公共交通回避 時間の正確さより「安心・3密回避」優先
世界最大規模の会計事務所デロイト・トウシュ・トーマツを中心とするデロイト トーマツ グループは2020年8月20日(木)、「ポストコロナの移動に関する意向調査結果」と題した調査レポートを発表しました。6月に実施された全国3120人へのウェブアンケート結果から、新型コロナの流行を受けて、マイカー保有への意識が二極化していると分析しています。
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まず、通勤や出張といった業務目的での移動は、2018年調査と比較して61.2%から50.6%に減少。一方で、移動量全体における私的な移動(買い物、外食、観光など)は前回調査の32.8%から44.0%になり、今後も相対的に増加すると見込まれるといいます。また、回答者の約25%が1年後もリモートワークによる通勤の減少を想定。しかし郊外への引っ越しなどを計画している人は全体の5%未満で、居住地の変更に関して新型コロナの影響は限定的だと見られるとのことです。
移動手段については、「3密」を避ける動きから鉄道での移動が大きく減少、特にラッシュ時の移動が予想される通勤・通学では、鉄道を回避する意識が顕著で、その代替として、東名阪の3大都市では自転車や徒歩が、中核都市ではマイカー移動が増加すると見込まれるといいます。また、快適性や時間の正確性、価格を求める声よりも、「安心・安全・3密回避」を求める声が大きく増加しており、時間の正確性が重視された業務移動においても、「安心・3密回避」がより優先されるとみられる、としています。
しかし、こうした傾向によりクルマのニーズが高まっている、というわけでもないようです。
「クルマ離れ」むしろ加速か
クルマに対するイメージを「特に意味なし」「単なる移動手段」と回答している無関心層は、前回調査より5.8ポイント上昇し、66.4%を占めたといいます。公共交通を回避する意識から自動車保有の上昇が予想されていたそうですが、今回の調査結果では、消費者の意識面からはマイカー回帰へのポジティブな傾向は見られない、としています。
それは、マイカーの保有意向調査の結果にも表れています。現在の保有者の継続保有意向は8割近くを占める一方で、いまクルマを持たず、「将来も保有しない」と回答した人の割合は、前回の56.3%から67.0%に増加し、クルマ離れが加速する傾向が見られるといいます。特に若年層と都市部においてその比率が高く、経済的な背景を非保有の理由とする声が多いといい、新型コロナによる景気減速の影響がうかがえるそうです。
デロイト トーマツ グループは今回の調査結果について、「『公共機関は避けたい、でも自家用車は持ちたくない』という解決策なき回答が散見されました」としています。一方で、自転車やクルマのシェアリングサービスなどについては、認知度、使い勝手、衛生面などで消費者を満足させるレベルに至っておらず、利用意向は限定的とのこと。「自動車・モビリティ業界におかれては、このような消費者の思考の変化を適時適切に捉え、消費者にとっての解決策を導出するための戦略の見直しが必要ではないでしょうか」としています。
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