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実車で速ければゲームでも速い! プロドライバーも参戦中の「eモータースポーツ」のリアル度がスゴイ

掲載 更新 4
実車で速ければゲームでも速い! プロドライバーも参戦中の「eモータースポーツ」のリアル度がスゴイ

国体にも採り入れられ広がりを見せる「eスポーツ」

 最近は国体の文化プログラムにも採用され、日本でもスポーツ競技として認知されつつある「eスポーツ」。しかし、多くの人はゲームの大会みたいなものでしょ? 賞金も出るんだっけ? くらいの認識ではないだろうか。それは間違いではないのだが、今回紹介する「eモータースポーツ」の予備知識として、もう少しだけ補足させてもらいたい。

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【eスポーツって何?】◆ゲームの腕を競い合う「スポーツ競技」◆ゲームのタイトルやジャンルは多数◆高額な賞金が出ることもある◆日本ではプロライセンス制度もあり

【eスポーツはどこでやる?】◆大きな大会は基本的に屋内施設で行われる(オフライン)◆オンライン大会も頻繁に行われている◆2019年の茨城国体で開催された◆2020年の鹿児島国体でも開催予定(※)※新型コロナウィルスの影響で延期が伝えられています

【eスポーツを誰がやる?】◆大会にもよるがプロアマ問わず出場可能◆これも大会次第ながら小学生が出た例も◆eスポーツを職業とするプロゲーマーもいる◆オンライン大会はビギナーも多く参加する

「eモータースポーツ」はリアル世界と交差する

 では本題のeモータースポーツだ。いわゆるドライビングシミュレーターゲーム(簡単にいえばレーシングゲーム)を使ったeスポーツの1ジャンルなのだが、その楽しさはどんなところにあるのか? eスポーツ関連の大会主催・企画・運営などを行っているNGM株式会社の北浦さんに話を聞いた。

 「eモータースポーツは、ある意味、最もリアルに近いeスポーツといえます。たとえば現実世界で高いドライビングテクニックを持つ人は、ゲームも上手であることが多い。実際にプロドライバーの方にプレイしてもらうと、ゲーム初心者であってもすぐに上達して素晴らしい結果を出します。それくらい今のゲームの操作性はリアルに近いのです」と北浦さん。

 こんな例もある。「今年1~2月にニュージーランドで開催された現実世界のフォーミュラカーレースで、シリーズチャンピオンに輝いたイゴール・フラガという選手がいます。彼は日本育ちのブラジル人なんですが、ゲーム『グランツーリスモ』の公式世界大会(ネイションズカップ)の初代チャンピオンでもあるんです」。

 グランツーリスモといえば、「GTアカデミー」も有名だ。これはゲームのグランツーリスモをプレイし、成績優秀者にリアルのプロレースドライバーになるチャンスを与えるというもの。2008年から始まったコンテストで、すでに20人以上の「GTアカデミー卒業生」がプロのレーサーになっている。

 「いくらアクションや格闘ゲームが上手でも、現実世界でゲームと同じように動けるわけではありません。その点、こうしたeモータースポーツはリアルと重なる部分が多い。レーサーだけでなく、クルマ好きの人、運転が好きな人とも親和性が高いと思います」。

観戦者として楽しめるのも大きなポイント

 とはいえ、eモータースポーツはタイムや順位を競う「スポーツ競技」。コンテストに参加するようなプレイヤーたちは非常にハイレベルで、ちょっと練習したくらいで肩を並べられるものではない。この辺の感覚はリアルスポーツと同じだ。

 「だからといってeモータースポーツを楽しめないわけではありません。それこそリアルスポーツ同様、『観て楽しむ』こともできます。基本的にeスポーツの大会は観戦可能な施設で行われるので、そこに足を運べばトッププレイヤーたちの腕さばきを生で見られます。著名なプロドライバーがゲスト出演し、バーチャルとリアルのプロ同士のバトルが繰り広げられることもありますよ」と北浦さん。

 余談だが「腕さばき」は必ずしも比喩表現でない。eモータースポーツの選手たちはアーケードゲームのような「ハンドルコントローラー」を使って腕でクルマを操るのだ。商品にもよるが、自動車のハンドルとほぼ同じサイズ・素材・形状で作られており、実際の運転時のような手応えや振動まで再現される仕組み。さらにアクセル/ブレーキ/クラッチペダルも実装と、まさにリアル。

 ただ現在は新型コロナウィルスの影響で、こうした人が集まるイベントは軒並み自粛を余儀なくされている。よってすぐに観戦を体験するのは難しい状況だが、通常モードに戻ればさまざまなコンテストが行われるはず。それまでは待つしかない…と思いきや、ステイホームでも開催できる&観られるのがeモータースポーツ。

 「インターネット上で行う『オンライン大会』ですね。プレイヤーたちが会場に集まるのではなく、自宅などからリモート参戦する形式で、その模様をネットでライブ配信するんです。ネット環境さえあれば誰でも気軽に観られるので、eモータースポーツを知ってもらういいキッカケにもなると思います」。

 具体的な大会のタイトルや開催予定は「eモータースポーツ」「オンライン大会」などで検索すると出てくるだろう。ちなみに5月15日には、北浦さんが企画運営する「AUTOBACS JeGT GRAND PRIX ROUND EXTRA @ONLINE」というオンライン大会が行われたばかり。

 その模様はYoutubeでライブ配信されていたので、この手のゲームは知識も腕も初心者レベルな筆者も視聴してみた。ド素人の意見で恐縮だが、参考までに個人的な感想などを述べさせてもらいたい。

レース中継感覚で盛り上がれるオンライン大会

 まず大会で使用されていた「グランツーリスモSPORT」のゲーム画面がリアルすぎて衝撃を受けた(筆者のレースゲーム歴はセガサターン版のセガラリー止まり)。既存プレイヤーからすれば「何を今さら」だろうが、しばらくゲームから遠ざかっていたような人間にとっては実写ムービーと見まごうばかり。

 そんなソフトの話はさておき、大会の様子だ。プレイヤーたちは各自WEBカメラで撮影されており、時折WEB会議っぽいマルチ画面でプレイしている姿が映し出される仕組み。レースに「誰がプレイしているか」が分かるようになっていた。

 また本大会は元レーシングドライバーによる非常に流暢な実況付き。解説役もプロドライバーとプロゲーマーが担当し、どの選手が現在どんな走りをしているのか、どんな状況なのかを、過去の実績なども踏まえながら詳細にリポート。単にプレイ画面だけを配信しているわけでないので、ビギナーでも分かりやすかった。まるでリアルのモーターレース中継を観ている感じだ。

 しかし、これが自分の知らないアクションゲームであれば「?」な場面も多かったに違いない。その点、レースゲームは「速い者が勝ち」なのである意味シンプル。プレイ側からするとゲーム独特のテクニックもいろいろあると思われるが、視聴側としてはその辺は知らなくても楽しめたし、実況・解説からのフォローも入るので、観ているうちに「スリップストリームが有効なのか~」など、いろいろ分かってきた。

 正直、選手たちの技術レベルの高さはよく分からなかったものの(上手いことだけは分かった)、それでもレース自体は実況や解説を含めて見応えがあった。オンライン大会と聞いてゲーム動画配信みたいな感じを想像していたが、いやはやきちんとしたコンテストでした。もし自分も同タイトルのプレイ経験があったり、ひいきのプレイヤーが参加していればもっと盛り上がれたに違いない。

 ラストには結果発表&表彰。入賞者のインタビューも流れた。視聴者のライブコメント欄には「おめでとう!」など祝福メッセージが多数寄せられ(レース中のコメントも興味深かった)、プレイヤーと視聴者の不思議な一体感を味わいながらコンテストは幕を降ろしたのだった。

コロナ禍を乗り越えて全国的な普及を目指す

 ということで、個人的には大いなる可能性を感じたeモータースポーツ初視聴だったが、北浦さんによると、このジャンルは「まだまだ黎明期」なのだそうだ。

 「他のeスポーツでは、世界の競技人口が何千万人~1億人に迫るジャンルもある。一方でeモータースポーツは、おおよその競技人口すらデータが出ていない。まだそれくらい少ないんです。それに高額賞金が用意される大会もほとんど開催されていません」。

 そもそも日本ではeスポーツ自体、海外に比べて大きく遅れている。ゲームに対する偏見・使用するソフト/ハードの違い・賞金に関連する法規の解釈・スポンサーの少なさ…etc。本筋から外れるため詳細は割愛するが、クリアすべきこともいろいろあるのだという。

 「とにかく今は、まず知ってもらうのが大事。幸いなことに、eスポーツに興味を持ってくれる企業も増えてきました。町おこし・地方活性化に活用したいという声も出てきています。私たちはそこに大会やイベント運営のノウハウを惜しみなく提供し、日本全国にeスポーツ/eモータースポーツの魅力を広めていきたいと考えています」。

 そんなプロジェクトの目玉として、昨年9月にプレ大会を実施したのが「JeGT GRAND PRIX」。今年1月には東京オートサロン会場でエキシビション的な「JeGT GRAND PRIX ROUND EXTRA @AUTOSALON TECH」を成功させ、4月にはカー用品販売店大手のオートバックスセブンがメインスポンサーに付いた。ここから満を持して本格的なシリーズ戦がスタート…するはずだったのだが、新型コロナウィルスのため、会場での開催はひとまず延期になってしまったという。

 「残念ですがこればかりは仕方ない。しかしeモータースポーツはオンラインで開催可能という強みもありますし、前にもお伝えしたようにリアルと操作性が近いので、プロドライバーの方にも参戦を促しやすい。この業界に携わる者として、今できることも多いと思います。コロナ禍に負けず精力的に活動していきたいですね」。

 もっとeモータースポーツの認知が広まれば、より多くのスポンサーが見込める。自動車関連に止まらず、幅広い企業が興味を示せば賞金額だって上がってくるだろう。実車レースとeモータースポーツの両方で活躍するドライバーも増えるに違いない。そして裾野である競技人口も増えるだろう。

 リアルのレース車両に乗るのは無理でも、バーチャルのレース車両なら低コスト&低リスクで操れる。しかも腕を磨いていけば大会出場やトッププレイヤーとのバトル、賞金獲得の可能性だってあるのだ。何事も夢や目標があった方が楽しい。ゲーマーやクルマ好きにとって、eモータースポーツはそうした存在になりつつある。

 最新情報。8月2日(日)にエキシビション大会の開催が決定。詳細に関しては最終調整中との事なので、詳しくはホームページで確認して欲しい。

(C)2017 Sony Interactive Entertainment Inc. Developed by Polyphony Digital Inc.“Gran Turismo” logos are registered trademarks or trademarks of Sony Interactive Entertainment Inc.

【取材協力】NGM株式会社https://n-g-m.comhttps://www.jegt.jp(JeGT GRAND PRIX)

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みんなのコメント

4件
  • ゲームも大昔と違って、操作も挙動もリアルを分析してよく再現してあるから。
    桁外れのプロの技術がそのまま使えるんだから、上位に来るのは自然なことでしょう。
  • 土屋の爺さん女に負けてたからゲームはゲーム、実車なら土屋の爺さんが負けるわけがない
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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