この記事をまとめると
■三菱にはかつてランサーというクルマが存在した
なんだこの「全部載せ」感ある車名は! 三菱コルトギャランGTOという激シブクーペとは
■ランサーの姉妹車に「ランサー・セレステ」という2ドアクーペがあった
■ライバルたちと比較して地味な存在だったためにセールスは芳しくなかった
影に隠れたもう1台のランサーとは
三菱ランサー・セレステは、1975年に発売されたファーストバックの2ドアクーペだ。2年前の1973年に発売されたセダンのランサーをもとに、スポーティなクーペ姿が精悍だった。しかし、1981年に生産を終え、1982年に販売も終了して、一世代限りのクルマとなった。
日本国内では、1970年(昭和45年)に排出ガスの規制強化が運輸技術審議会の自動車部で策定され、本格化することになった。そして8年後の1978年(昭和53年)に、当時の目標基準の達成が成る。昭和53年度規制は、当時、世界でもっとも厳しい排出ガス規制値とされた。
ランサー・セレステは、国内はもとより世界の自動車メーカーが排出ガス浄化技術の実現と、市販化に全力を投じた1970年代の過程で生まれたスポーティな2ドアクーペだった。
排出ガス規制への準備がはじまろうとするとき、トヨタから初代セリカが誕生し、DOHCエンジンを搭載するGTと、さらに走りに徹したGTVが発売になる。続く2年後に、カローラ・レビン/スプリンター・トレノが登場した。セリカと同じDOHCエンジンが搭載されるとともに、市販車として当時は画期的なオーバーフェンダーを備え、一躍人々の憧れの的になった。
しかし、当初は有鉛ガソリン仕様で開発されたエンジンを、排出ガス規制に対処するため無鉛ガソリンで使えるようにする苦労があったはずだ。
三菱自動車工業は、1970年にコルトギャランGTOを発売し、これにはDOHCエンジンを搭載した。セリカと真っ向勝負の競合といえる。翌1971年には、ギャランクーペFTOを追加発売し、これはギャランGTOの弟分という位置づけだった。この後継が、ランサー・セレステである。
基となるランサーは、上級車種としてGSRを追加設定し、オーストラリアで開催されたサザンクロス・ラリーで優勝するなど、高性能な走りを強く印象づけた。ランサー・セレステにも、最上級車種としてGSRが設定されたが、その外観は洗練されたクーペの装いで、レビン/トレノのようなオーバーフェンダー付きの凄みのある雰囲気は希薄だった。エンジンも、ランサーを含め三菱はこの時期OHCのままであった。排出ガス規制への対応のさなか、規制に適合する高性能エンジンを採用する厳しさがあっただろう。
排出ガス規制が一段落し、高性能化が復活するのは、1979年の日産セドリックに国産車初のターボエンジンが登場してからだ。
車両重量が900kgを切っていたランサーの軽快な走りと比べ、900kg超のランサー・セレステは、ややおとなしい運転感覚で、特徴のわかりにくい面もあったのではないか。
一般的な傾向として、日本では2ドア車の人気が必ずしも高いとはいえない。小型ハッチバック車なども、2ドアではなく4ドアが好まれる傾向が強い。
それでも、セリカやレビン/トレノ、あるいは日産シルビアなど、2ドアクーペの販売を各社は粘り強く続けたが、よほど思い切った外観や、所有する意味を実感させる性能などがないと、2ドアクーペの販売が厳しいことを、ランサー・セレステは味わったかもしれない。
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みんなのコメント
当時の私は素直に「カッコいい車」と思っていましたが、そんなに短命だったのですね。
当時の三菱自動車は現在よりも元気があって、後にギャランΣやΛなど魅力的な車をリリースしていきました。
もう殆ど見掛けませんが、また元気な三菱自動車に戻ってほしいと思います。
草刈正雄はラムダに。