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発表迫るマイチェン版 ポルシェ・カイエン S 試作車へ試乗 4.0L V8ツインターボ獲得 前編

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発表迫るマイチェン版 ポルシェ・カイエン S 試作車へ試乗 4.0L V8ツインターボ獲得 前編

1か月の厳しい開発テストを経た試作車

アメリカ・ロサンゼルスの高級ホテルの地下駐車場に、ボディやインテリアへ偽装が施されたポルシェ・カイエンが並んでいた。まだ太陽の光は青みがかった早朝。この姿のまま、公道を運転させてもらえるという。

【画像】発表迫るマイチェン版 ポルシェ・カイエン S 現行の3代目 競合する高級SUVと比較 全145枚

太平洋に面したベニスビーチとサンタモニカへ車列を組んで走り、風光明媚なパシフィックコースト・ハイウェイを目指す。マリブへ着いたら、チャレンジングなワインディングロードも体験できるそうだ。自然と胸が高鳴る。

このブラックに塗られたカイエンは、マイナーチェンジ版となる3代目のプロトタイプ。従来的なワゴンボディと、クーペボディの両方が用意されている。カリフォルニア州の海岸線やネバダ州のモハベ砂漠で、1か月の厳しい開発テストを経てきた車両らしい。

これから、ドイツの開発本部へ戻される予定にある。様々な部品の耐久性や摩耗具合を確認するため、バラバラにされるのかもしれない。あるいは、整備を受けて更に厳しいテストへ送り込まれるのかもしれない。

しかしその前に、まだ完璧ではないにしろ、改良の成果を確かめさせてくれるという。ポルシェが抱く高い自信が伺える。

カイエンが属する上級SUV市場は競争が激しい。BMW X5にアウディQ8、メルセデス・ベンツGLE、ランドローバー・レンジローバー・スポーツなど魅力的なモデルには事欠かないが、今後数年間、さらに対峙できる能力を得たようだ。

最も力が込められたボンネットの内側

2017年に発表された3代目のカイエンは、変動する情勢によって、当初より遥かに長いモデルライフが与えられることになった。そのため、今回の改良は極めて広範囲に及んでいる。一般的なフェイスリフトを超えた内容といってもいいだろう。

「カイエンの未来に不安はありません。新しいバッテリーEVをラインナップへ追加するための投資に伴い、内燃エンジンモデルのライフを伸ばすことが決定しています。通常のフェイスリフトより、大きな自由度が与えられました」

ポルシェのモデルライン・ディレクターを務める、ステファン・フェッグ氏が説明する。2025年に4代目のカイエンが発表される予定になっていたが、それがどう変化したのか、具体的なことは明言を避けた。

あと何年かは不明だが、モデルライフを伸ばすため、相当なアップデートが施されたことは間違いない。ポルシェが主張するほどの、革新的な変化とはいえないかもしれないが、少なくとも説得力を持つ内容にはなるだろう。既存のオーナーにとっても。

今回、最も力が込められた部分はボンネットの内側といえる。既存のユニットを高性能化させただけでなく、パワフルな選択肢が増やされることが特徴だろう。

各グレードで増強 ターボGTが非導入の地域も 

ガソリンエンジンでは、エントリーユニットの3.0L V6ターボエンジンが14psと5.1kg-m増強され、最高出力354ps、最大トルク50.9kg-mを獲得。カイエン Sに載っていた、アウディ由来となる2.9L V6ツインターボはラインナップから落ちる。

そのかわりカイエン Sは、ポルシェ自身の4.0L V8ツインターボを獲得。従来から35psと5.1kg-m増え、475psと61.1kg-mが与えられる。

カイエンのトップグレードを担うターボGTには、さらにハイチューンの4.0L V8ツインターボが搭載され、従来から20ps増しの最高出力660psを達成するそうだ。最大トルクは変わらないというが、86.5kg-mもあるから不足はないはず。

欧州市場のドライバーにとって残念なお知らせといえるのが、排出ガス規制の強化に伴い、今後はターボGTが選べないという事実。それ以外でも、ユーロ6AP基準が適用される地域では導入が見送られる。

プラグイン・ハイブリッド(PHEV)のEハイブリッドももちろん存在する。トランスミッションに内蔵される駆動用モーターが改良を受け、従来より40ps増強され176psを得ている。

3.0L V6ガソリンターボエンジンは若干パワーが絞られ、339psから304psへ落ちるが、システム総合としてはパワーアップ。システム総合では8ps増しの470psを発揮するとのこと。最大トルクは総合でも5.1kg-mダウンし、66.1kg-mになる。

エアサスはツインチャンバーへ変更

PHEVでは駆動用バッテリーも11.8kWh増量され、25.9kWhの容量が与えられる。ACの充電能力も、最大7.2kWだったものが11kWまで対応するようになる。ソフトウエアもバージョンアップし、より短時間での充電を叶えたという。

新しい駆動用バッテリーとソフトウエアの導入により、電気だけで走行可能な距離が80%伸び、約80kmになるとのこと。ポルシェによると、EハイブリッドとS Eハイブリッドとは別のPHEV版も登場するようだが、この詳細は後日となる。

サスペンションにも抜かりはない。従来のものを抜本的に見直し、改良とチューニングを施したと主張している。

スチールコイルにツインチューブの可変ダンパーが組み合わされた、ポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネジメント(PASM)システムを獲得。オプションでエアサスペンションも選べるが、トリプルチャンバーからツインチャンバーへ変更される。

トップグレードのカイエンに搭載できる、後輪操舵システムにも手が加えられている。市街地での取り回しを向上させるため、低速域でのリアタイヤの操舵角が増やされる。

この続きは後編にて。

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