ヘッドライトに左右される?
text:Kouichi Kobuna(小鮒康一)
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editor:Taro Ueno(上野太朗)
自動車の進歩は日進月歩。1960年代に自動車が一般のユーザーにまで浸透するようになって60~70年しか経過していないにもかかわらず、今ではクルマが空を飛ぼうかという段階にまで進化している(空を飛ぶのがクルマなのかという点は置いておいて)。
そんなクルマの中でも未だになくてはならない装備なのが前照灯だろう。いわゆるヘッドライトと言われるこれは、夜間にクルマを走らせる上で欠かすことができないものだ。
現在のように電気の力を用いたヘッドライトは、すでに今から100年ほど前にはすでに存在していたと言われており、それ以降は日々進化を続けながら現在に至っている。
80年代ごろまでは多くの車両に使用されていたシールドビームタイプのヘッドライトから、バルブ交換式のハロゲンヘッドライト、その後はHIDと呼ばれるアーク放電の力を用いた高輝度放電ランプになり、現在は発光ダイオードを使用したLEDヘッドライトが主流となった。
古くは規格ライトと呼ばれ、丸型か角型の決まったサイズのものが存在していたヘッドライトであるが、バルブ交換式のハロゲンタイプになり、レンズもガラスから樹脂へと材質が変更されたことでデザインの自由度が増し、現在のような小型LEDを用いるタイプでは、よりシャープで薄いヘッドライトデザインも可能となった。
一時期存在していたヘッドライト・ワイパー
そんなヘッドライトではあるが、当然ながら汚れが付着した状態では本来の明るさを発揮することが望めない。
そんなときに使えるようにとヘッドライトにワイパーを備えたクルマが存在していた時期があった。このヘッドライト・ワイパーを初めて実用化したのは1970年代初頭のサーブだと言われており、その後は同じスウェーデンのボルボや、高級車で知られるメルセデス・ベンツなども後を追うように採用していった。
日本車でも日産サファリといったRV車などに採用例があり、悪路走行時などでヘッドライトが汚れた際に重宝する装備となっていた。
しかし、前述のようにヘッドライトの形状の自由度が上がったことでワイパーでは全面をふき取ることができなくなり、材質も樹脂レンズとなったことでキズの原因になるヘッドライト・ワイパーは徐々に姿を消すことになってしまった。
その一方で、どんなに形状や材質が変化したとはいえ、ヘッドライトが汚れてしまう可能性は変わらないため、新たに登場したのがヘッドライト・ウォッシャーである。
ヘッドライトに向かってウインドウ・ウォッシャーと同じように洗浄液を噴射することで汚れを落とすヘッドライト・ウォッシャーであるが、ワイパーに代わって装着されるようになったのにはもう一つの理由が存在するのだ。
LEDライトは発熱量が少ない
少ない電力で明るい光を放つLEDライトは、省電力というメリットがある反面、それだけ発熱量が少ないという特徴も併せ持つ。
通常であれば発熱量が少ないことはメリットとなり得るものであるが、こと冬季に限って言えば発熱量が少ないことでヘッドライトに付着した雪が溶けにくくなるという点がデメリットとなってしまう。そのため、ヘッドライト・ウォッシャーで付着した雪を落とす必要があるというワケなのだ。
また、最近のヘッドライトは昔の規格ライトのようにレンズカットによって配光をコントロールしているわけでないため、予期せぬ雪や汚れの付着によって意図しない方向へ光が向かう可能性がある。ともすれば対向車への目くらましともなりかねないため、ヘッドライト・ウォッシャーの重要性が高まっているといえる。
事実、欧州の一部地域ではヘッドライト・ウォッシャーの装着が義務化されているところもあり、日本でも純正のヘッドライトの明るさが2000ルーメン以上のもの、および配光可変型前照灯(ステアリング操作に連動して照らす方向が可変するタイプ)にはヘッドライト・ウォッシャーの装着が義務付けられている。
このように、明るく省電力になったことで必要となった装備がヘッドライト・ウォッシャーということになり、クルマの進化によって必要な装備が増えるという、なんとも不思議な現象が巻き起こっていたのである。
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みんなのコメント
タイヘン迷惑だし、事故板金後のボロみたいで止めて欲しい。
かすたむ~とか思ってんだろうな。