2023年のブリテッシュ・ラリー選手権を制し、フォード・フィエスタ・ラリー2をWRC2の最前線に返り咲かせたMスポーツ・フォードWRT(ワールドラリーチーム)のアドリアン・フルモー。彼はピエール-ルイ・ルーベに代わってWRC世界ラリー選手権の2023年シーズン最終戦『ラリージャパン』に参戦したが、その結果は計画どおりとはいかないものとなった。
約1年ぶりにWRCのトップカテゴリーに復帰し、ふたたびフォード・プーマ・ラリー1のシートに戻ったフルモーは、自身のペースでタイムを刻みポイントを獲得するような平凡なイベントを期待していた。
3台斬りの衝撃/連覇を阻んだ日本の罠/ひと足早いクリスマス?etc.【ラリージャパンTop 5 Moments】
しかし、悲劇的にも雨に見舞われたラリージャパンは非常に滑りやすい路面コンディションとなり、フルモーはフルデイ初日のオープニングステージだったSS2でクラッシュ。フルモーの計画は失敗に終わり、早々にして競技から離脱することとなってしまった。
道路脇への転落こそ免れたものの同じポイントでTOYOTA GAZOO Racing WRTの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)がクラッシュを喫していること、またヒョンデ・シェル・モビスWRTのダニ・ソルド(ヒョンデi20 Nラリー1)がやはり同じ場所でコントロールを失いフルモーに先んじてクラッシュを喫した過酷なコンディションであることが確認されたことは、Mスポーツ・フォードWRTのリチャード・ミルナー代表がフルモーの今後について考える一助となった。
「道路の中央にはたくさんの水が流れていたんだ」とフルモーのクラッシュを振り返るミルナー。
「彼がブレーキをかけたとき、2本のタイヤが水の中に入り、マシンは弾かれたようにコースオフしてしまった」
「ダニ(・ソルド)によれば、アドリアン(・フルモー)は彼よりも遅いスピードでコーナーに進入したが、それでもコースオフしてしまったようだ」と英国チームのボスはWRC.comに説明した。
チームにおけるフルモーの将来について尋ねられたミルナーは「日本で起きたことだけで彼を検討するつもりはない」と答えた。
「彼はとても強いシーズンを送ってきた。翌朝にリセットして再スタートするのではなく、ロールケージの損傷で完全にリタイアしてしまったのは本当に残念だったよ」
Mスポーツ・フォードは、既報のとおりオット・タナクがヒョンデに移籍することを決めたため、2024年のドライバーラインアップを検討している状況だ。
今回のラリージャパンの直前までタナクとともにラリー1カーをドライブしていたルーベは、ふたたびレギュラードライバーとしてプーマ・ラリー1を走らせる可能性がある。さらにミルナーは、フルモーが2台目のプーマ・ラリー1をドライブするのを見たいとも語っている。
「私としてはふたりとも残しておきたいんだ。彼らはマシンやチームとの仕事の経験を積んできたからね」
この言葉どおりMスポーツのラリー1カーが来年、若手ふたりに委ねられるのか、それとも他チームからの移籍加入や復帰があるのか、発表が待ち遠しいところだ。
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