CR-Vが復活を遂げ、フォレスターもフルモデルチェンジを果たしたほか、CX-5も新たに直4の2.5Lターボ車を追加するなど、かつてないほどの活況を呈している国産ミドルクラスSUV。
世界中で売れ筋モデルとなっているミドルクラスのクロスオーバーSUVだが、国産だけでも実に選びがいのあるカテゴリーだといっても過言ではないだろう。
ここでは各社の代表的な主力モデル8台について、渡辺陽一郎と松田秀士の自動車評論家両氏に厳しくチェックしてもらった。CR-Vの再登場で、果たして勢力図は変わったのか?
※本稿は2018年9月のものです
※各評価項目は10点満点での採点
文:ベストカー編集部/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2018年10月26日号
■HONDA CR-V
●渡辺 陽一郎の評価
安定性と乗り心地は満足できる。操舵感も正確だ。シティ派SUVの典型だから、悪路走破力は高くない。注目されるのは居住性で、ターボで選べる3列目シートは、SUVの中では快適だ。価格は割高で30万円は安くしたい。
●松田秀士の評価
海外先行販売! ま、ターゲットは海外なのだからしかたない。で、海外で煮詰めた乗り味は、まさに現代のホンダらしさを持った静かなキャビンとストローク感のある足。1.5ターボは低中速で力持ち、高速で若干ノイジーだ。
価格:323万280~436万1040円
全長:4605mm
全幅:1855mm
全高:1680mm
ホイールベース:2660mm
ラインナップ:1.5Lターボ、2Lハイブリッド
■SUBARU フォレスター
●渡辺陽一郎の評価
2.5Lエンジンは充分な性能を発揮して、ハイブリッドにも不満はない。新しいプラットフォームで安定性もいい。悪路走破力にも相応に配慮した。居住性は前後席ともに広くて快適だ。ライバル車に対抗すべく価格は割安にした。
●松田秀士の評価
いかにもスバルらしい窓が広く視界バツグン。インプレッサ供用の新型プラットフォームは、ロール軸を重心により近づけてロール剛性を上げている。そのぶんバネレートをソフトに振って乗り心地などを稼ぎ、しかもロールを抑えた。
価格:280万8000~309万9600円
全長:4625mm
全幅:1815mm
全高:1715mm
ホイールベース:2670mm
ラインナップ:2.5L NA、2Lハイブリッド
■MAZDA CX-5
●渡辺陽一郎の評価
2.2Lのクリーンディーゼルターボは、実用回転域の駆動力はガソリンエンジンの4.5L並みで燃料代は1.5Lと同等だ。走行安定性には少し不安を感じるが、乗り心地は快適に仕上げた。価格は機能や装備を考えると割安だ。
●松田秀士の評価
デザインは内外ともにラグジュアリー。特別ここが素晴らしい、というものはないのだが、全体的にレベルが高いSUVだ。キャビンの静粛性と振動感の少ないボディ。必要以上に応答性を追いかけない素直なハンドリング。
価格:249万4800~352万6200円
全長:4545mm
全幅:1840mm
全高:1690mm
ホイールベース:2700mm
ラインナップ:2L、2.5L NA、2.5Lターボ、2.2Lディーゼル
■MITSUBISHI エクリプスクロス
●渡辺陽一郎の評価
ターボは低回転域のノイズが気になるが安定性は高い。適度に機敏に曲がり、後輪の接地性も優れ、挙動の変化は穏やかだ。悪路の走破力も前輪駆動のSUVでは相応に優れる。リアゲートを寝かせて荷室は高さが不足気味だ。
●松田秀士の評価
アウトランダーから電動部分を省いたおかげで、三菱らしいランエボを想起させるハンドリングを与えられている。現代SUVとしてはソフトなサスペンションで万人受けする素直なハンドリングに好感。三菱らしいSUV。
価格:253万2600~309万5280円
全長:4405mm
全幅:1805mm
全高:1685mm
ホイールベース:2670mm
ラインナップ:1.5Lターボ
■NISSAN エクストレイル
●渡辺陽一郎の評価
2Lエンジンはハイブリッドを含めて少しパワー不足だが、悪路の走破力は少し高めた。乗り心地は少し硬めだが安定性はいい。シートや荷室の防水処理など、屋外での使い勝手が優れ、価値観はオフロードSUV風だ。
●松田秀士の評価
サスペンションは現代風の締まった乗り味。ハンドリングは日産車らしいキビキビ感のあるスッキリタイプ。駆動力とブレーキを制御して前後ピッチングを抑制する車体振動抑制システムは雪道や悪路で思いのほか快適だった。
価格:219万7800~366万5520円
全長:4690mm
全幅:1820mm
全高:1730mm
ホイールベース:2705mm
ラインナップ:2L NA、2Lハイブリッド
■TOYOTA ハリアー
●渡辺陽一郎の評価
2Lのノーマルエンジンは力不足、ターボはクセが少し強く、ハイブリッドの加速は滑らかだ。悪路の走破力は期待できないが、乗り心地はかなり上質に仕上げた。後席も快適で荷室は広い。価格は割高な設定になる。
●松田秀士の評価
国内専用モデルゆえの身の丈サイズ感。最小回転半径も小さく取り回し性がいい。昨年追加された2L直噴ターボ+6速ATはCVT系だった走りに新しさを呼び込んだ。ダイレクトなシフト感に呼応する身のこなしがいい。
価格:294万9480~495万3960円
全長:4725mm
全幅:1835mm
全高:1690mm
ホイールベース:2660mm
ラインナップ:2L NA、2Lターボ、2.5Lハイブリッド
■LEXUS NX
●渡辺陽一郎の評価
プラットフォームなどはハリアーと共通化されている。走りの質や乗り心地は、SUVのなかでは高い部類に入るが、高価格のレクサス車としては物足りない。シティ派SUVの典型で悪路の走破力も高くない。価格は割高だ。
●松田秀士の評価
都会的なエクステリアが魅力的。ハンドリングは外観の印象よりもソフトで、サスペンションもよく動く。間口の広いハンドリング特性だが、攻め込むと奥の深いもの。ハイブリッドは重さを感じるが燃費よく、インテリ受け。
価格:441万1000~597万1000円
全長:4640mm
全幅:1845mm
全高:1645mm
ホイールベース:2660mm
ラインナップ:2Lターボ、2.5Lハイブリッド
■MITSUBISHI アウトランダー(ガソリン車)
●渡辺陽一郎の評価
2WDの2Lエンジン車はパワー不足だが、4WDの2.4Lなら満足できる。前輪駆動ベースのシティ派SUVでは、悪路の走破力は相応に高い。後席の座り心地はいま一歩だが、居住空間と荷室は広い。価格設定は平均的だ。
●松田秀士の評価
電動パーツを取り除くと、軽量シンプルでバランスのいい素性だったんだ、と感心することしきり。フル乗車しても快適な乗り心地。PHEVよりも圧倒的に軽量で安い。軽量なぶん、多人数乗車にもストレスなく走る。
価格:253万8000~328万4280円
全長:4695mm
全幅:1810mm
全高:1710mm
ホイールベース:2670mm
ラインナップ:2L NA、2.4L NA
[Coming soon…!!]新型RAV4は2019年 日本復活へ
今年3月のNYショーでワールドプレミアされた新型RAV4が来年、日本でも導入される予定でついに復活となる。パワートレーンは、2.5Lハイブリッドと新開発2Lの2本立て。ボディサイズは全長4595×全幅1855×全高1700mm、ホイールベースは2690mmと、ハリアーより少し小さめに。
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