現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > パガーニ・ウアイラ BCロードスターへ試乗 802psのAMG V12 実は従順なスーパーカー 後編

ここから本文です

パガーニ・ウアイラ BCロードスターへ試乗 802psのAMG V12 実は従順なスーパーカー 後編

掲載
パガーニ・ウアイラ BCロードスターへ試乗 802psのAMG V12 実は従順なスーパーカー 後編

グループCカーで田園地帯を駆け抜ける気分

パガーニ・ウアイラ BCロードスターのV型12気筒エンジンを目覚めさせる。不機嫌そうにひと吠えし、ゴロゴロとノイズを立てる。BCロードスターの場合、リアディフューザー部分に排気口が追加してあり、そこへまず排気ガスが導かれる。

【画像】実は繊細で従順 パガーニ・ウアイラ BCロードスター 競合するスーパーカーと比較 全110枚

基本的にはストレートパイプ状態。アイドリング時は控えめだが、ドライブへレバーを倒すと一気にボリュームが増す。カーボンセラミック・ディスクを固定するブレーキペダルを緩めると、周囲を支配するほどの存在感だと確信する。

速度を高めると、道幅いっぱいのワイドなマシンは、ドライバーを中心に小さく感じられてくる。だがしばらくは、視線の位置にあるフロントフェンダーのルーバーや、頭より上にあるサイドミラーへ意識が奪われる。

1990年代のグループCカーで、英国の田園地帯を駆け抜けているような気分になる。タダゴトではない。

視覚的にインテリアは豪華絢爛だが、機械的な扱いにくさはない。クルマの少ない郊外の道を運転するのが楽しい。少し速めのペース程度では、理解しやすく明瞭。スタイル優先のスポーツカーとは別次元の、清々しさがある。

金属から削り出され、機構が丸出しになったシフト・リンケージは芸術品のよう。それでいて、メーターパネルは前衛的でハイテク感が漂う。パガーニだけのミックスだ。

タッチモニターやスイッチ類は、先代のパガーニ・ゾンダからのキャリーオーバー。少々古びても見える。

操舵性や乗り心地は秀逸 主役はV12エンジン

一旦クルマを停めて、レザー・ストラップを緩め、大きなクラムシェル・リッドを開く。手動で4段階に調整できるダンパーが組まれた、ダブルウイッシュボーン・サスペンションを確かめる。

今日の設定はレース向きのようだが、彼らの技術ならではといえる緻密な姿勢制御を実現しており、ソフトさも残っている。ミドシップ・スーパーカーの多くは、低めのスプリングレートで実現させている。

鮮明で生々しい感触が、ステアリングホイールへ伝わる。1250kgのウアイラは、コミュニケーションが取りやすく流暢に操縦できる。舌を巻くほど。

電動油圧式パワーステアリングが組まれ、軽く鋭く反応する。手のひらへ僅かにフィードバックが伝わる一方で、ワダチに進路が左右されることはない。繊細だが過敏ではない。日常的な条件でも、運転しやすいかもしれない。

ステアリングフィールだけでなく、乗り心地も秀逸。1日中、ウアイラに乗っていたいと思わせる。1600kmのグランドツアーも、さほど苦ではないだろう。これでGT3マシンと同等の速さでサーキットを走れるのだから、理解に苦しむ。

やはりBCロードスターの主役は、0.3mmという極薄のアルミニウム製カバーを備えたV型12気筒エンジン。今回の試乗は、このユニットが第3世代のC10へも採用されるという事実がきっかけだった。

メルセデスAMG製の6.0Lツインターボは、たった2000rpmから106.8kg-mという怒涛の最大トルクを発揮する。ウアイラの軽いシャシーには、いささか過剰といっていい。

極めてドラマチックなサウンド

乗り慣れていくほど、アクセルペダルを自由に扱えるようになる。金属製のペダルがカチカチと音を立てる。何という中毒性のある快感なのだろう。

試乗日は快晴で、路面はほぼドライ。BCロードスターは、セミスリックのようなタイヤを履いている。すべての音響を解き放つ、絶好の条件が揃っている。

インテークが、シューッと鳴らしながら空気を吸う。ターボからは甲高い回転音が放たれる。タイヤが瞬間的に身悶えるほど、圧倒的なパワーが生成される。

レース・モードを選択すると、アクセルレスポンスは一層シャープになり、エグゾーストのフラップが開く。トラクション・コントロールの介入が抑えられ、右足の力加減でウアイラを操れることが見えてくる。

先代のゾンダが鑑賞させてくれた、F1マシンのように鳥肌の立つサウンドまでは奏でない。それでも、6500rpmくらいまでの響きは極めてドラマチックだ。

AMGらしい、ヘビメタのような唸りとグズりが中回転域で増強される。パガーニの場合はより滑らかで、強制的に吸気されるインダクションの悲鳴もオーバーラップする。1度体験すれば、2度と忘れられない音響といっていい。

気を失う勢いのトップエンドの刺激は欠けている。フェラーリが296 GTBのV6ツインターボ・エンジンで果たした成果を考えると、AMGとパガーニも更なる興奮を引き出せるのではないかと思う。第3世代のC10で。

公道でも見事に鮮明で従順な性格

Xトラック社製の7速シーケンシャル・マニュアルは、高精度でスムーズにギアを変える。だが、荒削り感もなくはない。重さはかさむものの、デュアルクラッチATを採用する時が来たように感じた。

第3世代のパガーニは、ロードスターなら若干残っているものの、クーペはすでに完売だという。恐らく、実際に市街地で目にする機会はほぼないだろう。インターネット上なら、走る様子を楽しめるはずだが。

少なくとも、かつてないスタイリングをまとい、目が奪われるディティールで仕立てられる。落ち着きがあり機敏に身をこなし、ミドシップとは思えない穏やかなマナーを備えるに違いない。

802psという最高出力を秘めていながら、ウアイラ BCロードスターは荒れた英国の公道で、見事に鮮明で従順な性格を披露してくれた。多少湿っていても、それは変わらないと思う。

チタンとカーボンが多用された、V型12気筒エンジンのハイパワー・スーパーカーというだけではない。繊細で親しみを持てる、望外に優れたドライバーズカーでもある。

新しいパガーニは、このウアイラ以上に洗練されていて、より度肝を抜かされるクルマになるはず。それを実際に体験できるのは、幸運で裕福な極少数のオーナーに限られるのだけれど。

パガーニ・ウアイラ BCロードスター(欧州仕様)のスペック

英国価格:450万ポンド(約7億4250万円)
全長:4605mm(標準ウアイラ)
全幅:2036mm(標準ウアイラ)
全高:1169mm(標準ウアイラ)
最高速度:370km/h
0-100km/h加速:2.9秒(予想)
燃費:−
CO2排出量:−
乾燥重量:1250kg
パワートレイン:V型12気筒5980ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:802ps/5900rpm
最大トルク:106.8kg-m/2000-5600rpm
ギアボックス:7速シーケンシャル・マニュアル

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

56年前の「ランボルギーニ」がオークションに登場 名スーパーカー「カウンタック」以前の“4人乗りランボ”とは
56年前の「ランボルギーニ」がオークションに登場 名スーパーカー「カウンタック」以前の“4人乗りランボ”とは
VAGUE
マルティン、MotoGP第3戦アメリカズGPも欠場へ。第4戦カタールでの復帰も不透明「思うように回復できず、本当に苦労している」
マルティン、MotoGP第3戦アメリカズGPも欠場へ。第4戦カタールでの復帰も不透明「思うように回復できず、本当に苦労している」
motorsport.com 日本版
レクサス [LS]2013年モデルが想像以上に良すぎる件!! マイナーチェンジってウソだろ!?
レクサス [LS]2013年モデルが想像以上に良すぎる件!! マイナーチェンジってウソだろ!?
ベストカーWeb
新車購入で後悔したくないなら徹底チェック! 購入前にディーラーの実車で穴が空くほどガン見して確認すべき項目とは
新車購入で後悔したくないなら徹底チェック! 購入前にディーラーの実車で穴が空くほどガン見して確認すべき項目とは
WEB CARTOP
トヨタ新型「クラウンエステート」発表! “ワゴン×SUV”を「よりメッキきらめくスタイル」に! スタイリッシュなモデリスタパーツを設定、KINTOでも取り扱い開始!
トヨタ新型「クラウンエステート」発表! “ワゴン×SUV”を「よりメッキきらめくスタイル」に! スタイリッシュなモデリスタパーツを設定、KINTOでも取り扱い開始!
くるまのニュース
レーシングブルズとエクソンモービルが燃料パートナー契約を締結。レッドブルファミリー全体との提携が強化
レーシングブルズとエクソンモービルが燃料パートナー契約を締結。レッドブルファミリー全体との提携が強化
AUTOSPORT web
動かす前に何をすべき!? 冬の間に乗らなかったバイクのメンテナンス
動かす前に何をすべき!? 冬の間に乗らなかったバイクのメンテナンス
バイクのニュース
ワゴン×SUV!? トヨタ新型「クラウンエステート」18年ぶりに復活! 完成された16代目クラウン独自の「乗り味」とは【試乗記】
ワゴン×SUV!? トヨタ新型「クラウンエステート」18年ぶりに復活! 完成された16代目クラウン独自の「乗り味」とは【試乗記】
くるまのニュース
高速道路に「人が運転していない」トラックが出現…なぜ? 一般車の自動運転と何が違うのか
高速道路に「人が運転していない」トラックが出現…なぜ? 一般車の自動運転と何が違うのか
乗りものニュース
トヨタ新型「クラウンエステート」正式発表! ワゴン×SUVとして18年ぶり復活の理由は? ブランド70周年で4モデル揃う!エステートが担う役割とは 635万円から設定
トヨタ新型「クラウンエステート」正式発表! ワゴン×SUVとして18年ぶり復活の理由は? ブランド70周年で4モデル揃う!エステートが担う役割とは 635万円から設定
くるまのニュース
スバル新「クロストレック」発表! 鮮烈な「オレンジ」ボディ採用した“サンブレイズ仕様”に大注目! 同時に「インプレッサ」と「レヴォーグ」特別仕様車も公開!
スバル新「クロストレック」発表! 鮮烈な「オレンジ」ボディ採用した“サンブレイズ仕様”に大注目! 同時に「インプレッサ」と「レヴォーグ」特別仕様車も公開!
くるまのニュース
「アントネッリ圧倒は必須とは思っていない」先輩ジョージ・ラッセル、”速いヤツは最初から速い”理論を提唱
「アントネッリ圧倒は必須とは思っていない」先輩ジョージ・ラッセル、”速いヤツは最初から速い”理論を提唱
motorsport.com 日本版
ホンダ『ZR-V』のゴツゴツ感を低減、スタビリティも向上させるテインの車高調「フレックスZ」発売
ホンダ『ZR-V』のゴツゴツ感を低減、スタビリティも向上させるテインの車高調「フレックスZ」発売
レスポンス
【タイ】全長4.6m! 三菱「“新”SUVミニバン」発表! 黒すぎ「ダイナミック顔」×画期的MIVECハイブリッド採用! タフ仕様もある7人乗り「エクスパンダーPLAY」特別仕様車登場
【タイ】全長4.6m! 三菱「“新”SUVミニバン」発表! 黒すぎ「ダイナミック顔」×画期的MIVECハイブリッド採用! タフ仕様もある7人乗り「エクスパンダーPLAY」特別仕様車登場
くるまのニュース
[70スープラ]がカッコよすぎてすぐ惚れちまうぜ! バブルを彩った[デートカー]たち
[70スープラ]がカッコよすぎてすぐ惚れちまうぜ! バブルを彩った[デートカー]たち
ベストカーWeb
テスラが嫌いならキャデラックを買えばいいじゃない! 初の電動SUV「リリック」が上陸【新車ニュース】
テスラが嫌いならキャデラックを買えばいいじゃない! 初の電動SUV「リリック」が上陸【新車ニュース】
くるくら
すべてが異次元な雰囲気なのに居心地がいい。 ル・ボラン編集部が選ぶ!「EVアワード」テスラ・モデル3
すべてが異次元な雰囲気なのに居心地がいい。 ル・ボラン編集部が選ぶ!「EVアワード」テスラ・モデル3
LE VOLANT CARSMEET WEB
スーパーカーのようなデザインのボート「Raptor」、日本初上陸…ジャパンインターナショナルボートショー2025
スーパーカーのようなデザインのボート「Raptor」、日本初上陸…ジャパンインターナショナルボートショー2025
レスポンス

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2550 . 0万円 2800 . 0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

- 万円

中古車を検索
ベントレー ターボの買取価格・査定相場を調べる

全国のベントレー ターボ中古車一覧 (1件)

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2550 . 0万円 2800 . 0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

- 万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村