中から続く好調ぶりをアピールする結果となった。

「最終戦が終わったばっかりなので、クルマのフィーリングはよく覚えています。今季の最終戦は、ある意味力を見せて勝つこと(2連勝)ができましたけど、このオフシーズンで周りが上げてきたときにも、自分たちが負けないようにということを意識しながら、今回のテストに臨みました」

 リザルトの面でも、内容の面でも満足できているという太田は、「気温や風向きなどが変化しても、今年の最終戦のようなパフォーマンスを出せる準備をした」と、長所にさらに磨きをかけることができたテストになったようだ。

 11月のSF最終戦後に参加したIMSAのテストの内容も良く、前日には海外挑戦の意義も語っていたが太田だが、2025年のメインターゲットは引き続きフル参戦するスーパーフォーミュラである、と強調する。

「IMSAの件が大々的に言われてますけど、僕としてもホンダ・レーシングとしても、来季の僕のメインの活動はスーパーフォーミュラ。来年は絶対このシリーズチャンピオンを獲るというのが僕にとっては必要なこと。みんな結構、『気持ちはアメリカなんじゃねぇの?』って思ってるかもしれないですけど、正直、僕のいまのメインターゲットはこっち(SF)のチャンピオンなので」

 個人の速さを示すSFと、チームワークで耐久を戦うIMSAという、ある意味で両極端なチャレンジが待ち受ける太田の2025年。ひとまず、テストの段階では両シリーズとも順調に準備が進んでいるようだ。

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