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3年ぶりに開催されたスルッとKANSAIバスまつりを見た~来場者の熱気もムンムン~

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3年ぶりに開催されたスルッとKANSAIバスまつりを見た~来場者の熱気もムンムン~

2022年6月22日に奈良市・平城宮跡歴史公園”朱雀門ひろば”で開催されたスルッとKANSAIバスまつりは、”バスの日”を記念して2001年から開催されている関西圏最大のバスまつりで、毎年9月に開催されていました。会場は加盟各社局が本拠を置く府県で持ち回りです。
今回で22回目を数えますが、2017年と2018年は台風により中止、開催月を6月に移動した2019年は開催できたものの、2020年、2021年は新型コロナウイルスのためまた開催中止と御難続き、ついていません。
楽しみにしていた人たちの落胆は大きかったですが、関係者の心痛と苦労はいかばかりか。でも3年ぶりの今年は、焼け焦げ溶けるほどの好天に恵まれ、1万2800人の来場者があったとのこと。良かった。


バスファンでなくても乗ってみたい!? 進化したバスツアーに参加!【その5】~京都・奈良にまたがる廃線跡を巡る旅(京阪京都交通側)~

スルッとKANSAIとは?

「スルッとKANSAI」は、今では関西を中心に岡山、静岡を含めた61の鉄道・バス事業者で構成されている協議会。元々は1996年に始まった加盟各社局で使える磁気式共通ストアードフェアシステムの名称でした。2004年にICカードPiTaPaが登場して以降はそちらに徐々に移行し、磁気カードの共通利用は2018年に終了しています。関東圏だとパスネットとSuica/PASMOですね。
協議会では、企画乗車券の発売、交通需要喚起のための共同PRやイベントなども実施しているそうです。

【画像137枚」3年ぶりに開催されたスルッとKANSAIバスまつりのフォトギャラリーはコチラから

入り待ち出待ちがアツい

進化したバスファンツアーシリーズ(5)で紹介したように、当日朝の回送ツアーに参加したため、開場4時間前の6時にはもう現地にいたのですが、その時点で既にバスファンが多く集まっていました。
目的は続々搬入されてくる各社局のバスを見て撮ること。奈良県には入ってこないバスがほとんどなので是非撮りたいとカメラを構えていました。会場入り口にも列ができていましたが、そちらは廃品や記念グッズを早く多く買わんがための列。バス関係の廃品を集めている好事家も多いので、ひいきにしている事業者の廃品が目的で来る人も多数います。後日バスファンに聞いたところでは、二日前から並んでいた人もいたそうです。
今回は感染防止対策のため事前申し込み制にされており、入場タイミングは10時から1時間刻みで設定されていましたので、そんなに早く並んでいても待ち時間がもったいないだけだと思うのですが。
でもそうではないんですね。目当てのお宝(廃品やグッズ)はたいていが数量限定、中には一品モノも多いので、一人でも人より前に並んでいなければライバルに買われてしまうのです。

マニアと家族連れが入り乱れアツい

10時の開場の瞬間を場内から見ていましたが、目当ての品を目指しての猛ダッシュには圧倒されました。まるで取り付け騒ぎか暴動のよう。
開場と同時に入った人たちは、目から火花を散らしながら廃品や限定グッズに突進するバスファンの熱気に巻き込まれてか、家族連れでもかなりアツくなっていたようでした。
後の方の時間帯に入場した人たちは、いろいろな意味でリラックスムードでバスまつりを楽しんでいました。
今回は密を避けるために一時間ごとに区切った事前予約制だったので、申し込み開始タイミングでネットにアクセスできなかった人は遅い時間帯にしか入場できず悔しい思いをしたことでしょう。

見て、乗れて、触れて、訊けて、楽しみ多いバスまつり

今回は会場レイアウトの都合でバスの展示と各社の販売コーナーは分かれていたこともあり、見たい、触りたい人と買いたい人は別の場所に集まっていたのでそれぞれの世界じっくり楽しめたのでないかと思います。
撮りたい人は? ご覧の通り大盛況でバスの地肌が見えないため、早朝の搬入時、開場前の人がいないとき、閉場後の退出の時を狙って撮っていました。
場所によっては朱雀門の一部を背景にバスの撮影ができました(でもこの時私は、取材のためにバスの近くにいたためバスファンの邪魔になったことがあったようです。ごめんなさい)。

各社局こだわりのバスを展示

復刻塗装車、特別なラッピング車、希少車など毎回こだわりのある車体が展示されているので、それらを一度に見られるのもバスまつりの楽しみです。中でもこのようなトピックがありました。
 西日本JRバスのエアロキングと大阪空港交通最後の西工ボディ車はこの日を最後に引退。大阪空港交通は7月1日付けで阪急観光バスと合併して社名が変わったため、同社名での最後のバスまつり参加になりました。(京阪京都交通がこの車体を使ってバスファンツアー「空港リムジンバスを楽しみ/京都交通の終点を巡る旅」を6月22日に開催したのですが残念ながら満席で参加できず)
 奈良交通のボンネットバスと神戸市交通局のボンネットバス「こべっこII世号が並びました。奈良交通の方はオリジナルですが、神戸市交通局の方はトラックをベースに作られたバスです。ボディは京成自動車工業が平成5年(1993年)に製作したもの。型式が“U-FTR32FB改”なので、トラック好きの方なら元のシャシーが何かすぐに特定できるでしょう。復刻車とは言え、職人の手作業の技、こだわりの作り、もはや復刻車ではなく、日本のカロッツェリアがワンオフで製作したバスと見た方がいいと思います。一見の価値があるのでチャンスがあればぜひ。トラックシャシーのため床面が高く、縦長のとっぽい形をしていますが、それがより微笑ましさを増しいいムードを醸しています。





 日本車、輸入車の連節バスが初めての競演。奈良交通のスカニアと神姫バスの日野ブルーリボンハイブリッド連節バスが並びました。認可を受けている通常路線から外れて走行する場合は先導車と誘導車に挟まれて走行しなければならないので、特に姫路往復は大変だったでしょう。




 運転士の仮眠室見学ができた阪急バス。これは貴重です。私もずっと気になっていました。案外広く、完全フラットでホイールベース中心の低い位置にあるので快適に寝られそうです。




スルッとKANSAIバスまつり特別幕を表示している事業者は多いですが、近鉄バスはもう一つ用意していました。それが復刻塗装車の”奈良・大安寺”幕。この幕を用意してきたのはさすがです。近鉄バスは、前身の奈良電バスが昭和27年(1952年)5月11日に京都駅―奈良・大安寺線を開通させています。




最盛期は29往復ありましたが、平成10年(1998年)3月に廃止(同時に奈良営業所も廃止)されました。幕再現のクオリティーも高かった。当時の写真と比べてみると再現性の高さがわかると思います。カラーLEDは高精細なので有利ですね。これを見ると、奈良交通も京都市交通局に倣ってカラーLED化して幕時代の幕をLEDで再現してもらいたいと思います。その方が利用者にもわかりやすいですから。




物販テントもアツい

来場記念におもちゃ感覚で廃品を買い求める家族連れや子供もいますが、これだけが目当ての来場者もかなりいます。





混乱防止のために、時間指定入場制を取ったり、一度に買えるアイテムは3つまでに制限したり、貴重なものは抽選式したりとできるだけ平和に多くの人に行き渡るように各社局工夫しています。また価値に気づいて入札制を始めた社局もありました。なかなかめざとい。人気あるテントは行列が絶えませんでした。

体験もいろいろ

シミュレーターや警察車両乗車体験コーナーもかなり人気でした。
特に白バイとパトカーは無邪気に楽しむ子供、逮捕する側に回ることを夢見て運転席に座る大人、交通違反で座らされた思い出にひたったり逮捕された人の気分を味わったりするために後席に乗り込む大人などそれぞれ思いで楽しんでいるようでした。子供の無邪気さは・・・「今のうちやで」と思いながら見ていました。それにしても白バイとパトカーの乗り放題触り放題ぶりは良かった。
私が最も気に入ったのは方向幕手動幕回し体験です。ミニ方向幕やミニミニ方向幕を製造販売している会社がこの日のために製作したほぼ実物大(幕のサイズは社局によって違う場合もあるので)の幕をくるくるするのは楽しい。しかもその幕はこの日にちなんだ特別表示だし各社局が順に出てくる。これ欲しい!と思いましたが残念ながら非売品でした。方向幕の製作過程を写真で紹介していたのも幕好きには嬉しかった。

買い物熱中症注意報発令なのに……

廃品や限定グッズに熱視線なのは私も同じでした。現金しか使えない会場では、少なめの現金しか持ち込まないことが買いすぎ防止のために最も有効な手段です。が、見たこともない物との出会いには抗えず、往復20分かけてコンビニATMへ歩く羽目に陥りました。
グッズについては品揃えを予想できるし、廃品関係は、方向幕を筆頭にさすがにもう出物はないだろうと予測しているのですが、「まさかまだこんなものが!?」というものに毎回どこかしらで出会ってしまうのが困りものです。
限定品はあるものの比較的穏やかな量販グッズに比べて数も限られている廃品関係は、先着順の列に並んだり、整理券行列に並んだり、入札に参加したり、欲しがるライバルに先んじて手を伸ばしたりと気力体力を消耗するので毎回ぐったりです。一瞬の一期一会を逃すまいと目からビームを出す様は、小倉百人一首競技かるた名人位決定戦のようでもありました。

シャトルバスの車種選択が粋

大和西大寺駅から会場までのシャトルバスも見逃せません。
4台しか残っていない三扉車のうち3台が充当されていたのはとても嬉しかった。駅前や朱雀門ひろば駐車場で熱心に撮影するファンも多く見ました。残り少ないキュービックLV前中四枚扉車も一台投入されていましたが、このようなタイプのバスはイベントの大量輸送時に威力を発揮する実力はもちろん、車体の希少性と歴史的価値に気づいた奈良交通の粋な計らいだと思います。

奈良交通ミニバスまつりも

スルッとKANSAIバスまつりの2週間後の6月25日(土)に奈良交通大阪営業所で、26日(日)に同京都営業所で”朝市miniバスまつり”が開催されたので京都営業所の方に行ってみました。
営業所としての特別な車両の展示、廃品やグッズ販売、洗車機体験、金魚すくい、自衛隊の展示、抽選会、好きな文言でゲレット(観光バスなどで「○○御一行様」や「○○と○○するツアー」と書いて出入口付近に掲示してある紙)をお土産に作ってくれる、など、規模はminiですが楽しみがぎゅっと詰まったいいイベントでした。廃品はバス停看板だけでしたが、その代わりに営業所管内の珍しい停留所のものが多くありました。思い出のある停留所もあったのでついまた……。
地産農産物コーナーにはじゃがいも、人参、玉ねぎ、お米がレジに向かって順に並んでいて、今夜はカレーね!と誘導されるうまい流れになっていました。レジ横までくるとそこに柿の葉寿司があったので、全部キャンセルして柿の葉寿司だけにしようとしたところ、「これは昼食用やんか。そろそろ腹減ってるやろ?(笑)」と、森営業所長。うまいな~。
イベントのシメはプレミアム観光バスの白虎と青龍のランデブー試乗会。ゆったりしたシートと高い位置からの城陽ビューを楽しみました。


事業者単位や営業所単位のバスまつりは全国各地で多く開催されていますので、興味がある方は近所の情報をマメにチェックしてみてはと思います。

(取材・写真・文:大田中秀一)

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