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マッサ、”疑惑の2008年”めぐりついに訴訟へ。120億円の補償と「本来ならマッサがチャンピオン」宣言を要求

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マッサ、”疑惑の2008年”めぐりついに訴訟へ。120億円の補償と「本来ならマッサがチャンピオン」宣言を要求

 元F1ドライバーのフェリペ・マッサが、2008年シンガポールGPの”クラッシュゲート”事件に対するF1とFIAの対応と、その影響について法的措置を検討していることを明かしてから約11ヵ月。ついに行動を起こした。

 マッサは、FIAとフォーミュラ・ワン・マネジメント(FOM)、そしてバーニー・エクレストンを相手取り、ロンドン高等裁判所に提訴したのだ。

■マッサ、“クラッシュゲート”事件発生の2008年F1シンガポールGPをめぐりFIAとFOM、エクレストン元F1支配人を提訴

 これは当時F1の最高責任者であったエクレストンが、フェルナンド・アロンソを勝たせるためにルノーがネルソン・ピケJr.に故意のクラッシュを命じたクラッシュゲート事件を早くから認識していたと暴露したことを発端としている。

 ルノーの不正を知ったエクレストンやFIAが適切な調査を行ない、適切な措置を取っていれば、シンガポールGPの結果が無効とされ、ルイス・ハミルトン(当時マクラーレン)ではなく自分がチャンピオンに輝いていたとマッサは考えている。

 この件をめぐる論点は以前から議論されてきたが、訴訟に至る過程でより具体的な内容が明らかになった。マッサの弁護団が高等裁判所に提出した書類から、現在行なわれている法的議論と、マッサ側がどのような結果を求めているのかについて見えてきたのだ。

■マッサの要求は?

 マッサが2008年の出来事について法的措置を検討しているという話が昨年初めて報じられた時、その焦点はチャンピオンシップの結果を覆すことにあった。

 ブラジルでマッサの代理人を務めるサンパウロ・ヴィエイラ・レゼンデ・アドヴォガドス法律事務所のベルナルド・ヴィアナは昨年9月、motorsport.comに「目的はトロフィーを持ち帰ることだ。お金じゃない」と語っている。

 しかしながらFIAの規約では、シーズン終了後のFIA授賞式でトロフィーが授与された後にそれを覆す手段がなく、当時はどうやってその手段を模索するのか不透明だった。

 そしてマッサの弁護団は、タイトル奪還を求めるのを諦めた。というのも、裁判書類ではハミルトンのタイトルを剥奪し、マッサに授与することを求めるような記述は一切ない。その代わり、裁判の争点はFIAとF1の誤った行動によってマッサが被った損害についてとなるようだ。

 マッサはチャンピオンになれなかったことで200万ユーロ(当時約2億5000万円)のボーナスを失っただけでなく、ドライバーとしてあるいはF1やモータースポーツに関連する他の役割において年俸が引き下げられたこと、スポンサーや商業的な機会を失ったことで損害を被ったとしている。

 裁判書類では、正確な最終的な金額は”専門家の証拠”によって決定されるとしながらも、利息を支払う前の損失額については6400万ポンド(約120億8000万円)が最良の見積もりであると述べている。

■FIAの責任を追求するマッサ

 金銭的な補償を求めるだけでなく、マッサはFIAに対し、シンガポールGPのクラッシュの状況を調査しなかったのはFIAの規定に違反する行為だったと認め、もしFIAが規定違反を犯していなければシンガポールGPの結果は取り消すか調整されていたはずであり、マッサがチャンピオンになっていたはずだという宣言をすることを求めている。

 マッサの行動は、ルノーの陰謀についてFIAとF1首脳陣が正しく調査・対処していなかったという、彼と彼の弁護士たちの信念に基づくものだ。

 エクレストンと当時のFIA会長であるマックス・モズレーは、ピケJr.の行動をその年の最終戦ブラジルGPの前に知っていたことが明らかになっており、すぐに対応すべきだったという主張だ。

 裁判書類では、FIAには不正行為の疑惑を調査する契約上の義務があったと主張。規約ではFIAがその権限を『公正かつ公平な方法で』行使するために作られたものであり、『競技会や競技者の参加を妨げたり、妨害したりするような形で施行されることはない』とされている。

 さらに複数の条文を引用し、FIAが規約に書かれていることに従っていれば、ピケJr.が故意にクラッシュしたことを認識した時点で、それを調査するためにスチュワードを招集する義務があったとマッサ側は主張している。

 マッサは、クラッシュゲート事件がF1にダメージを与えるスキャンダルになるのを防ごうとしたF1とFIAの陰謀の犠牲者になったと指摘。きちんと調査を行なうべきだったし、必要であればFIA授賞式も延期すべきだったと主張している。

 この問題は今後、裁判官の判断に委ねられることになるが、奇妙なことに当事者のエクレストン自身もマッサの法的な行動を支持しているようだ。

 PA通信によると、エクレストンは次のように語ったという。

「もしマッサが私に尋ねてきたなら、私は訴訟を起こすのは完全に正しいことであり、何が正しくて何が間違っているかはイギリスの裁判官に判断してもらうべきだと言っただろう」

「結果がどうなるかについては何も言えない。彼の立場からすれば、英国の裁判官が評決を下す方がいい。その方が彼にとって助けになる」

 今回の裁判の結果に関わらず、ハミルトンが2008年にマクラーレンで初のタイトルを獲得し、マッサは1ポイント差で敗れたというF1の歴史は変わらないだろう。この裁判が、F1がより良いスポーツとなるために役立つことを願うばかりだ。

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