2004年8月にデビューした現行ハイエースはプロユースの1BOX車として不動の人気を誇っている。
2018年の新車販売台数を見ると、現行ハイエースバン(レジアスエース含む)は5万7893台と、最大のライバル、日産キャラバン(2万3713台)に3万4180台の差をつけている。
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現行ハイエースのデビューは2004年8月だから、デビューしてから15年も経つというのに、なぜこれほどの人気を保ち続けているのか?
一方、ハイエースのライバルといえば、2012年6月にハイエースを研究して新型にフルモデルチェンジした現行5代目NV350キャラバン。
新車販売では圧倒的にハイエースに軍配があがったが、中古車ではどうなのだろうか? 今回はハイエースとキャラバンの中古車にスポットを当て、両車の中古車相場や人気グレードを徹底調査。
ハイエース、NV350キャラバンのどちらの中古車が選べばお得なのか? 中古車事情に詳しい萩原文博氏が解説する。
文/萩原文博
写真/ベストカーWEB トヨタ 日産
(画像ギャラリー)ハイエース、キャラバンの内外装、荷室、ボディ形状ほか詳細写真
ハイエースはデビューしてから約15年! フルモデルチェンジが近い
現行200系ハイエースバンスーパーGL、標準ボディ、標準ルーフのボディサイズは全長4695×全幅1695×全高1980mm、ホイールベースは2570mm。ワイドボディは全幅1880mm、スーパーロングは全長5380mm
ハイエースの現行モデルは2004年8月に登場した200系と呼ばれるモデルで、すでに丸15年も販売しているロングセラーモデルとなっている。
ベストカーwebではこれまで、新型ハイエースのスクープ記事を掲載してきたが、次期ハイエースは現行型のキャブオーバータイプの1BOXタイプから、ショートノーズの付いたスタイリングに変わると予想している。
フィリピンで発表された海外仕様の新型ハイエース。写真はショートボディ標準ルーフ。ボディサイズは全長5265×全幅1950×全高1990mm。ちなみにロングボディハイルーフのボディサイズは全長5915×全幅1950×全高2280mm、ホイールベースは3860mm 。日本仕様はこのサイズで発売される可能性は薄い。2019年9月時点の情報では新型ハイエースは2020年春頃のデビューとみられている
2012年6月にデビューしたNV350キャラバン。2017年7月にマイナーチェンジを実施。インテリジェント エマージェンシーブレーキをはじめとした安全装備を充実させた
新型ハイエースは、ライバルである日産NV350キャラバン同様にビジネスユースとして使用されることが多いため、“4ナンバー枠”全長4700mm以下、全幅1700mm以下、全高2000mm以下を維持すると考えられている。
一般的には新型車が登場すると旧型となったモデルの中古車は値落ちが進むものだが、その点も見ていきたい。
まずはハイエースとNV350のボディ形状の違いから
ハイエースバンDX“GLパッケージ”(2WD、2000ガソリン、6AT、5ドア、標準ルーフ
NV350キャラバン・バンプレミアムGX(2WD・ガソリン)、ロングボディ、標準幅、標準ルーフ
そこで、今回は1BOX車のロングセラーモデルであるハイエースと長年のライバル車である日産NV350キャラバンのバンの中古車事情について紹介しよう。
まずは多彩なハイエースとNV350キャラバンのバンモデルのボディ形状を紹介しよう。
ハイエースの全長はロング(4ナンバー4695mm、1ナンバー4840mm)と5380mmのスーパーロングの3種類。全幅は1695mmの標準と1880mmのワイドの2種類となる。
全高は標準ルーフが1980mm(ジャストロー1985mm)、ミドルルーフが2105mm、そしてがハイルーフ(ロングボディは2240mm、ジャストロー2245mm)、スーパーロングの2285mmとなっている。
一方のNV350キャラバンは、全長は4695mmの4ナンバーのロング、全長5080mm、5230mmの1ナンバーになるスーパーロングの3種類。全幅は標準の1695mmとワイドの1880mmの2タイプ。そして全高は標準ルーフの1990mm、ハイルーフの2285mmの2種類とハイエースと比べるとシンプルな構成だ。
これらのボディタイプが組み合わされているわけだが、注目のポイントはハイエースにはスーパーロングにはワイド幅しか設定されていないのに対して、NV350キャラバンはスーパーロングにも標準幅のモデルが用意されていることだ。
標準ボディのボディサイズはほぼ同サイズとなる 。荷室長はハイエースより50mm長い
続いては搭載しているパワートレインだ。ハイエースバンは最高出力136psを発生する2L直列4気筒ガソリンエンジン、最高出力160psの2.7L直列4気筒ガソリンエンジン、そして最高出力151psを発生する2.8L直列4気筒ディーゼルエンジンの3タイプ。組み合わされるトランスミッションは6速ATを中心に2Lガソリンエンジンには5速MTが用意されている。
NV350キャラバンは、最高出力130psを発生する2L直列4気筒ガソリンエンジン、最高出力147psを発生する2.5L直列4気筒ガソリンエンジン。そして最高出力129psを発生する2.5L直列4気筒ディーゼルエンジンの3種類。組み合わされるトランスミッションは5速ATを中心に、2Lガソリンそして2.5Lディーゼルに5速MTが用意されている。
エンジンの出力はハイエースがパワフルで、トランスミッションも多段化されているが、NV350キャラバンはディーゼル車にも5速MTが用意されているのがポイントだ。
ハイエースの中古車相場は値上がり傾向
圧倒的に流通台数が多く人気だったのが2Lのロングバン、スーパーGL、2/5人乗り、標準ルーフ、5ドア
ハイエースの中古車は写真をクリックすると見られます!
それでは本題のハイエース、NV350キャラバン各車の中古車相場を見てみよう。
現行型ハイエースバンは2004年に登場して以降、何度もマイナーチェンジを行い2012年4月のマイナーチェンジでは盗難防止システムであるイモビライザーの全車標準装備化。
2017年11月の一部改良では衝突回避支援パッケージ「トヨタセーフティセンスP」を標準装備とするなど、走行性能をはじめ安全性能、環境性能などをアップデートしてきた。
現在、現行型ハイエースバンの中古車の流通台数は、さすが15年も販売しているロングセラーモデルだけあって約3000台と非常に多い。
しかも運転支援システムの「トヨタセーフティセンスP」を標準装備、そしてディーゼル車のトランスミッションをガソリン車と同じ6速ATに換装した2017年11月に一部改良後の高年式中古車が全体の25%を占める約750台も流通しているのである。
その2017年以降の高年式中古車の平均価格は3カ月前が約386万円、今月が383万円とほぼ横這いにとどまっている。
しかし、ハイエースバン全体の平均価格の推移を1年というロングスパンで見てみると、2018年9月は約220万円だったが、現在は約232万円と値上がりしているのだ。
これは先ほど紹介した高年式車が増加したことも値上がりの要因の一つだが、カスタマイズ済の中古車が多く出回っているのも平均価格の上昇に影響を与えているのだ。
しかし、これだけ新型ハイエースが登場するとメディアに流れているのに、逆に値上がりしているというのは凄い。ノーズが長くなるといわれる新型が敬遠されているということなのだろうか。
ハイエースバンの中古車の流通台数を年式別に見てみると2019年式が約625台と最も多く、次いで多いのが3度目のマイナーチェンジを行いフロントマスクが変わった2014年式で約350台。
そして2013年式、2015年式が僅差で並ぶ。価格帯は約36万~約900万円で、高額車はキャンピングカーとなっている。
走行距離は100万円以下の中古車では30万kmはザラで最も多いモノで50万kmという中古車もあるほどだ。
モデルライフが長いため、グレード数が多いのだが最も多いのが約430台の2.0スーパーGLロング。
次いで多いのが約250台で3.0ディーゼルターボスーパーGLロングそして3.0ディーゼルターボDXロングとなっている。やはり装備の充実したスーパーGLの人気が高い。
NV350キャラバンはやや値落ち傾向に
NV350キャラバンの中古車流通台数が最も多かったのが
バンDX、ロングボディ、標準幅、標準ルーフ
キャラバンの中古車は写真をクリックすると見られます!
一方、日産NV350キャラバンは2012年6月に登場し、こちらも販売開始して以降モデルラインナップの拡充をはじめ、2016年1月には衝突被害軽減ブレーキ「エマージェンシーブレーキ」を設定し、安全性を向上。
そして2017年7月にマイナーチェンジを行い、内外装の変更をはじめ安全装備の充実化を行った。
現在、NV350キャラバンの中古車は約1070台流通しており、こちらもハイエース同様に2017年に行ったマイナーチェンジ以降の高年式車が約480台と約44.8%を占めている。
多くを占めている2017年式以降の高年式車の平均価格は3カ月前が約239万円で今月は約232万円と約7万円の値落ちを示している。
さらに過去1年の平均価格の推移を見てみると、1年前の2018年9月の平均価格は約206万円で、現在は約199万円と同じ高年式車の比率が高くなっているにも関わらず、しかも年式が新しいのにNV350キャラバンは値落ち傾向となった。
年式別の中古車の分布を見てみると、NV350キャラバンは約330台で2018年式が最も多く、次いで2019年式の約185台。そして2014年式の154台と続く。
価格帯は約69万~約679万円で高額車には少ないながらキャンピングカーも登場。走行距離は最も多くても約26万kmなので、30万kmでも100万円近い価格の付くハイエースの人気が伺える。
グレード分布を見てみると最も多いのが2.0DXロングの約270台。次いで多いのが2.0プレミアムGXロングの約155台。そして2.5ディーゼルターボDXロングの約120台が続く。
中古車相場でハイエースとキャラバンに決定的な違いはあるのか?
NV350キャラバンの中古車はスタンダードグレードのDXが中心。写真はバンDX(2WD、ガソリン)ロングボディ、標準幅、標準ルーフ
ハイエースはスーパーGLと呼ばれる最上級グレードが多く流通していたのに対して、NV350キャラバンはスタンダードグレードのDXが中心。
これはハイエースがパーソナルユースのユーザーが多いのに対して、NV350キャラバンはビジネス用ということを表している。実際カスタマイズ車の比率も圧倒的にハイエースが高いのだ。
ハイエースとNV350キャラバンは同じキャブオーバータイプの1BOX車だが、探しているユーザー層が大きく異なっているといえるのかもしれない。
中古で狙うなら最終的にどっちがお得?
下取り価格を考えるとハイエースのほうがお得といえそうだ。写真はスーパーGL(2WD、2800ディーゼル、ワイドボディ、ミドルルーフ)
安く1BOX車を手に入れるのならばNV350キャラバンがオススメといえるし、ハイエースというブランドを手に入れたいという人にとってNV350キャラバンは視界に入らないだろうし、ハイエースこそが唯一無二の存在となっている。
ハイエースは世界的なブランド価値があり、日本で役目を終えて海外に輸出されることが多いため、リセールバリューが高い。販売台数が多いため、カスタマイズパーツも豊富にあり、自分好みにカスタムが可能。
NV350キャラバンはハイエースより新車価格は少し安くなっているがクルマを下取り時の査定金額はハイエースのほうがNV350キャラバンより新車価格の差以上に高くなる。
中古車を買う時だけでなく、売る時のことなど総合的に考えるとハイエースの勝ちということになる。
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