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【高出力を悟らせない】 BMWアルピナB3 GT/ツーリング ブッフローエ・アルピナ、その最高到達点 

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【高出力を悟らせない】 BMWアルピナB3 GT/ツーリング ブッフローエ・アルピナ、その最高到達点 

GT、アルピナの歴史を総括する1台

6月5日に発表されたBMWアルピナのB3GTとB4GTをドライブするため、日本からひとりでドイツのザッセンリンクサーキットを訪ねた。

【画像】ドイツ本国試乗 BMWアルピナB3 GT/ツーリングの様子をみる 全44枚

アルピナらしいな! と感じたのは、ピットレーンに広報写真と同じナンバーの3台が並んでいたこと。

現段階ではB3 GTリムジンとB3 GTツーリング、そしてB4 GTグランクーペはそれぞれ1号車しか完成していない。年間2000台程度というアルピナらしい規模感である。国際試乗会とはいえジャーナリストの数も15名ほどだった。

本稿ではB3 GTとツーリングに触れる。GTという名称が追加されているがこれは2019年に登場したB3のフェイスリフト版であり、BMWのベースモデルのLCIを受けての登場となる。

以前登場したB5 GTは世界限定250台のモデルだったが、今回の3車種はカタログモデルとして受注される。車名にはないが、駆動はもちろんアルラット=AWDである。

スペック的に目立つのは3Lツインターボ、S58ユニットの最高出力が495psから529psまで引き上げられたこと。外観はB5 GTと同じようにフロントスポイラーの両端にカナードが追加される。

またこれまでB4のみに装着されていたエンジンルーム内の見た目をがらりと変える補強部材(ドームバルクヘッドレインフォースメント)がB3 GTにも追加されている。

それ以外の性能的な変更点は後に記す足回りの変更と各ソフトウェアのキャリブレーションということになる。

繊細なチューンの先に溢れる余裕

試乗は3台で隊列を組み、そこそこ速いペースカーについていくスタイル。

つまり公道とは別次元のスピードである。これまでのB3をサーキットで乗ったことがないので単純比較はできない。だがトラックDSCを選び、全開でピットアウトした際の加速は529psの高出力をさとらせない滑らかなものだった。

少し路面が濡れている部分もあったのだが、スロットル操作に対し寛容で、狙ったラインをゆったりとトレースするだけでいい。サーキットですぐに楽しい! と感じるクルマはステアリングがクイックだとか、スロットルに対しリアの反応がリニアといった特徴があるが、B3 GTはそのどちらでもない。

4輪でしっかり路面を捉えつつ、ペースアップに余裕を持って対応していく感じ。これは後で試乗したツーリングでも全く同じ印象だった。

パドックに戻り、足回りや電子制御を担当しているというトビアス・ウィーガーに訊くと、今回B3 GTはパワーアップに合わせ全面的にリセッティングを施したという。

物理的な変更はリアのダンパー取り付け部の強度が上がったことを受けリアのスタビを1段階柔らかくしている。一方フロントは前記の補強で応答性を高めたという。

そしてダンパーを含む電子制御システムのキャリブレーションである。こちらが「全体的に硬いor柔らかくなった?」と聞くと、彼は「そんな大雑把なものじゃないよ!」と言って笑った。

グリップではなくタイヤに拘った走りの質感

全ての走行モードでエンジンと8速ATのアデフ、ダンパー、そしてDSCの電制チューニングを行っている。

ベースのECUはM用ではなくBMW用だが、トビアス曰くかなり自由にいじれるという。今回の仕事量は「10人のエンジニアで1年間」だそうだ。

普段我々は「物理的に何が変わっているか?」を気にしがちだが、目視できない電制の進化は想像以上に大きいのである。そんな予備知識を入れつつ再度B3 GTを試乗した。

今度はコーナーで少し意地悪な走りも試したが破綻の予兆はなし。それでいて引き締まったドライブフィールが途切れない。走行後のピレリタイヤは側面のALPの文字が消えるほど摩耗していたが(!)、ドライブフィールに違和感はなし。グリップに頼らない動的なバランスも見事だったのである。

2015年以降アルピナに標準装着されるピレリはミシュランに比べ柔らかくなったと感じていたのでそのことをピレリの担当者に訊いてみると「だとすれば、そういうタイヤをアルピナが求めた、ということでしょう」という含みを持たせた返答。

トビアスも車重が増しパワーと最高速も上がり乗り心地の確保は難しいと言っていたので“しなやかなタイヤ”の存在は重要なようだ。

アンドレアス・ボーフェンジーペン社長に「これがアルピナのファイナルモデル?」と聞くと、「アルピナはこれからも続きますよ(それは2025年以降もBMWの手で、という意味だろう)。でも我々は次の車輛を考えていません」との答え。

実質的にブッフローエ・アルピナの最終モデル。その肩書きに相応しい完成度だと感じた。

試乗車のスペック

価格:リムジン 1600万円/ツーリング 1670万円(税込 オプションなし)
全長×全幅×全高:4725×1827×1440(ツーリング:1438)mm
最高速度:308(ツーリング:305)km/h
0-100km/h加速:3.4(ツーリング:3.5)秒
駆動方式:AWD
車両重量:1875(ツーリング:1945)kg
パワートレイン:直列6気筒2993cc+ビターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:529ps/6250~6500rpm
最大トルク:74.4kg-m/2500~4500rpm
ギアボックス:8速オートマティック
タイヤサイズ:255/35ZR20(フロント)265/30ZR20(リア)

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