アメリカンな雰囲気の2ボックスモデル!
バブル期に投入されたマツダの多目的高級サルーン
「見た目は地味なトヨタ86だけど・・・」チューニング第3世代のビルダーが手がけた意欲作
1988年にまず北米で生産、発売され、バブル景気に沸く90年1月から日本でも販売が始まった初代LV系MPV。エンジン縦置きのFR車で、うたい文句は「新しいカテゴリーの多目的高級サルーン」というものだった。
当初、シート配列2-2-3の7人乗りで3.0L V6SOHCのJE型エンジン(155ps/23.5kgm)を搭載し、本革シートのみの設定。5チャンネル化を強力に推し進めるマツダの強気な姿勢がモロに出ていた。
翌1991年10月、アンフィニ店専売車種になったことを受け、正式車名を“アンフィニMPV”に変更。頭を冷やしたマツダはグレードの拡大も図り、2種類のファブリックシート仕様が追加された。
さらに1995年10月のマイナーチェンジで2.5L直4SOHCのG5-E型(120ps/20.1kgm)と、2.5L直4SOHCディーゼルターボのWL-T型(125ps/30.0kgm)が追加され、ディーゼルターボにはパートタイム4WDを設定。2列シート5人乗り仕様やシート配列2-3-3の8人乗り仕様が加わったのもこの時で、グレードは13を数えるまでになった。
1997年11月、アンフィニ店の廃止に伴って再び“マツダMPV”を名乗ることに。モデル末期にも関わらず装備の充実化が図られ、全グレードにABSが、廉価グレードを除いてキーレスエントリーなどが標準装備。
取材車両は、前後にカモメマークが輝く最終型“マツダMPV”のタイプG-L。廉価グレードのタイプGをベースにロングルーフレールやルーフスポイラー、スモークガラスなどを装備した2.5L直4搭載のお買い得モデルだ。
1995年のマイナーチェンジでデザインが一新されたダッシュボード周り。前期型はメータークラスター左右にサテライトスイッチが設けられ、メーターパネルのデザインも異なっていたけど、より一般的なものへと改められた。
デュアルエアコンを全グレードに標準装備するMPV。3列目左側の頭上には、リヤエアコン(クーラー)の操作パネルと吹き出し口が設けられる。ちなみに、後期型の上級モデルではリヤヒーターも備わる。
2列目を一番前までスライドさせることで、3列目とのフルフラット化が可能。実際にはかなり凸凹しているのだが、クッションを敷くなりすれば、今流行りの車中泊もできる。
3列目を起こした状態でのラゲッジスペース。フロアの奥行きは50cmくらいで、8人フル乗車でもそれなりに荷物を積める。また、3列目背面がテーブル状になってるのは、アウトドアでの使用を想定してのことだと思われる。
1.8mを超える全幅と、1.8mに迫る全高。ボンネット位置が高いこともあって大柄に見えるが、全長は5ナンバー枠に収まる4.7m以下。今の基準に照らし合わせると標準的か、もしくはややコンパクトなくらいのサイズだ。
1980年代初めに発売された日産プレーリーと三菱シャリオが元祖と言われる国産ミニバン。以降、各メーカーは様々なモデルを投入してきたが、初代MPVの個性的スタイルは今見ても格別。アメリカンな雰囲気が漂う2ボックスモデル、魅力的すぎる!
■SPECIFICATIONS
車両型式:LV5W
全長×全幅×全高:4660×1825×1785mm
ホイールベース:2805mm
トレッド(F/R):1525/1540mm
車両重量:1650kg
エンジン型式:G5-E
エンジン形式:直4SOHC
ボア×ストローク:φ92.0×93.8mm
排気量:2494cc 圧縮比:8.4:1
最高出力:120ps/4500rpm
最大トルク:20.1kgm/4000rpm
トランスミッション:4速AT
サスペンション形式(F/R):ストラット/5リンク式リジッド
ブレーキ:FRベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:FR195/70R15
●TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
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みんなのコメント
3ナンバーの税金が税制改正でリーズナブルになったり、空前のミニバンブームも追い風になり、苦しいマツダの台所事情を陰で支えたモデルになりました。
特にダッシュボード周りに丸みがあるけど、
それより前はもっとカクカクしたデザインだった。