スムーズで瞬発力の鋭いパワートレイン
text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
【画像】アウディQ4 スポーツバック eトロン 欧州で続々登場 純EVのクロスオーバー 全142枚
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
アウディQ4 スポーツバック50 eトロン・クワトロは、フロントに非同期モーター、リアに同期モーターが搭載され、システム総合での最高出力は299ps。最大トルクは46.7kg-mを得ている。トランスミッションはシングルスピードだ。
質感の良いシートに座り、Q4 50 eトロンを発進させてみよう。準備は、センターコンソールのシフトセレクターを手前側に引いて、Dを選ぶだけ。
このDモードは、アクセルペダルから足を離しても惰性走行する状態。もう一つ手前に引いてBを選ぶと、アクセルオフで回生ブレーキが強く働き、運動エネルギーを電気エネルギーとして回収しながら明確な減速を得られる。
ステアリングホイールにはパドルが付いており、回生ブレーキの強さはそのほかに3段階から選べる。最も弱い状態は、エンジンモデルの惰性走行に似た印象。最も強くすると、最大0.6Gの制動力が得られる。それだけ、エネルギーの回収率も高くなる。
Q4 50 eトロンのパワートレインは訴求力が高い。発進直後から最大トルクが得られ、パワーデリバリーはとてもスムーズで瞬発力に優れる。0-100km/h加速は6.2秒とアウディは主張しているが、実際はそれ以上に速く感じる。
比較すると、BMW iX3より0.6秒、メルセデス・ベンツEQAより2.7秒も速い。ロータリー交差点などで不用意にアクセルを踏み込むと、トラクションを失う場面もあるほど。
最高速度は180km/hに制限される。35や40 eトロンはギア比が異なり、160km/hに低くなる。
純EV水準でも突出して高い走りの洗練度
走行時の洗練度は、純EVの水準からしても突出して高い。負荷がかかると電気モーターから高周波音が聞こえてくるものの、ノイズと呼べるようなものはサイドミラー付近の風切り音程度。
一般的な高速道路の速度域なら、感心するほど静かで車内は落ち着いている。加えて最小回転直径10.2mという小回りの良さで、市街地でもすこぶる扱いやすい。電動パワーステアリングはフィードバックに乏しいものの、ステアリングは軽く軽快に向きを変える。
フロア下に敷かれるバッテリーのおかげで重心位置は低く、前後の重量配分も良好。ターンイン時の反応も良く、タイトなコーナーを回り込んでもボディロールは限定的だ。
高いグリップ力と相まって、ハイスピードでのコーナリングを許してくれる。スポーツカーのような魅力を感じるわけではないけれど。
試乗したQ4 50 eトロンにはスポーツサスが組まれており、標準より車高は15mm低かった。アダプティブ・ダンパーも備わり、エフィシェンシーにコンフォート、ダイナミック、インディビジュアルの4種類のドライブモードから特性を選べる。
ホイールはオプションの21インチで、タイヤサイズはフロントが235/40、リアが255/40というもの。ブランドはブリヂストンのトランザと呼ばれるエコ仕様だった。乗り心地は素晴らしく柔軟で、小さなコブも大きな隆起も、しっかり受け止めてくれていた。
自宅で過ごすように快適で心地良い
駆動用バッテリーは、実容量76.6kWhのリチウムイオン。航続距離は497kmがうたわれているが、今回は確認することができなかった。
試乗コースの地形はほぼ平坦だったが、ステアリングホイールのパドル操作で、効率的にエネルギーを回収できることは確認している。急速充電器は最大125kWにまで対応し、最短10分で128kmぶんの電気を蓄えられるという。
Q4 スポーツバック50 eトロン・クワトロの英国価格はまだ未定とのことだが、アウディによれば、同等の兄弟モデルより1500ポンド(23万円)ほど高くなると説明していた。察するに、恐らく5万3000ポンド(816万円)くらいになるだろう。
アウディQ4 50 eトロンの作り込みや完成度の高さには感心させられる。ドライビング体験は魅力に溢れるというほどではないにしろ、パワフルな動的性能にレスポンスの鋭いハンドリング、上質な乗り心地をすべて両立させている。
広々とした車内と充実した標準装備、インテリアの高い質感なども、大きな訴求力を持っている。市街地でも郊外の道でも、まるで自宅で過ごすように快適で心地良いクルマだと感じた。
アウディQ4 スポーツバック50 eトロン・クワトロ(欧州仕様)のスペック
英国価格:5万3000ポンド(816万円/予想)
全長:4588mm
全幅:1865mm
全高:1614mm
最高速度:180km/h(リミッター)
0-100km/h加速:6.2秒
航続距離:497km
CO2排出量:−
車両重量:1895kg
パワートレイン:AC同期モーター+AC非同期モーター
バッテリー:76.6kWhリチウムイオン(実容量)
最高出力:299ps(システム総合)
最大トルク:46.7kg-m(システム総合)
ギアボックス:−
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みんなのコメント
マイナス0.5Gって凄い減速Gだよ。 某社のブレーキ試験は、マイナス0.5Gを〇〇回(スマン。企業秘密だから。驚くような少ない回数だと思ってくれ)でフェードしないことだった。
車のブレーキが焼き付くような減速Gをしょっちゅうするはずが無いだろ。
多分0.3G程度。これでもシートベルトのELRのGセンサーが衝突するかもと判断して予備ロックを掛けるGだよ。
マイナス0.6Gの回生制動ブレーキって舌をかむかもね。
本当かい?
それとEVの回生制動ブレーキの最弱のコースティングは、電車の慣性走行と同じ。
エンジン車はそうはならない。トランスミッションの引きずりが出るから感覚が全く異なるよ。MT車でクラッチ切って惰性で走るよりスカーッと走る。