クルマ好きの間では、振動が少ないスムーズなエンジンフィールとエンジン音から最高のエンジンと評される直列6気筒エンジン。
そして、フロントにエンジンを搭載し、リア2輪を駆動するFR車は、ドライバーの意のままに操れることからいまだにファンが多い。
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そう、直6+FR車こそが、クルマ好きにとって、”理想のクルマ”といわれているのだ。
そこで、直6+FR車の名車のなかから、これぞ直6+FR車と思うクルマを選び、その魅力とともに今いくらで買えるのか、伊達軍曹が解説する。
文/伊達軍曹
写真/トヨタ 日産 BMW
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なぜ直6+FR車が崇められてるのか?
「直列6気筒エンジン」そして「FR」。……クルマ好きにとってはなんとも甘美な字面的である。
そのエンジン音は美しく、カウンターウェイトやバランスシャフトを用いずとも一次振動・二次振動および偶力振動を打ち消すことができるため、長時間運転しても疲れにくいという、素晴らしいエンジン方式だ。
だが「エンジンの全長が長い=居住スペースやクラッシャブルゾーンが犠牲になる」、「FF化には向かない」、「クランクシャフトの設計が難しい」等々の理由により、その昔は高級車において全盛を極めた直列6気筒もV型6気筒にとって代わられた。
まぁ最近ではメルセデスベンツやBMWの一部が直6に回帰、マツダも新規開発中だが、基本的には絶滅傾向にあるのが、FRレイアウトを採用する直列6気筒エンジン搭載車だ。
だが世の中には「中古車」という便利なモノもある。新車では探すのがやや難しい「直6のFR車」も、中古車マーケットにおいてはいくらでも探すことができるのだ。
GT-Rではない2.5L、直6のR34型スカイライン
1998年5月~2001年5月に販売されたR34型スカイライン。「ボディは力だ。ドライビングボディ」というキャッチコピーで話題となった。ボディサイズは全長4705×全幅1720×全高1375mm
R34スカイラインクーペの中古車情報はこちら!
例えば、身近なところでは日産スカイラン。もちろん“ハコスカ”のS20型直6エンジンを堪能しようとすれば1000万円を軽く超える予算が必要となる」わけだが、1998年から2001年まで販売されたR34型の、なおかつGT-Rではない「フツーのR34型スカイライン」であれば、かなり現実的な予算にて「直列6気筒エンジンがすぐそばにある日々」を始めることができる。
「GT-RではないR34型スカイラインに搭載されたエンジンはすべて直列6気筒DOHCで、2LリーンバーンのRB20DE型と、2.5LのRB25DE型、そして2.5LターボであるRB25DET型の3種類。
そのどれもが素晴らしい直6ユニットではあるが、2LのRB20DEは若干トルクが細いと感じる人もいるため、基本的には2.5L自然吸気または2.5Lターボ搭載グレードが狙い目となるだろう。
滑らかで静かという直列6気筒エンジンならではの美点をコンディション良好な個体であればまだまだ存分に楽しめる一台である。
ただ、先ほど2LのRB20DEを「若干トルクが細いと感じる人もいる」と記したが、街乗り中心であればほぼ問題はないはずだ。
「GT-RではないR34型スカイライン」の直近の中古車相場は60万~350万円で、モデル全体としては非常に上下に幅広い。
エンジンごとに見ると、2L自然吸気搭載車はおおむね60万~130万円で、2.5L自然吸気も70万~130万円といったところ。
ただし2.5L自然吸気にターボ用の足回りを装着した「25GT-V」は150万~200万円ほどのプライスとなっている。
2.5L、直6ターボエンジン搭載グレードは120万~290万円といったところだが、好条件な個体は300万円以上の値が付くことも珍しくない。
グレード構成は155psの2L、直6DOHCエンジンを搭載するGTをはじめ、200psの2.5L、直6DOHCエンジンを搭載する25GT/25GT-X、4WD車の25GT FOUR/25GT-X FOUR。そして280psを発生する2.5L、直6ターボエンジンを搭載する25GTターボ/25GT-Xターボの7グレードを用意
R34スカイラインセダンの中古車情報はこちら!
80スープラはやはりターボ付きか?
1993年5月~2002年8月まで生産されたJZA80型スープラ
80スープラの中古車情報はこちら!
トヨタの直6、FR車では、まずは80スープラこと先代のスープラが「要注目の直列6気筒エンジン搭載モデル」ということになるだろう。
80スープラが搭載したエンジンは自然吸気版もターボ版も直列6気筒DOHCで、自然吸気の2JZ-GE型は最高出力225ps、シーケンシャルツインターボ(2ウェイターボ)の2JZ-GTE型は280psを発生する。
ターボ版のほうはマイナーチェンジで可変バルブタイミング機構「VVT-i」を採用した1997年式以降の世代が人気だったが、近頃では「絶対に後期型!」というよりは「あくまで現車のコンディション優先。後期型ターボじゃなくても構わないし、なんなら自然吸気でもOK」という考え方で80スープラを探すユーザーが増えているようだ。
直近の相場は、80スープラ全体としては280万~1100万円といったところ。「自然吸気のSZ系は比較的安価で、ターボのRZ系は比較的高額」という基本的な傾向はもちろんあるが、より具体的には「とはいえ車両価格はコンディション次第で決まる」という側面も強い。
グレード別の相場は、自然吸気のSZ系が280万~390万円、ターボ付きのRZ系が330万~1100万円というのがおおむねの目安だ。
280ps/44.0kgmを発生する2JZ-GTEエンジンを積んだスープラRZ
X100系チェイサーツアラーV
1996年10~2001年10月まで販売されたJZX100系チェイサーツアラーV。FRで280ps/38.5kgmを発生する1JZ-GTE型2.5L、直6エンジンに5速MT(4速ATもあり)ということで人気に火が付いた
X100系チェイサーツアラーVの中古車情報はこちら!
そして「今、中古で狙えるトヨタの直6ユニット搭載モデル」といえば、名機1JZ-GTE型エンジンを搭載したX100系チェイサーツアラーVを外すわけにもいくまい。
1JZ-GTE型は、トヨタ社内で開発されたJZ系をベースにヤマハ発動機が開発および生産した2.5Lの直列6気筒ツインターボ付きエンジン。
軽量なセラミックタービンによる鋭いレスポンスと、当時としては圧倒的に少ないターボラグが魅力で、排気音の美しさについても定評があった1JZ-GTEは、まさに時代を代表した名機。
というか、直列6気筒ならではの滑らかな回転感覚と過給による爆発的な加速、そして甲高い咆哮音は、2020年の今となってもなお魅力的。
X100系チェイサーツアラーV全体の中古車相場は120万~390万円といったところだが、2020年12月上旬現在、走行1万km台のワンオーナーMT車には500万円以上のプライスボードが付いているケースも。ただ、一般的には180万~300万円付近がボリュームゾーンだ。
1JZ-GTE型直6DOHC 24バルブターボ2491ccエンジンは280ps/38.5kgmを発生
先々代のE90型3シリーズの直6が狙い目
2005年にデビューしたE90型BMW3シリーズ
2005~2008年まで330iに搭載されたN52B30A型3L、直6DOHCエンジンは258ps/30.6kgmを発生する
E90型BMW3シリーズの中古車情報はこちら!
国産車ではなく輸入車に目を向けてみると、「直列6気筒エンジン」といえばやはりBMWこそがメイントピックとなるだろう。
BMW=Bayerische Motoren Werke AG(バイエルン発動機製造株式会社)という社名が表すとおり、元々は「エンジン屋」だったBMWは、主に振動特性の観点から古くから直列6気筒エンジンにこだわり、「シルキーシックス」と呼ばれて多くのファンに愛されてきた。
そして直近のG20型3シリーズにおいても「M340i xドライブ」では直6ターボエンジン搭載しているが、M340i xドライブは新車で買おうとすると約1000万円の世界であり、一番安い中古車でも700万円オーバー。普通に考えて、そうそう簡単に買えるものでもない。
そして先代3シリーズ(F30型)の中古車であっても、直6ターボを搭載した340i系はおおむね300万円以上ということでやや微妙。
300万円というのは手が出なくもない金額だが、「中古車にそれだけ出すなら、いっそ最新の国産車のほうが……」とも思ってしまうのが人情というものだ。
手頃な予算で「ビーエムの直6」を味わうなら、E90型こと先々代3シリーズの330i(前期)または325i(後期)系こそが最適だろう。
E90世代の量販グレードである320iは、それまでの世代の320iとは違って直列4気筒エンジンに換わってしまったのだが、E90の330iおよび325iが搭載したのは直列6気筒DOHCとなる。
2008年までの前期型330iに搭載されたN52型直6ユニットはポート噴射+バルブトロニック(可変バルブタイミング機構)で、2008年途中からの後期325iに搭載されたN53型直6ユニットはバルブトロニック・レスの直噴方式という違いはある。
そして排気音や高回転域での回転感覚までを含めた「気持ちよさ」でいえば、前期330iに搭載されたN52型エンジンのほうが上だとはいえるはず。
だが「中古車としてのコンディション」までを含んだ「本当の意味での総合力」から考えるなら、直噴となった後期325iも「今、おすすめできる直6エンジン搭載車」とすることはできるはずだ。
中古車相場は前期330iが40万~60万円で、後期325iが40万~130万円といったところ。330iの流通量は、もはやかなり少ないが、後期型である325iであれば、まだまだ普通に流通している。
2008年にマイナーチェンジした後期型LCIモデル(BMWはマイナーチェンジモデルのことをLCI=Life Cycle Impulseと呼ぶ)。後期型の325iが搭載するN53B30A型3L、直6自然吸気エンジンは218ps/27.5kgmを発生する
E90型BMW3シリーズ後期型の中古車情報はこちら!
直6のBMW M3はどのモデルが買いか?
E36型M3。1993~1995年に販売された前期型はS50B30型3L、直6ユニットは286ps/32.7kgm。1995~1998年に販売された後期型は321ps/35.7kgmを発生するS50B32型3.2L、直6
E36型BMW M3の中古車情報はこちら!
しかし考えてみればBMW3シリーズではなく、それとよく似た形ではあるが、実はまったく別モノである「BMW M3」の直列6気筒DOHCエンジン搭載車にこそ、我々は注目すべきなのかもしれない。
グループAレースに参戦するため作られた初代M3(1985~1990年)が搭載したのは直6ではなく直列4気筒のDOHCで、E90世代(2007~2014年)のM3は4LのV型8気筒自然吸気ユニット。
そして2014年からのF80/82型世代のM3セダンおよびM4クーペは直6ターボに回帰はしたものの、高額すぎてなかなか買えるものでもない。
となれば、注目は3Lまたは3.2LのS50型直6DOHCを搭載したE36世代のM3(1993~1998年)か、その次のS54型直6DOHCを採用したE46型M3(2000~2006年)ということになる。
細かいことというか、個人的な好みでいうと3Lだった時代のE36型前期M3のエンジンこそがシャープで素晴らしかったと思うが、それはもう25年以上前のこと。
こういった世代の中古車は、もはや新車時のエンジンフィールうんぬんではなく「現在のコンディション」こそを最優先して考えるのが鉄則であり、幸せへの道でもある。
2000~2006年に販売されたE46型BM3。S54B32型3.2L、直6エンジンは343ps/37.2kgmを発生。トランスミッションはゲトラグ社製の6速MTと6速シングルクラッチのセミオートマ(SMGII)の2種類。2003年には外装の一部変更やSMGのコンピュータ変更など改良が加えられた
E46型BMW M3の中古車情報はこちら!
現在の相場は、E36型M3が前期・後期を問わず150万~450万円といったところで、E46型M3は200万~460万円というのがひとつの目安。
「もはやクラシックカー」と呼んでしまっては少々大げさだが、それに近い部分もなくはない世代ゆえ、「とにかく素性の良い個体を気長に探す」というのが、E36型またはE46型の直6搭載M3を購入するうえではかなり重要となるだろう。
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みんなのコメント
中古なので当たり外れありますが、90年代の車はそれほど壊れない。
部品もそれほど出ない事もないし、今どきはヤフオクがあるからどうとでもなる。
カーボンニュートラルとやらが騒がれ始めていよいよ純粋な原動機マシンが新車市場から消える準備を始めています。
一生モノの車として手が届く今のうちに買わずしていつ買う?って話ですよ。
出るかと思ったが
出なかった…