まるで別物? でもスバルらしい
執筆:Kenji Momota(桃田健史)
編集:Taro Ueno(上野太朗)
日本のスバルファンが待ちに待った新型WRXが登場した。
といっても、皆さんご承知のとおり、ワールドプレミアはアメリカであるため基本スペックは北米仕様としての公表だ。
そのうえであえて先代日本仕様と比較して、何がどう違うのかを見てみたい。
まずは、見た目の印象だが、「別物」と言い切れるほど大きな変化だ。
先代は、ドッシリかつガッシリとした風貌で、前に前に押し出すような強靭さを感じた。
一方、新型は単なる筋肉質というのではなく、幾何学的な雰囲気で研ぎ澄まされたというイメージだ。
それもそもはず、ボディ全体、またボディ各所にスバルデザインの真骨頂である六連星をベースとしたヘキサゴン(六角形)を大胆に取り入れているのだから。
フロントグリルはもちろんのこと、スポーツサイドガーニッシュとサイドシルスポイラーまでもヘキサゴン化し、見た目と空力性能を高次元で両立させた。
彫りの深さはボディ側面も、ホイールアーチを含め思い切って表現した。
リアビューでも先代を踏襲した小さめなリアコンビライトながら、リアバンパーのエアアウトレットの視覚的効果は大きい。
全体として、新型レヴォーグ、ビックマイチェンしたフォレスター、そして今秋に日本発売のレガシィ・アウトバックとのファミリー感がしっかり描かれている。
新型のサイズ また大きくなった
次世代スバルデザインを象徴するような、新型WRX。
これだけ大胆かつアグレッシブなデザインが実現できた背景には、ボディの大型化がある。
あくまでも北米仕様値なので、現地のインチ表示をミリ表示換算して四捨五入すると、全長4669mm×全幅1826mm×全高1468mm、そしてホイールベースが2672mmとなる。
これに対して、日本仕様である先代モデルのWRX S4 STIスポーツの場合、全長4595mm×全幅1795mm×全高1475mm、ホイールベースが2650mmだ。
比較すると、新型は先代モデルより全長で74mmも長く、全幅でも31mmワイドになり、全高は7mm低くなり、そしてホイールベースは22mmのびている。
写真や動画で見る限り、ボディ全体のヘキサゴン化によるアグレッシブさに目を奪われてしまい、大きさ感がつかみにくい。
そのため、日本仕様も北米仕様とほぼ同じサイズだとすると、実物はやはり、かなり大きく感じるのではないだろうか。
歴代WRXを振り返ってみれば、インプレッサ時代を経て、WRXでさらに大きくなって。それが新型では数字上はかなり大きくなった。
だが、そこにはスバル新世代デザインとボディ構造によって、まったく別物化したといえるほどの進化を外観から感じることができる。
プラットフォーム刷新 走りの進化
先代モデルでは、いわゆるドライバーコックピット側の意匠で、走りを意識したメカニカルとデジタルが絶妙に融合していた。
センターコンソールにはカーナビなどドライバーが直接操作するHMI(ヒューマンマシンインターフェイス)と、各種表示される専用ディスプレイの二段構えとした。
一方、新型ではレヴォーグでも採用されている縦型11.6インチのタッチスクリーンを採用しつつも、コックピット感を十分に味わえる室内空間となっている。
基本は、シンプルかつスパルタン、スポーティな走りをクルマと共有することを最優先したデザイン思想を感じる。
そのうえで、走りの進化も大きい。
ついに、スバルグローバルプラットフォーム(SGP)を採用した。
インプレッサ、XV、フォレスター、アウトバック(北米仕様:日本でのレガシィ・アウトバック)、レヴォーグとするモデルチェンジのタイミングでSGPを採用し、その都度、SGPの最適化が進んできた。
そのため、新型WRXではフルインナーフレーム構造や構造用接着材の適合技術でさらなる磨きがかかるのは当然だといえる。
ジオメトリーを再検討し、サスの実用ストロークを先代比でのばした走り。
直近でいえば、レヴォーグでの新旧モデル比較での感覚を、新旧WRXでも感じることになるだろう。
パワートレイン 日本仕様も2.4Lに?
走りの刷新は、スポーツモードの採用でも大きく変わる。
新型レヴォーグで実感したように、電子制御ダンパーにより、リアルタイムでダンパー減衰力を制御し、また2ピニオン方式電動パワステやエンジンコントロールユニットとも複合的に連動するドライブモードの効果により、先代WRXとの走りの違いが明確になる。
スバルによれば、一部グレードでドライブモードセレクト機能を持つ。
そして、新旧WRXで最も大きな違いはエンジンだ。
北米仕様では、2.4Lターボ(最大出力271ps)としている。先代モデルではS4 STIスポーツが2.0LのFA20(300ps)を搭載。
そして名機EJ20搭載のWRX STI EJ20ファイナルエディション(308ps)が存在した。
筆者が以前、STIの平岡泰雄社長に単独インタビューした際、EJに対する思いを含めて「新しいFAやFBでもロングストローク化や燃費対応で開発に自信がある」とエンジン開発者としての気持ちを素直に表現してくれた。
となるとWRX日本仕様も北米同様の2.4L搭載に期待がかかる。
スバルパフォーマンストランスミッションと連動したAWDスポーツモードの走りも早く試したいところだ。
新型WRX、北米発売は2022年初頭。日本仕様発売については、スバルからの正式発表を静かに待ちたい。
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みんなのコメント
でも、私が求めていたWRXでは無いからVABを乗り続けます。