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中国発のゲームチェンジャー オラ・ファンキーキャットへ試乗 航続310km 競争力は高い

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中国発のゲームチェンジャー オラ・ファンキーキャットへ試乗 航続310km 競争力は高い

写真で見る印象よりひと回り大きい

いすゞやスバル、三菱の輸入代理店をしていた英国のインターナショナル・モータース社は、新しい取引先を開拓した。中国の振興自動車メーカー、オラがリリースした航続距離310kmのファンキーキャットを輸入し始めたのだ。

【画像】中国発のゲームチェンジャー オラ・ファンキーキャット 競合のBEVと写真で比較 全121枚

既に初期導入の何台かが上陸済み。数週間後には、最初の顧客へ納車される予定だという。バッテリーEV(BEV)へのシフトの中で、ポールスターやDS、ジェネシスのように、勢いを伸ばすブランドもある。オラも、その一角になるだろうか。

ファンキーキャットは、写真で見る印象よりひと回り大きい。ボディは丸く可愛らしいが、全長4235mm、全幅1825mm、全高1603mmというサイズで、ホンダeやフィアット500eではなく、フォルクスワーゲンID.3やヒョンデ・コナ・エレクトリックの方に近い。

インターナショナル・モータース社のスタッフも、本物のクルマが届くまでリアシート側に広々とした空間が備わることを、顧客へ伝えにくかったと説明する。また、MGモーターのMG 4より価格帯が上であることも強調する。僅かだが、高級側にある。

一方で輸入代理店もメーカーも、まだ英国で大きなシェアを獲得しようとまでは考えていない。2023年末までの販売目標は約5000台で、毎月の堅調な販売と、プレミアムなイメージ形成を狙っている。

感心するほど落ち着いた乗り心地

現在英国で購入できるファンキーキャットは、かなり装備が充実したファーストエディションのみ。2023年には、シャシーとスタイリングに手が入った、スポーティなファンキーキャット GTも導入予定だ。

61kWhの駆動用バッテリーで、航続距離が420kmまで伸びるロングレンジ仕様も追加される。スポーティでロングレンジな、ネクストキャットも控えている。

オラの担当者は、大型車に採用されるような技術と上級感を、ファンキーキャットに与えたと主張する。動的能力にも、それは現れているという。

確かに、適度なサイズで混雑した市街地を抜けやすいのと同時に、クラス上のモデルのように荒れた路面でも安定性は失われにくい。乗り心地は、感心するほど落ち着いている。

高速道路を走らせれば、リラックスしたまま車線を維持できる。大型トラックの横を通り過ぎても、風であおられるようなことはない。最高出力は171psと驚く数字ではないものの、追い越し車線や合流車線でも、不足ない加速力を発揮してくれる。

郊外の道を飛ばし気味に運転しても、上級な印象は続く。舗装の剥がれた穴をうまく丸め込み、隆起部分を超えても滑らかに揺れを吸収してくれる。

高速域では風切り音が少し目立ち、ロードノイズも車内へ響くが、疲労を感じるほどうるさくはない。キルト加工されたシートは1950年代のアメ車的なデザインだが、クッションが肉厚で座り心地は良い。自分にピッタリのポジションも見つけやすい。

ジェントルに運転すればとても快適

ただし、ステアリングホイールの感触は今ひとつ。切りはじめから手応えの変化が殆どなく、手のひらへ伝わる情報量も薄い。充分な速さを発揮するとはいえ、手頃な価格のドライバーズBEVとは呼べないだろう。

ステアリングホイールの直径がやや大きく、都市部の交差点や急なカーブでは若干忙しい。トラクション・コントロールは、濡れた路面でアクセルペダルを踏み込むと、空転するタイヤをなだめきれない。

ファンキーキャット GTがどんなセッティングを得るのかは不明だが、現在の小型BEVのカテゴリーで存在感を示すには、ステアリングラックとダンパーの改良は必要だろう。全体的にもう少しタイトにしたいところだ。

ファンキーな気分は抑えて、ジェントルにファンキーキャットを運転すれば、心地良く交通の流れに合わせて移動できる。全体的に、とても快適なクルマではある。

車内は広々としていて風通しが良く、装備も充実している。メーターに表示される航続距離は正確で、ルートや充電の計画も立てやすい。

既に英国では、3万ポンド(約498万円)前後の価格帯で、より長い航続距離を持つBEVも売られている。ファンキーキャットより安価なMGモーターのMG4は、452kmがうたわれている。

だとしても、ファーストエディションの価格価値は高い。急速充電は100kWまで対応し、競合には及ばないにしても、不満ない能力を叶えている。

中国からやってきたゲームチェンジャー

ファンキーキャットのドライビング体験を濁していたのが、可能な限り多くの技術を手頃な価格で実現しようという、オラの野心的な考えによるもの。その1つが、小さなタッチモニターでの操作が前提のナビゲーションだ。

2023年前半には、アップデートでスマートフォンとのミラーリング機能に対応するというが、それまでは小さな画面で耐える必要がある。インフォテインメント・システムのメニュー自体も操作が煩雑に思えた。

音声アシスタントも搭載するが、数世代前のシステムのように聞き取りが悪い。窓の開閉と、自宅(発表会の会場)までのナビの指定は、丁寧に話すことで理解してくれた。しかし、ラジオの選曲やクルマの機能の変更は、最後までわかってもらえなかった。

制限速度を超えると警告され、ドライバーがあくびをすると休憩が促されるのだが、その音声も聞き取りにくい。設定を変えられるのかもしれないが。もっとも、ソフトウエアは無線アップデートに対応しており、近いうちに改善されるだろう。

ファンキーキャットが英国へ上陸すると聞いて、筆者は期待して待っていた。クリクリとしたヘッドライトを持つスタイリングは個性的だし、仕様と価格を比較すれば、競争力は高いといえる。BEVハッチバックの間口を広げてくれるはず。

MG4ほどではないが、中国からやってきたゲームチェンジャーの1台になり得る。路面が乾燥した条件で、改めて試乗してみたい。追って登場するロングレンジ仕様も楽しみだ。

オラ・ファンキーキャット・ファーストエディション(英国仕様)のスペック

英国価格:3万1995ポンド(約531万円)
全長:4235mm
全幅:1825mm
全高:1603mm
最高速度:159km/h
0-100km/h加速:8.3秒
航続距離:310km
電費:6.4km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1540kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
バッテリー:48.0kWh
急速充電能力:100kW
最高出力:171ps
最大トルク:25.3kg-m
ギアボックス:−

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