外国為替市場で円安が加速しているが、8月2日にニューヨーク市場では1ドル=130円台前半となり、およそ2カ月ぶりに1ドル130円代の前半となった。
だが、2002年2月以来、約20年4カ月ぶりの円安水準となっているのは変わらず、20年前の2002年当時にラインナップされていた国産車と今の価格はどう違うのか。
20年ぶりの円安水準の今、20年前の2002年と現在の新車は価格がどのくらい変わった!?
そこで、コンパクトカー、SUV、ミニバン、スポーツモデルの各カテゴリーについて当時と現在の価格差、装備の充実度などについて渡辺陽一郎氏が細かくチェックしてみた。
文/渡辺陽一郎、写真/HONDA、TOYOTA、AdobeStock(トップ画像=Destina@AdobeStock)
■大幅値上げなのにお買い得!? 20年前と今では新車価格がここまで違う
20年前の2002年と2022年の現在で、クルマの価格、装備、性能などを比べてみる(adragan@AdobeStock)
最近のニュースは、20年ぶりといわれる円安傾向だ。一時は136円台に入ることもあった。
そこで20年前の2002年と現在で、クルマの価格、装備、性能などを比べてみたい。20年を経過すると、日本車のラインナップもかなり違っているが、ここでは同じ車種同士で比べる。
商品の価格は、所得や物価と連動するが、20年前と今では大差がない。平均所得は、1990年代の後半をピークに下がっており、2002年と比べても2022年は若干低い。つまり、大差はないから2002年当時の価格は、今の感覚で捉えて差し支えない。
■コンパクトカーの新車価格の推移
2020年登場の現行型ホンダ フィット
2002年には、コンパクトカーでは初代フィットが高い人気を得ていた。
2001年に発売され、2002年には1カ月平均で2万台少々を登録している。2022年のN-BOXが1カ月平均で1万5745台だから、今のコロナ禍の違いを差し引いても、初代フィットは爆発的な売れゆきだった。2002年には国内販売の総合1位になっている。
初代フィットは1.3Lのノーマルエンジンのみを搭載して、グレードも3種類と少なかった。最上級に位置するWの価格は126万円で、当時の消費税は5%だったから、今と同じ税込みの総額表示なら132万3000円だ。
一方、現行フィットに1.3Lノーマルエンジンを搭載するホームの価格は176万7700円だ。2002年に売られていたフィットWに比べると、現行ホームの価格は44万4700円高い。比率に換算すると134%だ。
ほかの車種を含めて、20年前と現行型の同等グレード同士で価格を比べると、現行型は1.2~1.4倍になる。フィットもそこに収まる。
■消費税額と価格表示に注意!
注意したいのは消費増税だ。前述のとおり、20年前の税率は5%で今は10%だから、本体価格が150万円のコンパクトカーでも、消費税を含めた総額表示であれば7万5000円の上乗せになる。
しかも商品の価格が今の総額表示に変わったのは2014年だ。それ以前は本体価格の表示だったから、初代フィットWの価格も、本体価格の126万円で記憶されている。そうなると、今のクルマはますます高く感じられる。消費増税と総額表示への変更も、今のクルマの割高感に大きな影響を与えているわけだ。
そして、初代フィットWと現行型のホームを比べると、安全装備と運転支援機能が大幅に充実した。現行型には衝突被害軽減ブレーキや車間距離を自動制御できるクルーズコントロールなどを含んだホンダセンシング、横滑り防止装置、サイド&カーテンエアバッグ、LEDヘッドランプなどが加わる。
初代フィットもサイドエアバッグをオプション設定していたが、この価格は4万5000円(当時の5%の消費税を加えると4万7250円)であった。今の相場は、サイドエアバッグにカーテンエアバッグを加えて4万5000円から6万円だから、サイドエアバッグだけで4万5000円という価格は今よりも高かった。
このほか現行フィットのホームには、初代が装着していなかったアイドリングストップ、電子制御パーキングブレーキ、リアディスクブレーキ、スマートキーシステムなども標準装着されている。
これらを価格に換算すると、総額では約40万円に達する。さらに現行型は内装の質も向上させた。価格に換算しにくい走行安定性、乗り心地、衝突安全性、燃費性能の進化を除いても、現行フィットは初代に約50万円の価値を加えている。
価格は前述のとおり、初代フィットWが当時の5%の消費税を含んで132万3000円、現行1.3ホームは176万7700円だから、44万4700円の値上げだ。現行型に加わった価値は、少なくとも50万円だから、フィットは初代よりも現行型が割安と判断できる。
■ミニバンの新車価格の推移
2022年登場の現行型ホンダ ステップワゴン
ミニバンは2022年5月に新型が発売されたステップワゴンを取り上げたい。20年前には、2001年に登場した2代目が売られていた。2002年には1カ月平均で約6000台が登録され、今のフリードやアルファードと同等の台数になる。
2代目ステップワゴンは直列4気筒2Lエンジンを搭載して、4種類のグレードを用意した。お買い得グレードのIは、価格が209万8000円で、当時の5%の消費税を加えると220万2900円であった。
新型ステップワゴンに直列4気筒1.5Lターボを搭載するエアーの価格は299万8600円だから、2代目Iの消費税を加えた220万2900円に比べて79万5700円高い。比率に換算すると、新型エアーの価格は、2代目Iの1.4倍だ。
その代わり新型で加わった装備も多い。
新型には、衝突被害軽減ブレーキ、運転支援機能、横滑り防止装置、サイド&カーテンエアバッグ、LEDヘッドランプ、アイドリングストップ、パーキングセンサーシステム、フルオートエアコンの左右独立温度調節機能、スマートキー、右側スライドドアの電動機能、16インチアルミホイールなどが加わる。
新型はエンジンも1.5Lターボで、ATは無段変速式のCVTだから、2Lのノーマルエンジンに4速ATを組み合わせた2代目に比べると、動力性能と燃費が両方ともに向上した。
これらをすべて合計すると、新型に加わった価値は約70万円だ。2代目と比べた時の価格差になる79万5700円には達しないが、新型はシートの座り心地を含めた居住性、走行安定性、乗り心地などの基本的な機能も幅広く向上した。そこまで含めれば、新型ステップワゴンは20年前よりも買い得になっている。
■SUVの新車価格の推移
2020年登場の現行型トヨタ ハリアー
SUVではハリアーを挙げたい。20年前には初代ハリアーが売られ、直列4気筒2.4Lエンジンを搭載する2WDのGパッケージが262万5000円であった。当時の5%の消費税を加えると275万6250円だ。
現行ハリアーには、直列4気筒2Lエンジンを搭載するベーシックなSが299万円で用意されている。装備は現行ハリアーのなかではシンプルだが、衝突被害軽減ブレーキ、運転支援機能、横滑り防止装置、サイド&カーテンエアバッグ、ディスプレイオーディオなどは、すべて標準装着されている。
現行型の排気量が初代に比べて400cc減ったという違いはあるが、20年前の消費税を含めたGの総額表示が275万6250円、現行型のSが299万円なら、機能や装備の充実を考えると現行型が買い得だ。
■スポーツカーの新車価格の推移
2019年登場の現行型トヨタ スープラ
スポーツカーでは、2002年まで2代目スープラが売られていた。その後、スープラは扱われていなかったが、2019年に現行型が復活している。
2002年に生産を終えた2代目スープラRZは、直列6気筒3Lターボを搭載して、価格は448万円であった。当時の5%の消費税を加えると470万4000円だ。
現行スープラにも直列6気筒3LターボのRZがあり、価格は731万3000円だ。20年前のRZと総額表示で比べると、現行型は260万9000円高く、比率に換算すると1.6倍に達する。
現行スープラは、BMW Z4と基本部分が共通化され、生産工場は外部に委託されている。トヨタブランド車だが、輸入車に近い位置付けだから、機能や装備に対して価格が割高だ。この影響で販売も低迷しており、認知度の高いスポーツカーなのに、1カ月の登録台数は60~70台に留まる。
スープラのような例外もあるが、基本的には20年前と今のクルマを比べると、大半の車種が値上げに見合う内容を備える。価格を20年前の1.2~1.4倍に高めながら、安全装備、運転支援機能、環境性能を中心に価格差以上の価値を加えた。
* * *
ただし、冒頭で触れたとおり、平均所得は高まっていない。それなのに安全性などの向上に伴って、クルマは値上げされた。20年前は200万円前後でステップワゴンのようなミニバンを買えたが、今はフィットなどのコンパクトカーだ。その結果、小さなクルマに乗り替えるダウンサイジングが進んだというワケだ。
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みんなのコメント
だから各社新しい車種(ヤリスとか)を投入して穴埋めしてやるよね。
内装とか徹底的にケチった車が売れるのを見ると日本も貧乏になったと思う
支持したバカ共はここに並べや!