ノーマルのシャシーにSのエンジン
執筆:Illya Verpraet(イリヤ・バプラート)
<span>【画像】アルピーヌA110 限定のリネージGT 欧州で競合するスポーツモデルと比較 全104枚</span>
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)
今回試乗したのは、これまでの特別仕様のアルピーヌA110とは少々違う。専用塗装とホイールで飾られた特別仕様は、何度も登場している。でも、今年のリネージGTは試乗するべき内容を備えている。
AUTOCARを読まれている方なら、2020年にも252psのエンジンを載せた、リネージGTがあったことをご記憶かもしれない。だが2021年度版は292psのエンジンを、標準のシャシーに組合わせている点で異なる。
A110 Sに与えられる、追加のパワーは大歓迎なはず。でもノーマルのA110が備える、ユニークでフレッシュさすら感じるシャシーは捨てがたい。このリネージGTなら、その両方が手に入るのだ。
しかも、通常のリネージならオプションとなる魅力的なアイテムも、標準で搭載されている。つまり2021年のリネージGTは、これまでのベスト・アルピーヌA110だといっていい。
リネージGTに与えられるのは、320mmのブレンボ社製ブレーキディスクとスポーツ・エグゾースト。またフォーカル社製のステレオに、パーキングセンサー、リアカメラという快適装備も付いてくる。GTの名のとおり、ラグジュアリーな内容だ。
ボディとインテリアのカラーコーディネートは、2種類が用意されている。マットグレーのボディにブラックレザーの内装か、ダークブルーにブラウンレザーという組み合わせから選べる。
シートは、ピュアやA110 Sの軽量バケットシートではなく、6ウェイの電動シート。ダイナミカと呼ばれる風合いの良いマイクロファイバー生地が天井の内張りなどに用いられ、銅が編み込まれたカーボンファイバーのトリムが、内装にアクセントを付けている。
素晴らしいシャシーを味わい尽くすツール
実際に走らせてみても、2021年版のリネージGTはアルピーヌA110のベスト。登場から4年が経過するが、ドライビング体験の充足度は極めて高い。
A110に搭載される1.8Lの4気筒ターボエンジンは、素晴らしいシャシーを味わい尽くすためのツール。リネージGTでは、一段高いスピードを獲得した。ドライバーを楽しませるように咆哮を放ち、唸りを響かせる。
最高出力が292psに増強されているが、0-100km/h加速時間は0.1秒しか違わない。その理由は、32.5kg-mの最大トルクが変わらないためだ。パワーデリバリーには若干ターボラグも感取される。個性を一変させるほどの違いまでは、得ていない。
トランスミッションは7速デュアルクラッチAT。素早く変速してくれるが、ベストとまではいえないのも従来どおりだ。
A110の特色といえる、生々しい動的能力にも変わりはない。この小さなミドシップ・スポーツカーの最大の魅力は、ナチュラルな機敏さと、フロントで切り込んでいくような身のこなし。
前後のタイヤを活かし、意欲的に姿勢制御できる。高性能な四輪駆動のホットハッチのフィーリングにも通じている。ステアリングは期待ほど情報量が濃くはない。サスペンションの動きを通じて、シャシー全体でドライバーへ状態を伝えてくれる。
長距離ドライブの親和性や快適性
アルピーヌA110のしなやかで素直なシャシーは、古いフランス車で味わう体験とは異なる。ポルシェ並みの減衰力特性は獲得していないものの、スポーツカーらしい硬さもある。また管理の悪い英国の一般道でも、不快さを感じることもない。
クルマとの意思疎通のしやすさというべきか、一体感では、A110を超えられるのはケータハムくらいだろう。それでいて、長距離ドライブへの親和性や快適性は、遥かに高い。普通のハッチバックと同じくらい車内は居心地が良いし、乗り降りもしやすい。
シートは柔らかく身体をしっかり支えてくれる。調整域も広い。高速域でのノイズは小さく、余計な疲労を生むこともない。
リネージGTで数少ない気になる部分が、インテリアの質感や装備。レザーシートは心地良いし、高音質なステレオも付いてはいるが、価格を正当化できるほどではないかもしれない。
カーボンの装飾トリムで飾られているとしても、ルノーの量産モデルと共通する部品を隠し切ることは難しい。インフォテインメント・システムは、アップル・カープレイやアンドロイド・オートにも非対応。現代水準では、少し残念な内容だ。
アルピーヌA110は、インテリアやデジタル装備で選ぶようなクルマではないとは思う。だが、6万4807ポンド(約998万円)という試乗車の英国価格を目の当たりにすると、引っ掛かることは確かだろう。
いま選ぶべきアルピーヌA110
このリネージGTは、現在購入できるベストのアルピーヌA110だと、筆者は断言できる。そして、最も値段が張るA110でもある。
台数限定の特別仕様車として、プレミアムが乗った価格ではあるだろう。約1万5000ポンド(約231万円)安いA110 ピュアでも、同等に楽しめるのではないか、と勘ぐってしまう気持ちもなくはない。だが、恐らくそんなことはない。
A110 Sと比べれば、3400ポンド(約52万円)ほどの差になる。より柔らかいサスペンションなどを組み合わせた対価と考えればいい。
充分な予算があるなら、いま選ぶべきアルピーヌA110は、リネージGTだ。とはいえ、より安価なA110を選んだとしても、恐らく後悔することはないとも思うけれど。
アルピーヌA110 リネージGT(英国仕様)のスペック
英国価格:6万1655ポンド(約949万円)
全長:4205mm
全幅:1800mm
全高:1250mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.4秒
燃費:14.3km/L
CO2排出量:153-158g/km
車両重量:1134kg
パワートレイン:直列4気筒1798ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:292ps/6400rpm
最大トルク:32.5kg-m/2000-6400rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック
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