現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > なぜ京都・二条城で開催? クルマの美を競う祭典「コンコルソ・デレガンツァ」とはどんなイベント?

ここから本文です

なぜ京都・二条城で開催? クルマの美を競う祭典「コンコルソ・デレガンツァ」とはどんなイベント?

掲載 更新
なぜ京都・二条城で開催? クルマの美を競う祭典「コンコルソ・デレガンツァ」とはどんなイベント?

■日本から発信! クルマの“美の祭典”が開幕

 2019年4月13日から14日にかけて、ヴィンテージカーの祭典「コンコルソ・デレガンツァ・京都2019」が開催されました。場所は京都「元離宮二条城」内の一般非公開エリア「二の丸御殿中庭」。世界遺産でもあるこの場所に、美しいクラシックカーが展示されました。

ウン千万円でも日本はスーパーカーが激売れ!? ランボルギーニ 新型「ウラカンEVO」の狙いとは

 このイベントは、集まるクルマのレベルや格式などが、通常のクラシックカーイベントとかなり異なるようです。具体的には、何が違っているのでしょうか。

 直訳すると「優雅さの競争」を意味する「コンクール・デレガンス」とは、クルマの美しさを競う大会のことです。イタリア語では、このイベント名でもある「コンコルソ・デレガンツァ」となります。

 このイベントの起源は、1930年代にヨーロッパの貴族の遊びとして行われたのが始まりです。お城の庭などを利用して、独自のボディをまとったクルマと、最新のファッションをまとった美しい女性、そして犬を連れて、そのエレガントさを競っていました。

 戦前の多くのクルマはシャシーのみの販売で、各オーナーが職人に依頼してボディを作成していたことから、それぞれのクルマのデザインもより個性的なものでした。

 その当時から今に至るまで続いているもののひとつが、イタリアのコモ湖湖畔にある庭園「ヴィラ・デステ」で開催されている「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」です。途中に休止期間がありましたが、今でも知名度が高く、最も由緒あるコンクールとして知られています。

 また、アメリカに目を向けると、有名なゴルフ場「ペブルビーチゴルフリンクス」の18番ホールで行われる「ペブルビーチコンクール・デレガンス」があります。こちらも最高峰と呼ぶにふさわしいもので、毎年8月になると世界中からこのゴルフコースを目指してセレブリティをはじめ、さまざまな自動車愛好家たちが集まります。

 つまり、アメリカとヨーロッパにはこういった格式あるコンクール・デレガンスが存在するのです。

 一方アジアに目を向けてみると、欧米のようなコンクール・デレガンスは行われていません。日本においても「クラシックカーイベント」と銘打たれたものはあまたあれど、その多くが走行イベントで、クルマの美を競うようなものはほとんどないことが実情なのです。

■クルマだけじゃない! コンクール・デレガンスに必要な3つの要素とは

 コンクール・デレガンスに必要なものは大きく3つあります。

 ひとつ目は当然クルマ。これはただピカピカに磨き上げられていることが重要なのではなく、まずそのクルマの歴史がしっかりしていることが必要です。たとえばこれまでの経歴や、どういったオーナーが所持していたのか、といったことが含まれます。

 また、オリジナル性がどれほど高いかも重要です。従って、新車当時から全く修復などされていないクルマかどうかも条件に入ってきます。

 ふたつ目は展示される環境です。ヴィラ・デステやペブルビーチなど、歴史があり風光明美で、かつ普段はクルマが入ることができない特別な環境。そのうえ、そこにクラシックカーを置くと“様になる”ような場所が望ましいでしょう。

 そして最後は審査員です。当然のことながら、クラシックカーのことを深く理解していて、かつ美的センスが必要となります。そのため、多くのコンクールにはクラシックカーの専門家のほかに、カーデザイナーが名を連ねることが多くあります。

 日本人では、オペルで活躍したカーデザイナーの児玉英雄氏はコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステの審査員を務めたほか、日産のデザイン部門の元トップとして知られる中村史郎氏は、ペブルビーチコンクール・デレガンスの名誉審査員を現在も務めています。

 これらのハードルの高い条件をクリアすることは至難の業です。それでもアジア、とくに日本において世界に誇れるコンクール・デレガンスを開催したいという想いで、3年前から「コンコルソ・デレガンツァ・京都」を催し始めたのが、アートアクアリウムなども手掛ける木村英智氏でした。

 木村氏は、実際に海外の多くのコンクール・デレガンスを見学したり、また自ら出品するなどで知識と知己を増やしていくことで、開催の準備を整えていきました。

 また、本業であるアートアクアリウムの仕事も大きくそこに影響しました。過去にアートアクアリウムを開催した京都の「二条城」を、コンクール・デレガンスの場所として提供してもらえたのです。

 日本らしく、しかも世界遺産というグローバルに認められた場所での開催ですから、これだけでも世界に誇ることができる要素といえるでしょう。これで条件のひとつはクリアできました。

 次に、審査員は前述の2大コンクールの審査委員長や審査員を招聘しました。彼のこれまでの活動の功績が認められ、FIVA(国際クラシックカー連盟)の公認イベントにも認定されたうえ、その会長も参加しています。さらに、中村史郎氏も審査員として出席し、条件のふたつ目もクリアしました。

 そして肝心のクルマは、出品車両に特徴を出すことを目的に毎年テーマが設けられています。2019年は、イタリアの名門カロッツェリア(車体を製造する職人・業者)である「ザガート」の100周年がメインテーマとされました。

 もちろんイベントは本家ザガートの全面バックアップのもとで行われ、ザガートのCEOであるアンドレア・ザガート氏や、同社バイスプレジデントデザイナーの原田則彦氏も駆け付けました。さらに、このイベントを皮切りに全世界で100周年イベントを行っていくと発表されたことから、本国でもこのコンクール・デレガンスの重要性を認識しているといえます。

 そして、近年ヒストリックカー部門の「ポロストリコ」に力を入れているランボルギーニのモデルも多数登場しました。

 1960年代のGTカーである「イスレロ」や「エスパーダ」、そしてミッドシップレイアウトが採用された「ミウラ」をはじめ、スーパーカーブームの中心となった「カウンタック」や同社のSUVの始祖となる「LM002」も展示され、会場はランボルギーニ博物館の様相を呈していました。

■最優秀賞は「ランボルギーニ」と「ザガート」のダブルネーム

 クルマの美を競い合う催しであることから、最優秀賞である「ベストオブショー」が選ばれます。今年はランボルギーニ「350GTザガート」が受賞しました。

 アメリカからエントリーしたこのクルマは、「350GT」をベースにザガートの手で2台のみ作られたうちの1台で、いわばランボルギーニとザガートのコラボレーション作品といいでしょう。

 このクルマはアメリカで車検を取得し、実際に走ることができる状態を保っています。今回もイベント終了後に2泊3日の日程で行われた四国までのツアーに参加。トラブルもなくワインディングロードを駆け巡っていました。

 じつはもう1台、ザガート100周年を記念した新たなコラボモデルもお披露目されました。ランボルギーニ「5-95ザガート100thアニバーサリー」です。

 以前ザガートは、「ガヤルド」の関連モデルをベースに同社の95周年記念モデルを作成しました。

 この新たなコラボモデルはそれを100周年モデルとしてリデザインしたもので、トランスミッションも標準のe-ギア(ランボルギーニの自動MTシステム)からMTに換装され、ランボルギーニのテストドライバーであるバレンティーノ・バルボーニ氏自身がチューニングを行った、いわば本当のスペシャルモデルです。

 バルボーニ氏本人もサプライズで登場し、イベントを大いに盛り上げていました。

 ※ ※ ※

 毎年進化を遂げている本イベント。今年は、海外から出たいという自発的なエントリーがあったということから、自動車愛好家からの注目も年々高まっているといえます。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

勝田貴元が限界ギリギリの力走。トヨタ勢が猛追も、SS12は安全確保を理由にキャンセル/ラリージャパン デイ3午前
勝田貴元が限界ギリギリの力走。トヨタ勢が猛追も、SS12は安全確保を理由にキャンセル/ラリージャパン デイ3午前
AUTOSPORT web
給油所で「レギュラー“なみなみ”で!」って言ったら店員にバカにされました。私が悪いんですか?怒りの投稿に回答殺到!?「なにそれ」「普通は通じない」の声も…悪いのは結局誰なのか
給油所で「レギュラー“なみなみ”で!」って言ったら店員にバカにされました。私が悪いんですか?怒りの投稿に回答殺到!?「なにそれ」「普通は通じない」の声も…悪いのは結局誰なのか
くるまのニュース
市川團十郎がF1日本GPの公式アンバサダーに! F1文化に“新たな風”を吹き込むことを目指す
市川團十郎がF1日本GPの公式アンバサダーに! F1文化に“新たな風”を吹き込むことを目指す
motorsport.com 日本版
[かわいい]見た目して超[ホット]!! スズキ[アルトラパンSS]今買うのアリ説
[かわいい]見た目して超[ホット]!! スズキ[アルトラパンSS]今買うのアリ説
ベストカーWeb
追突事故を避ける「2秒ルール」ご存知ですか? あおり運転にならず割り込まれもしない、ほどよい安全な車間距離の保ち方をお教えします
追突事故を避ける「2秒ルール」ご存知ですか? あおり運転にならず割り込まれもしない、ほどよい安全な車間距離の保ち方をお教えします
Auto Messe Web
「足が長くて」スタイリッシュな新型SUVが2024年内に正式発表か!?DSオートモービルズの電動化戦略が新たなステージ
「足が長くて」スタイリッシュな新型SUVが2024年内に正式発表か!?DSオートモービルズの電動化戦略が新たなステージ
Webモーターマガジン
都内の“旧式小型バス大活躍”路線ついに廃止へ 「リエッセ」と運命を共に 西武バス
都内の“旧式小型バス大活躍”路線ついに廃止へ 「リエッセ」と運命を共に 西武バス
乗りものニュース
ディーゼルトラックをEVへ改造、国内初の量産予定車が完成 ヤマトモビリティが発表
ディーゼルトラックをEVへ改造、国内初の量産予定車が完成 ヤマトモビリティが発表
レスポンス
FIAがフロア摩耗に関する取り締まりを強化。フェラーリ、メルセデス等に加え、抜け穴を指摘したレッドブルも修正
FIAがフロア摩耗に関する取り締まりを強化。フェラーリ、メルセデス等に加え、抜け穴を指摘したレッドブルも修正
AUTOSPORT web
頭文字Dの次なる遠征先は豊田市駅前? ラリージャパン2024はイベント盛りだくさん/WRC写真日記
頭文字Dの次なる遠征先は豊田市駅前? ラリージャパン2024はイベント盛りだくさん/WRC写真日記
AUTOSPORT web
優れたラリードライバーならF1でもきっと戦える! 8度のWRC王者オジェは確信「ファンも見たいと思っているはず」
優れたラリードライバーならF1でもきっと戦える! 8度のWRC王者オジェは確信「ファンも見たいと思っているはず」
motorsport.com 日本版
新車150万円台で「5速MT」あり! イチバン安い「普通乗用車」どんなモデル? 「国産ダントツ安価」でも装備は必要十分! めちゃ“リーズナブル”な「トヨタ車」とは
新車150万円台で「5速MT」あり! イチバン安い「普通乗用車」どんなモデル? 「国産ダントツ安価」でも装備は必要十分! めちゃ“リーズナブル”な「トヨタ車」とは
くるまのニュース
“熊本~東京1300km” 電気自動車でも快適に移動できる「裏ワザ」とは? 新型「タイカン クロスツーリスモ」で体感! ポルシェらしい走りと遊び心に触れる旅
“熊本~東京1300km” 電気自動車でも快適に移動できる「裏ワザ」とは? 新型「タイカン クロスツーリスモ」で体感! ポルシェらしい走りと遊び心に触れる旅
VAGUE
[15秒でニュース]メルセデスAMG、初の電動SUVを市販化へ
[15秒でニュース]メルセデスAMG、初の電動SUVを市販化へ
レスポンス
軽自動車の6MT!! 2020年登場ホンダ[N-ONE RS]の中古ってどうなん
軽自動車の6MT!! 2020年登場ホンダ[N-ONE RS]の中古ってどうなん
ベストカーWeb
車両火災対策で「消火器」を積むなら「種類」に注意! 場合によっては人体に有害なものも存在する!!
車両火災対策で「消火器」を積むなら「種類」に注意! 場合によっては人体に有害なものも存在する!!
WEB CARTOP
エンツォフェラーリへ通じる「DNA」 マセラティMC20 長期テスト(2) 車重を測ったら1710kg
エンツォフェラーリへ通じる「DNA」 マセラティMC20 長期テスト(2) 車重を測ったら1710kg
AUTOCAR JAPAN
アプリリアの新型スポーツバイク『RS 457』、日本上陸 85万8000円
アプリリアの新型スポーツバイク『RS 457』、日本上陸 85万8000円
レスポンス

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村