当時あったホンダの販売店「プリモ」専売だった上級小型4ドアセダン、アスコットのスポーティモデルとして登場したアスコットイノーバ。満を持して送り込まれたモデルだが、登場した時期が悪かった。すでにバブル景気は崩壊していたのだ。
アスコットイノーバってどんなクルマ?
アスコットイノーバは、プリモ店で販売されていた上級セダン「アスコット」に追加された4ドアハードトップモデルだ。27年前の今日、3月3日発表、発売は3月5日。
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当時4代目アコードがクリオ店専売になり、もう一方のプリモ店で販売する上級小型車として1989年に登場したアスコットは、フォーマルな印象の4ドアセダンだった。
アスコットイノーバ(Ascot innova)は、そんなアスコットのスポーティバージョンとして登場したモデル。欧州市場向けアコードをベースにしており、当時提携関係にあったローバー社のDセグメントモデル「ローバー600」とは兄弟車という関係になる。
全長4670mmに対し、全高は1380mm。サッシュレスドア構造でグラスエリアを広く持ち、ローノーズ&ハイデッキのウエッジシェイプボディを持つスタイリッシュな4ドアハードトップとして、アスコットとは差別化された。
エンジンは2リッターDOHCほか、2.3リッターDOHCのH23Aエンジンを用意(VTEC機構はない)。またサスペンションには前後ダブルウイッシュボーンを採用していた。
さらに舵角応動タイプの4輪操舵システム4WS、トランスミッション内蔵タイプのビスカスカップリング式LSDなどの装備車も設定され、走りにもこだわりを見せた一方、厚みのあるジャガード織りと本革を組み合わせたコンビレザーシートも用意されるなど、インテリアの上質さも追求されていた。
プリモ店では、アスコットイノーバの発売で、取り扱い車種はトゥデイ/ビート/シビック/アスコット/アスコットイノーバ/輸入車のチェロキーとラインアップが充実した。
しかし、登場した時代が悪かった。1980年代後半から続いていた景気拡大は1991年には後退期に入り、いわゆるバブル崩壊が起こっていた。それから後に「失われた20年」と呼ばれる時代へと移っていく。
自動車のブームも移り変わっていく。それまで人気のあった4ドアハードトップ、2ドアスペシャリティクーペなどの人気が廃れ、ミニバンやコンパクト、RVなどに移っていく。景気の良い時代に開発されたアスコットイノーバだったが、そんな時代の荒波にもまれ販売は低迷。1996年、1代限りでその名前は消えた。
車両価格(当時。東京)
2.0i C(5速MT) 155万8000円
2.0i(4速AT) 195万8000円
2.0Si(4速AT) 225万8000円
2.3Si-Z(4速AT) 245万8000円
2.3Si-Z TCV(4速AT) 295万6000円
1992年(平成4年)には何があった?
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