重量のあるシステムは不採用
text:Felix Page(フェリックス・ペイジ)
【画像】クラシカルな英国自動車メーカー【ケータハムとモーガンをじっくり見る】 全136枚
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)
ケータハムは、ホモロゲーションや法規制の問題に直面しながらも、セブンの未来を守るため、数年後には初のEVを発売する予定だ。
英国の自動車ブランドであるケータハムは最近、日本の自動車ディーラーのVTホールディングスに買収された。
VTホールディングスの高橋一穂社長はモータースポーツで20年以上の経験を持っており、ケータハムのCEOであるグラハム・マクドナルドは、彼がブランドの存続に尽力してくれると確信している。
「彼はこのブランドを愛していますし、わたし達がお金を無限に持っているわけではないことも理解しています。しかし、彼はこのブランドがあと50年は続くことを確信しているのです」
今回の買収で重要なのは、ケータハムがセブンのゼロ・エミッション仕様の発売に向けて準備を進める上で資金を確保できることだ。
マクドナルドは、セブンのEV仕様が「ケータハムらしい乗り心地とハンドリング」を実現することが最優先であると断言した。そのため、「EVセブン」は、トレードマークである俊敏性を守るために、重量を抑えることに重点を置いて開発される。
例えば、バッテリーと電気モーターの重量を軽減するために、サスペンションのジオメトリーをはじめとするシャシーの再調整を行い、回生ブレーキなど、一般的なEVに搭載されている重量のあるシステムは採用しない。
軽量化とともに、セブンの伝統であるオープンホイールのミニマムなシルエットを維持する可能性が高い。
現行モデルよりも「大きく、重く、乗り心地が良い」ものになるのか、それともコンセプトに近いものになるのかはまだ確実ではないが、マクドナルドは後者の可能性が高いと述べている。
加速性能は、現在のトップモデルである620Rとほぼ同等で、0-97km/h加速はわずか2.79秒になるという。
他メーカーから部品供給
マクドナルドは、すでに電動セブンのプロトタイプに試乗している。
「ゴーカートによく似ています。2ペダルで加速が速く、運転していても違和感がありません。刺激的ではありますが、これまでとは異なるアプローチによる刺激です」と彼は言う。
ケータハムはEVセブンの生産に入る前に、他のメーカーと提携を結び、バッテリーとモーターの供給確保を検討している。
マクドナルドは、ケータハムがどのような企業と提携するかについては口を閉ざしたが、既製のアーキテクチャーを使用することは考えていないとしている。
「バッテリーを購入し、セブンの寸法に合わせて作ってもらえるようなパートナーシップを結ぶと思います」
サードパーティ製の部品を使用するメリットは、開発コストの削減だけでなく、すでに公道を走っているEVと同様に、実用的な航続距離や充電速度を確保できることだ。
マクドナルドはEVセブンのスポーツ性を示唆し、レース用には急速充電や「交換可能なバッテリー」の装備が必要だが、ロードカーは現行のセブンと同様に日常的な使用を目的としているため、この技術を採用する可能性は低いと述べた。
ガソリン車も諦めていない
EVセブンは今後5年以内に発売される予定であり、2023年に行われるケータハムの創立50周年記念式典がデビューの舞台になると思われる。しかし、ケータハムはガソリン車にもこだわり続けている。
「わたしの野望は、可能な限り内燃機関を存続させることです。わたし達の製品に適合するエンジンが見つかる限りね。しかし、今はそれが難しくなっています。みんな小型化したり、ターボチャージャーを付けたりしていますが、それはわたし達が望んでいることではありません」
サプライヤーが決まったとしても、ケータハムは2030年以降、本場の英国でICEの新車を販売することができなくなる。
また、2024年からEUで施行される安全規制の強化に伴い、レーダーやセンサーを使った安全システムを搭載するには小さすぎるため、EU内でも存続の危機にある。
これらの課題にもかかわらず、マクドナルドは自信を持っている。
「わたし達はケータハムの終焉について話しているのではありません。(EUは)当社の生産量の約4分の1を占めていますから、どのように他の場所で成長させていくかを考える必要があります」
ケータハムとモーガンが手を組む
ケータハムにとって最大の障害の1つは、新モデルに必要なホモロゲーション作業とテスト施設の枠を大手メーカーが抑えてしまっている点だ。
マクドナルドは、ケータハムが一連のプロセスを確実に実行できるよう、同じ少量生産のメーカーであるモーガンと契約を結んだことを明らかにした。
「彼らも同じような経験をしていて、実際にテスト用の枠や共通部品を共有することになりました。世間がライバルと見なしている相手と一緒に仕事をして、壁を乗り越えるのは素晴らしいことでした」
マクドナルドは、モーガンを直接のライバルとは考えておらず、英国ブランド同士のコラボレーションはお互いに有益であると述べている。
「アリエルであれ、モーガンであれ、あるいはロータスであれ、他の企業と協力して問題を乗り越えることができれば、全員の負担が軽減され、ともに成功を収めることができるのです」
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みんなのコメント
回生ブレーキありの場合と同程度の航続距離を確保するためには余計なバッテリーを積まなきゃならんし、そのほうがよっぽど重いと思うが